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ニュースリリース

無線を活用した多点型のり面遠隔監視技術の開発について

平成25年10月30日
国立大学法人大阪大学
西日本高速道路株式会社

国立大学法人大阪大学(吹田市、学長:平野俊夫)と西日本高速道路株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:石塚 由成)は、降雨時ののり面を監視することにより更なる安全安心を向上させるために、無線センサネットワークを活用したのり面遠隔監視技術を共同研究により開発しました。

共同研究の概要

(1)共同研究の目的

近年、集中豪雨に伴うのり面災害の危険性が高まっており、高速道路の安全安心を確保する上で、のり面を監視する技術が重要となっています。従前からのり面を監視する技術はありましたが、計測にかかる費用が高価であるなど、解決すべき技術的課題が残っていました。

従って、本研究では安価に精度よく、のり面に多数の計測器(変位計等)を設置し、監視することによる安全安心の向上、及び、降雨による通行止め時には安全を確認し、早期に通行止め解除を行うことにより、お客さまサービスの向上を目的としたものです。

(2)今回の技術の特徴

  1. 今回開発した計測器は小型(従来のサイズの1/2)で安価(従来の1/10)であるため、計測器(変位計等)を面的に多数設置し、のり面の変状(のり面表面の移動)を監視できます(図-1)。
  2. 無線による通信では、各々の計測器がネットワークで相互に繋がっているため、ひとつの通信経路が断絶しても、他の経路で通信ができ、データ通信の信頼性が向上しました(図-1)。
  3. 計測結果は、インターネットを利用してどこからでも確認できるため、24時間、事務所等でのり面の状態を遠隔監視することが可能となります(図-1)。

無線センサネットワークを活用したのり面監視状況の概要図

図-1 無線センサネットワークを活用したのり面監視状況の概要図

(3)今後の取り組み

保全事業システム

図-2 その他の計測器を接続したイメージ

昨年度までに関西支社管内の阪和道や舞鶴道に計測器を設置し、変位計によるのり面の変状を監視中です。また、今年度は全支社管内に、変位のみならず変状の要因となりうる雨量や地下水位、土壌水分などを接続した計測器を設置し、計測データを収集中です。これらによって得られるデータを検証し、のり面変状の予兆把握について更なる精度向上を目指すとともに、早期に通行止め解除の判断を行う技術開発に今後も取り組んで参ります。当該技術は平成26年度までに試行運用による検証を経て、平成27年度から本格運用を開始する予定です。