新入社員×NEXCO-WEST USA 社長「海外での活躍」

海外は「自律型社員」を育成する絶好の鍛錬の場。
有言実行でチャレンジあるのみ!

NEXCO-West USA, Inc. President & CEO

松本 正人Matsumoto Masato

1997年入社 自然科学研究科

PROFILE

日本道路公団入社後、建設工事事務所を経て「東名高速道路」の保全業務を担当。2003年、コロラド大学大学院へ留学し、道路橋の最適維持管理について研究。帰国後、財団法人高速道路調査会へ出向し、海外の高速道路事情を調査に当たる。2008年、新設された海外事業部に配属となり、海外子会社設立準備を行う。2011年「NEXCO-West USA, Inc.」設立と共に、副社長として現地に赴任。2016年社長に就任。世界で通用しグローバルに活躍できるエンジニアの育成をめざす。

事務系

高東 力弥Takato Rikiya

関西支社 総務企画部 経理課
2016年入社 社会科学部 社会科学科

学生時代、被災した東日本のまちづくりをサポート。道をつなぐことで、途上国の地域活性化を図る海外事業に興味を持つ。

土木系

福上 大貴Fukugami Daiki

関西支社 新名神京都事務所 城陽東工事区
2016年入社 工学研究科 地球総合工学専攻

大学で、コンクリートの非破壊検査を研究。高速道路は物流や緊急路として、人々の生活の根幹を支えるものと考え、志望。

施設系

青木 大輔Aoki Daisuke

関西支社 保全サービス事業部 施設計画課
2016年入社 生産システム研究科

ゼミで留学生と一緒に学んだこと、インターンで中国に行ったことから海外に興味を持つ。目標は「技術で日本を元気にすること」

Talk01

若手社員 → 社長に質問!

「NEXCO-West USA, Inc.って?」

「NEXCO西日本が、米国で橋梁非破壊点検?」「ブラジルでダム点検?」日本政府が「インフラシステム海外輸出」を推進する中、NEXCO西日本も、道路建設・維持管理で培った技術を活かして海外展開を進めています。その最前線となる米国子会社「NEXCO-West USA, Inc.」で、米国市場を切り拓いた松本正人社長に、海外事業に興味をもつ2016年入社の新入社員が質問!どんな事業を展開しているのか、何に苦労したか、あれこれ伺いました。

高東

米国に子会社があることを研修で伺いましたが、改めて、「NEXCO-West USA, Inc.」は、どんな会社なのか教えてください。

松本社長

米国での橋梁点検業務参入を目的に、2011年1月に設立した会社です。設立以来、「橋梁非破壊点検」「情報収集提供・研修支援」「技術コンサルティング」を三本柱に事業活動を行ってきました。メイン事業は、赤外線カメラや高解像度デジタルカメラなどを使った非破壊点検。これを軸に事業を展開しています。

青木

現地法人設立のきっかけは何だったんですか?

松本社長

2009年に米国フロリダ州のセブンマイル橋(延長約10kmの海上橋)で行ったパイロット事業(試験事業)がきっかけでした。この橋梁の点検業務で、フロリダ州政府から高い評価を得たんです。
米国には、延長6m以上の道路橋が約60万橋あり、2年に1度の点検が義務。しかも第二次世界大戦前から道路整備が始まっているため、日本より老朽化が進んでいる。市場性も十分。そこで、この市場開拓に挑戦することになったんです。

青木

お二人で開設したと聞きましたが・・・

松本社長

社長と副社長の私で開設しました。設立当初は本当に二人だけで、「さあ、どうしよう」と毎日経営会議でした(笑)。
現地に行って、最初に苦労したのは、知名度のなさ。日本だと「NEXCO西日本」のマークを見たら、みんな高速道路の会社だと知っているけれど、米国の人は誰も知らない。「Mexico(メキシコ)から来られたんですか?」と。

福上

じゃあ、どうやって知名度を上げていったんですか?

