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ニュースリリース

超高耐久橋梁(Dura-Bridge®)を高速道路本線橋に初採用
― 腐食劣化と決別した非鉄製橋梁を実用化 ―

平成30年7月25日
西日本高速道路株式会社
三井住友建設株式会社

NEXCO西日本(大阪市北区、代表取締役社長:酒井 和広)と三井住友建設株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:新井 英雄)は、鉄筋やPC鋼材に替わり、腐食しない新材料を緊張材として用いた『非鉄製材料を用いた超高耐久橋梁:Dura-Bridge (Durable Bridge)』の共同研究を平成22年3月より進めてきました。

今回、徳島自動車道 「別埜谷橋(べっそだにばし)」に、新設の高速道路本線橋として初めてDura-Bridgeを採用します。本技術により、鋼材腐食によるコンクリート片はく落などによる第三者被害を防ぐとともに、耐久性の飛躍的な向上により維持管理費用の削減が可能となります。

今後は、技術的知見や実績工事費を精査し、飛来塩分や凍結防止剤散布による鋼材の腐食環境が厳しい構造物へのさらなる展開を目指します。

超高耐久橋梁の完成イメージ図

図-1 超高耐久橋梁の完成イメージ図

1.経緯

高速道路橋は、凍結防止剤の散布や沿岸部の飛来塩分により、鋼材の腐食による劣化が進行しています。この課題に対し、鉄筋やPC鋼材などの鋼材を一切用いない超高耐久橋梁(Dura-Bridge)について、開発を進めてきました。

これまでに、材料試験や要素試験により十分な強度特性を有していることを確認し、工事用道路として建設した実証橋により施工性や安全性などの確認を行うことで、本線橋への適用性を検証してきました。

段階 確認項目 得られた知見 適用
材料試験 材料強度、品質管理 材料試験により、設計で求める強度を安定して発現できることなどを確認できた 室内試験
要素試験 耐荷性、疲労耐久性 静的試験および疲労試験により、構造系が成立していることを確認できた 室内試験
実証橋建設 施工性、安全性 2年間工事用道路として使用することにより、施工性や安全性を確認できた 工事用道路

2.本工事の目的

超高耐久橋梁の技術を確立できたことから、研究成果を実用化します。ただ、本線橋へは初採用となることから、まず比較的橋長の短い橋梁で工事を行い、得られた技術的課題の整理や実績工事費の精査を行います。本工事は、より橋長の長い橋梁へ超高耐久橋梁を展開していくための知見を得ることが目的です。

3.工事場所

徳島自動車道 土成(どなり)IC~脇町(わきまち)IC間で工事を進めている「別埜谷橋(べっそだにばし)」で、超高耐久橋梁を採用します。

工事場所 徳島自動車道 別埜谷橋

図-2 工事場所 徳島自動車道 別埜谷橋(べっそだにばし)

4.橋梁の構造

工場で製作した複数のセグメントを現地に運搬し架設することで、橋長27.5mの橋梁を建設します。

橋梁構造

図-3 橋梁構造

5.スケジュール

スケジュール

※今後の現場進捗により、変更になる場合があります。

6.通常構造との比較

  1. 腐食劣化を排除

    設計基準強度80N/mm2の高強度繊維補強コンクリートを使用することにより、鉄筋の配置をなくし、PC鋼材の代わりにアラミドFRPロッドを使用してプレストレスを導入することで、腐食劣化の可能性を排除しました。

    アラミドFRPロッド

    注)アラミドFRPロッドとは、PC鋼材の代替えとなる引張力に強い繊維を束ねた棒状の材料をいいます。

  2. 第三者被害の防止、耐久性向上、維持管理費の低減

    鋼材腐食によるコンクリート片のはく落などの第三者被害が発生しません。また、耐久性を向上させているため、将来の維持管理の人的及び経済的負荷の低減が見込めます。

7.今後の展開

本工事により得られた知見を活用し、当工法の適用拡大に向けた基準類の整備を進めていきます。

今後は、飛来塩分や凍結防止剤散布による鋼材の腐食環境が厳しい、高い耐久性が望まれる本線構造物への展開を目指します。