最新の材料技術の導入にむけて
― NEXCO西日本では海外技術を導入していきます ―
NEXCO西日本(大阪市北区、代表取締役会長CEO:石田 孝)では、100%の安全・安心のより一層の推進を図るため、今年7月に技術本部(本部長:石田 孝)を新設し、また大阪大学、京都大学及び九州大学とも、包括的な連携推進に関する協定を締結し、パートナー会社と協働で技術立社にむけた体制の枠組みを構築してきたところです。特に予防保全や高耐久などを基本とした技術開発に取り組んでおり、従来のコンクリート構造物の弱点を克服した耐久性の高い建設技術や再劣化・再補修を繰り返さない抜本的修繕手法について技術開発を推進しています。
コンクリート構造物の長寿命化を図ることを目的として道路構造物を構成するコンクリートなどの素材技術の研究を行ってきているところですが、具体的な素材技術について国内のみならず海外にも視野を広げることといたしました。
1.現状と課題
近年、NEXCO西日本が管轄する高速道路の保全サービス事業では、コンクリートの中性化や鉄筋の腐食に伴い橋梁やトンネルなどのコンクリート構造物の剥離・剥落が課題となっており、また新名神高速道路をはじめとする今後の建設事業でも、予防保全を目的とした高耐久化のためのコンクリートの高強度化の採用が課題となっています。
2.欧州の材料技術の現状
従前より、欧州のコンクリート系材料については世界でも先進の技術を有しており、日本国内で使用される材料についても欧州企業が開発する事例が多くあります。ドイツ、フランスなどには劣化を生じさせない材料や、『コンクリートの高強度化が耐久性向上につながる』という先進的な思想を持っています。
ドイツのBASF社ならびにスイスのSIKA社は化学業界では世界有数の企業であり、コンクリート構造物の分野でもグローバルな専門知識を有しており、補修に適した樹脂系材料技術を有しています。フランスのラファージュ社はセメント業界で世界有数の企業であり、高耐久なコンクリートの材料技術を有しています。また、世界一の橋脚高さをもったフランスのミヨー高架橋の設計に携わった技術者を有するアンジェロップ社は、インフラ建設ならびに補修・補強・取替え工事を行っている経歴を有します。
スイスは山岳寒冷地という気象条件から日本と同様、冬期の交通確保のための凍結防止剤を使用する道路環境にあります。スイス連邦材料試験研究所(EMPA)アスファルト系(舗装・防水)、コンクリート系、構造系の3部署があり、専門的な研究を行っています。
3.調査の目的・概要
上記のような欧州の最新技術を導入するために調査を行います。
3-1.調査団
NEXCO西日本エンジニアリング関西の小川篤生代表取締役社長を団長とする総勢5名
3-2.調査期間
平成21年11月17日~11月28日
3-3.調査内容
BASF社(ドイツ)/SIKA社(スイス):
日本より環境の厳しい欧州における補修材の性能や補修方法,予防保全の技術の調査を行います。
ラファージュ社(フランス):
コンクリートの高耐久・長寿命化へのセメント・混和材の開発状況や求められる性能規定について、ならびに欧州における耐久性向上技術の調査を行います。
アンジェロップ社(フランス):
欧州における構造物の高耐久化や維持管理の効率化・省力化についての設計について調査を行います。
スイス連邦材料試験研究所(EMPA):
『舗装の非破壊検査技術』『舗装・コンクリートの新材料』の研究を通じて、海外技術の調査・把握とグローバルな専門技術者の育成、海外との人脈形成を図る取組みも行っていき、技術者1名について2年間程度の長期派遣を予定しています。

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