松本社長

仕事を受注するために営業に行き、パンフレットやパソコンでプレゼンしました。技術展示会にブース出展したり、学会で論文発表したり・・・。しかし、一向に受注にはつながらない。日本もそうですが、米国はもっと実績重視の国。米国内での実績がなければ、話にならない。そこで、無償でパイロット事業をやる戦略に出ました。とにかく案件をいただいて、我々の技術が使えるというのを見てもらい、いいと思ったら次回から検討してもらうというやり方です。

青木

無償ですか! その間、資金はどう捻出したんですか?

松本社長

いい質問ですね。まず、会社設立のときに今後5年間の経営計画やキャッシュフローをNEXCO西日本の経営陣に提出。経営会議で了承を得た上で、出資いただき、それを原資にしました。

高東

経営計画を立てるために、どうやって学ばれたんですか?

松本社長

登記や手続きなど、米国での起業方法は、書店で「アメリカ会社法」という本を買って学びました。経営計画については、いろいろな方に相談しながら作成しました。

青木

本当にゼロベースでの挑戦だったんですね! そこからどうやって事業を軌道に乗せ、道を切り拓いていったんですか?

松本社長

ひとつも受注できないうちは本当に苦しかった。「やるしかありません」と役員室で宣言し、あとは有言実行あるのみ! とにかく初受注をめざし、なんとか踏ん張ろうと、パイロット事業で実績を作り、営業活動を続けました。その結果、3年目には、口コミで受注が取れるようになったんです。4年目にオハイオ州政府が管理する州間高速道路の点検業務を受注、そして、5年目の2015年にペンシルバニア州で公示された入札で初めて勝った。ついに、入札でも勝てるところまできた!

全員

ついに、ですね!

松本社長

一番の転機になったのが、2012年に米国連邦政府が進める、橋梁の床版(しょうばん:車両が走る床板)の非破壊検査用ロボットに、我々の「赤外線カメラシステム」が採用されたこと。我々の技術が一番いいと、政府から評価を受け、政府公認ロボットに導入されることになったんです。
これによって、“日本から来た新参者”から“連邦政府公認の技術を持つ会社”として、一気に格上げされました。

青木

うわ~! それは、気持ちいいですね!

松本社長

私が最初に経営計画書に記した「5年目に米国のスタンダードをとる」という未来図が、まさにその通りになった。有言実行!こうして、現地法人は軌道に乗りました。

Talk02

若手社員 → 社長に質問!

「社長のキャリアの軌跡」

青木

社長は、以前、海外留学されていますよね? それは、将来、海外事業をやってみたいと考えていたからですか?

松本社長

いいえ、入社は、日本道路公団(NEXCO西日本の前身)でしたから、海外事業は考えてもみませんでした。ただ、海外留学やJICA専門家に興味はありました。大学でコンクリート道路橋の最適な維持管理について学び、もっと知識を深めたいと思っていたので、業務経験を積み、技術士を取得してから留学しました。そのときは、後に米国の現地法人で、コンクリート橋の点検をするとは、夢にも思わず・・・。

福上

私は大学でコンクリートの非破壊検査を研究していました。チャンスがあれば、いつか留学したいと思っています。もちろん、今の「新名神」の建設事業で全力を尽くし、仕事を身に付けることが大切だと思っています。留学するまで、どんな仕事をされていたんですか?

松本社長

最初の配属先は工事事務所で、高速道路の建設工事の現場監理を担当しました。でも、やりたかったのは保全の仕事。次の異動で、念願の東京~静岡間の保全の担当になりました。実際に橋梁やトンネルなどの構造物を点検したり、補修計画を立案したりするのは楽しかったのですが、その中で、現場の問題点も発見。これから保全は重要なテーマになると分かっていたので、その解決策を学ぶために海外留学制度に応募しました。

福上

現場を経験したからこそ、課題が発見できるんですね。やはり、現場を知ることは大切なんですね。

松本社長

仕事でやってきたことの中で、自分が興味を持ったことを軸に留学先やテーマを決めていくと、目標ができ、留学生活が充実します。ある程度、やりたい研究が見つかった時点で応募するといいと思いますよ。

福上

ありがとうございます。社長は、留学先で学んでことを、すぐに実務に活かすことができたのですか?

