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ニュースリリース

工事における低価格入札への対応状況について
― 「工事契約価格適正化制度」の平成21年度運用状況 ―

平成22年5月31日
西日本高速道路株式会社

 NEXCO西日本(大阪市北区、代表取締役会長CEO:石田孝)は、平成19年4月から「工事契約価格適正化制度」(以下、「本制度」という。)を独自導入し、その厳格な運用に取り組んでいるところですが、このたび、平成21年度発注工事における低価格入札の状況と本制度の運用結果をまとめましたのでお知らせします。

本制度は、工事の品質確保、安全対策の徹底及び工事下請け会社への不当なしわ寄せの排除を目的に、さらには健全な工事執行体制の構築と高速道路の建設・管理事業全般の技術力の維持向上を図るために導入した制度です。

また、平成21年12月から、本制度の適用範囲拡大による運用強化並びに調査の迅速化を図ることを目的とし、「(1)最低制限価格の導入」、「(2)適正契約基準価格の引上げ」、「(3)工費内訳の調査基準を設けて簡易調査を導入」という見直し(平成21年12月21日以降に入札公告を行った工事を対象。以下、「新制度」という)を行いました。

対象とした発注工事案件は、平成21年4月1日から平成22年3月31日の間に契約を締結した304件で、このうち、新制度の適用案件は27件です。

低価格入札の発生状況及び「工事契約適正化制度」の運用結果の概要

低価格入札について

(1)
低価格入札(低入札基準価格を下回る入札者があった案件)の発生率は半数を超える約52%(157件/304件)であり、平成20年度(約31%)と比較して著しく増加しています。これは、公共事業が減少傾向にある中で受注を確保しようと入札参加社が過当競争を展開していることが主原因であると考えられますが、平成21年5月より低入札基準価格を引上げたこともその一因であると考えられます。
(2)
低価格入札は、概ね全ての工種で発生(平成21年度に発注のあった全25工種中、19工種で2割以上の入札案件、約半数の14工種では5割以上の入札案件において低価格入札が発生)しており、特に、「土木工事」、「舗装工事」、「PC橋上部工工事」及び「鋼橋上部工工事」など道路本体を構築する主要工種においても、平成20年度以前と比較して発生率が著しく増加しており、低価格入札の傾向が建設業全体に蔓延してきている状況が推測されます。

本制度における審査対象案件について

(3)
適正契約基準価格を下回り、審査の対象となった案件の発生率は約19%(59件/304件)であり、平成19・20年度(約13%)と比較して増加傾向となっています。
(4)
審査の対象となった案件の発生率は、「建築工事」、「通信工事」、「管工事」及び「造園工事」が高い傾向となっており、また、「土木工事」及び「舗装工事」については、平成20年度と比較して発生率が増加傾向となっています。これらの案件(39件)は、審査の対象となった案件(59件)に対し、約66%の件数比率を占めています。
(5)
審査を行った会社130社のうち、適正な工事の履行が可能であることが確認できなかった121社(約93%)を無効としました。その結果、審査の対象となった案件の平均落札率は審査前の68%から81%になっています。
(6)
上記案件のうち新制度適用案件においては、最低制限価格を下回る入札を行って自動失格となった入札者があった案件が1件あり、また、適正契約基準価格を下回って審査の対象となった案件の発生率は、7%(2件/27件)にとどまっています。
当社としましては、本制度の効率的な運用に努めるとともに、入札状況や本制度にともなう審査結果、品質・安全への影響など現場の施工実態等を注視し、更なる分析を行うことにより、本制度のあり方や契約制度、現場管理体制等に関して更なる改善検討を引続き行う予定です。
低価格入札状況表

参考資料

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