「工事契約価格適正化制度」において「最低制限価格」を導入します
NEXCO西日本(大阪市北区、代表取締役会長CEO:石田 孝)は、平成19年4月から独自の「工事契約価格適正化制度」を導入し、その厳格な運用に取り組んでいるところですが、低入札工事の増加傾向や調査に長期間を要している等の課題も明らかになってきました。
このたび、2年半に及ぶ本制度運用結果を踏まえて、地方公共団体以外では初めてとなる「最低制限価格」を導入し、これを下回る価格での入札者を失格とする等の見直しにより、本制度の適用範囲拡大による運用強化並びに、調査の迅速化を図ることとしましたのでお知らせします。
1.「工事契約価格適正化制度」について
「工事契約価格適正化制度」とは、工事の品質確保、安全対策の徹底及び工事下請け会社への不当なしわ寄せの排除を目的に、さらには健全な工事執行体制の構築と高速道路の建設・保全サービス事業全般の技術力の維持向上を図るために、平成19年4月からNEXCO西日本が独自に導入した制度です。これは、「適正契約基準価格」を下回る著しい低価格による入札を行った会社を対象とし、契約の内容に適合した履行がなされるかどうかについて厳格な調査を実施するものです。
2.運用状況と課題
1) 低入札工事が再び増加の傾向
平成19年度~平成20年度においては、低入札工事の発生率は概ね3割程度、適正契約基準価格を下回り調査の対象となった工事の発生率も約13%程度で推移しましたが、平成21年度上半期は、低入札工事の発生率は約47%、調査対象工事は19%と増加傾向にあります。公共工事の減少に伴う過当競争が懸念され、運用強化が必要です。(
参考資料-1(11KB)参照)
2) 調査対象社の9割を排除
適正契約基準価格を下回る札入れを行った204社を調査したところ、適正な工事の履行が可能であることを確認できなかった182社(約89%)を無効としました。(
参考資料-1(11KB)参照)
3) 調査対象ボーダーライン付近の工事成績評定点が低い傾向
落札率と工事成績評定点との関係について、本制度の導入(平成19年4月)の前後における比較を行ったところ、落札率70%未満の工事では低い評定点の発生率が減少している一方、落札率70%~80%の工事では低い評定点の発生率が増加しているという結果となりました。これは、落札率の低い工事は厳格な調査を経ているため品質が確保されている一方、本制度の調査の対象とされていない落札率の工事は品質低下が懸念されることを示しています。(
参考資料-2 (30KB)参照)
4) 調査に長期間を要し、発注者・受注者双方に不利益が発生
本制度の導入により、工事契約の適正化に寄与している反面、調査手続きの長期化(調査に要した期間は平均30日、最長3ヵ月)のため、入札参加者(配置予定技術者)の拘束や調査対象外落札保留者の辞退等の問題点が発生しています。
3.見直しの概要
上述の運用・調査状況及び課題を踏まえ、本制度の更なる適用範囲拡大による運用強化、並びに調査業務の迅速化を図ることを目的とし、次の見直しを行います。
(図-1、図-2及び
参考資料-3 (15KB)参照)
1) 最低制限価格の導入
調査対象者の約9割を排除した調査実績に基づき、現行の「適正契約基準価格」を「最低制限価格」として適用し、これを下回る価格での入札者を失格とします。ただし、「政府調達に関する協定」の対象工事及び技術革新等の企業努力により低価格設定の余地があると考えられる工種については、最低制限価格を適用しません。※イ)。
2) 適正契約基準価格の引上げ
調査の適用範囲を拡大するため、「適正契約基準価格」を現行の「単価表の合計金額」から、「直接工事費及び共通仮設費の合計額」に引上げ、これを下回る価格での入札者について調査を実施します。
3) 工費内訳の調査基準を設けて簡易調査を導入
「適正契約基準価格」を下回った場合、当該入札者から提出された単価表又は工費内訳書を以下の「工費内訳調査基準」と照合します。最低制限価格を適用する工事の場合、本基準を下回ったときは「無効」とし、それ以外の場合は「簡易調査」※ロ)を実施します。最低制限価格を適用しない工事の場合、本基準を下回ったときは「標準調査」を実施し、それ以外の場合は「簡易調査」※ロ)を実施します。
なお、これら調査の結果、当該入札者の契約申込みに係る価格によっては当該契約の内容に適合した履行がなされないと認められるときは、当該入札者を「無効」とします。
※イ)最低制限価格を適用する工種は、以下を原則とします。
最低制限価格適用工種 |
土木・舗装・PC橋上部工・鋼橋上部工他11工種(計15工種) |
適用外工種 |
遠方監視制御設備・交通情報設備他9工種(計11工種) |
ただし、最低制限価格適用工種に該当する工事においても、工事費に占める工場製作費の割合が高い等、一律の基準により失格とすることが不適切であると認められる場合は、適用しません。
※ロ)簡易調査とは、直接工事費と一般管理費のみを調査の対象とするものです。
直接工事費は不当な下請へのしわ寄せ等を防止する観点で、一般管理費は明らかな赤字受注を防止する観点で、調査を実施します。
4.適用
平成21年12月21日以降に入札公告をする工事から適用します。
参考資料
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