松本社長

いや、それが、帰国後、海外の有料道路制度や技術を調査する財団に出向になったんですよ。たぶん、英語を活かした仕事ができるところに配置してくれたのだと思うのですが。そこで、民営化したイタリアの道路会社の運営方式や韓国の料金収受員の接客サービス、米国の性能規定型維持管理契約という新しい契約方式などを調査。海外の事例を参考に、日本の道路サービスの高度化を検討しました。
その頃、海外事業部が設置され、米国への進出が決定。米国プロジェクトを担当していたことや、海外道路事情も分かっていたこと、留学先でコンクリート点検を学んでいたことから、米国赴任することになりました。

青木

それで、お二人で現地法人を設立されたんですね。海外赴任に対する不安は?

松本社長

米国市場に挑戦して、本当にやっていけるのか不安はありましたが、ワクワクする気持ちの方が大きかったと思います。

青木

先ほど、海外進出の主軸が、赤外線カメラや高解像度デジタルカメラなどを使った非破壊検査技術だと伺いました。私は、大学で画像処理を学び、人検出に特化したカメラシステムを開発していたので、こうしたカメラを使った点検やドローン計測など、新しい点検技術を海外でやってみたいと思っています。こうした技術は、以前から日本で活用していたものなんですか?

松本社長

はい、そうです。グループ会社のエンジニアリング四国が開発した、コンクリートのひび割れを高精度に調査する技術で、四国管内の道路の検査で使っていました。

青木

では、NEXCO西日本グループ全体の技術を米国で展開するということなんでしょうか?

松本社長

基本はそうですが、逆に「技術コンサルティング」として、米国の技術を日本に輸入することもあります。NEXCO東日本が、国内初の「移動式防護柵」という、交通量に合わせて工事中の車線規制範囲を変更できる車両を購入するとき、技術導入支援として仲介を行いました。米国のメーカーと契約交渉し、通関手続きや海運業者の手配を支援するなど、商社のようなことも。

高東

そんな商社のような仕事もなさっているんですね。でも、お話を伺っていると“技術力で海外に出る”という感じで、事務系はあまり活躍の場がないような・・・

松本社長

そんなことはありませんよ。現在、私は社長として会社経営をやりながら、営業して仕事を受注し、社員と一緒に実務もやっていますが、業務の半分以上は事務です。事業をまわしていくには、人、モノ、ファイナンス、情報だと言いますよね? 拠点の運営には、現地での雇用や機材調達、経理、総務など、事務系の業務は必須です。私自身、こうした業務は、現地ではじめて経験することでしたが、自分の仕事の幅が広がり、成長の糧になったと思います。

高東

技術を支えるには、事務の力も必要、ということなんですね。今、私は、経理課で会計や決算業務に携わっていますが、この経験も活かせるんですね。

松本社長

もちろんです。でも、日本で経理をやっていたとしても、海外は会計法も帳簿も違うので、新たに学ぶ必要はあります。更に、雇用面でも、日本とは、労働基準も求人方法も違いますから。他の日本企業の方やコンサルタントの方に教えていただきながらやっています。事務系の方も、ぜひ、米国で活躍してほしいと思います。

高東

文化の違いに戸惑うことはなかったんでしょうか?

松本社長

アメリカ人は、指示が合理的でないと質問しますし、納得しないと行動しませんね。社長が言っても、なかなか「Yes, sir!」とはならない。それはある意味、いい会社だと思います。NEXCO西日本の前社長も「俺がいうことを100%、そのままやるようじゃ駄目だぞ」とおっしゃっていましたが、納得して動く社員の方が、最終的によく働きます。
「自由闊達な意見を受け入れる」というのを社風にしているし、それがアメリカ人に合っていると思いますね。

Talk03

社長 × 若手社員!

「これからについて」

青木

今後の展開について、ぜひ、聞かせてください。

松本社長

実は、もう、いくつか新しい展開がありまして。一つは、ブラジル「イタイプダム点検プロジェクト」。水力発電用のダム管理公社から連絡をいただき、当社の道路橋用のコンクリートのひび割れ検査システムをダムの点検用に使えないかということで、現地でデモンストレーションを行い、契約に至りました。このダム、中国三峡ダムに次ぐ、世界第二位の発電量を誇る巨大構造物です。

福上

すごい! コンクリート構造物なら、水平展開できるんですね。

松本社長

まさに、そう。ニューヨークでは「ビル外壁点検プロジェクト」を、ワシントンでは「ワシントンメトロ(地下鉄)」の地上部橋梁点検を行いました。メトロは、それがきっかけで、今度は、鉄道トンネル点検にチャレンジしようとしています。

青木

点検技術の使い方の幅が広がった。でも、事業を広げる中で、問題はないんですか?

松本社長

レパートリーを広げると、当然、投資も必要になります。今までと同じ種目をやるなら、今ある機材を使えばいいし、技術も習得している。けれど、トンネル点検となると、新たな機材購入も必要になるし、お客さまに満足いただけるシステムに仕上げていかなければなりません。 受注機会を増やしつつ、支出は抑える。それは、どの会社も同じことですよね?

高東

今、ブラジルで受注したと伺いましたが、米国以外での販売もけっこうあるんですか?

松本社長

ブラジルはまだ1件ですが、ブラジル全26州には、それぞれダム管理公社が存在し、約1400基ものダムが運用されているそうです。今、各ダム公社に営業をかけ、すでに引き合いがきています。ブラジルのダム契約を増やしていこうとしています。 その他、カナダの会社から、赤外線カメラを試してみたいという依頼も来ています。

高東

違う地域の営業はどのように?

松本社長

Webinar(ウェブ上でのセミナー)をやって、世界中の方に私のセミナーを見ていただいています。その他、ホームページで詳しく技術紹介をしているので、そこから問い合わせがあります。
韓国やシンガポール、香港など、アジアからも。でも、アジアは、本社に海外事業部がありますし、インドネシア駐在事務所もあるので、そちらでの対応となると思います。

青木

新たな展開が続々とあるんですね! 次のチャレンジは何を考えておられるんですか?

松本社長

2016年に、2020までの5ヶ年計画を立てました。2020年には、米国で赤外線点検システムといえば「NEXCO-West USA」という風に、NEXCOの技術を米国標準にするべく、普及活動を進めているところです。目標を決めて書くと実現します。目標に向かって努力することでなにかを成しうると思っているので。後は・・・有言実行! 
では、皆さんのこれからの目標も聞かせてもらえますか?

高東

今、経理業務を通して、数字から会社の取引状況がどうなのかをみています。そこからここを強みにしていくべきといった戦略を打ち出していけるよう、しっかり意識してやっていきたいと思います。そしていつか、途上国の高速道路の整備やより安全で快適な道路の実現などにチャレンジし、それによって国や地域の発展に寄与していきたいと考えています。

福上

技術者としては何か軸になるものを持つこと、そして、専門は土木だけれど、それに固執することなく、営業も経営も何でもやれることが大切だと思いました。もし、チャンスがあれば、留学に挑戦したいですし、そこで現場の課題を解決するための技術や考え方を学びたい。そして、会社や社会に貢献できる人材をめざしたいと思います。

青木

松本社長の言葉を伺って、“志を持つことで、実現できる”と思いました。もっと視点を広く持ち、課題や興味の対象を広げていきたい。そしていつか、海外でしかできないことにチャレンジし、その最新技術によって、安全・安心の高速道路のトータルサービス向上につなげていきたいと思っています。

松本社長

米国拠点は、人材育成の場でもあります。人間性やスキルを高めるという意味でも鍛えられるので、何年か経験して米国へ、そして再び国内に戻れば、違う視点で仕事に向き合うことができるのではないでしょうか? 日本では考えられないような困難に遭遇しても、めげずに挑戦できるタフな精神がある人、やったことのない業務に好奇心を持って取り組める人に、ぜひ、チャレンジしてほしいと思います。