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特集2:高速道路の長期保全

特集2:高速道路の長期保全

床版取替工事の状況
中国自動車道 大峰橋

リニューアル
プロジェクト事業費
1.1兆円
リニューアル
プロジェクト着手
2015年度より

高速道路リニューアルプロジェクト

現在、NEXCO西日本が管理する高速道路は約3,500kmに達しており、その約4割が開通から30年を超え、老朽化が進んでいます。そのため当社では、道路ネットワークの機能を長期にわたって健全に保つため、橋梁やトンネルなどの構造物をリニューアルする、「高速道路リニューアルプロジェクト」を進めています。

高速道路リニューアルプロジェクトの主な工事内容

床版取替工事

大型車の繰り返しの荷重や凍結防止剤の影響により、鉄筋が腐食したり、床版の劣化が進行しています。

床版取替工事では、劣化した床版を撤去し、工場で製作したより耐久性の高い床版をクレーンで架設し、取り替えていきます。

工事では、4車線(片側2車線)のうち、2車線を通行止めとし、残りの2車線を対面通行として実施するなど、交通を確保したうえで施工しています。

写真:床版取換工事(左:施工前、右:施工後)
床版取換工事(左:施工前、右:施工後)
写真:対面通行規制イメージ図
■対面通行規制イメージ図

トンネル修繕工事

山の土質によっては、長い年月で地盤が緩み、トンネルの路面が押し上げられる場合があります。そこで、「インバート」と呼ばれるコンクリートを設置することで、トンネルをリング状の強い構造とする「インバート設置工事」を進めていきます。

2018年4月から、高知自動車道南国IC~大豊IC間の明神トンネルにおいて、インバート設置工事を実施しています。

この工事では、お客さまへの影響を最小限とするため通行止めは行わず、車線を切替えながらインバート設置を半分ずつ進めていきます。

写真:通行規制イメージ図

グラウンドアンカー設置工事

切土のり面では、地表付近の構造物と地盤を連結することによって、のり面の安定性を高めるグラウンドアンカーを設置している場合があります。グラウンドアンカー設置工事では、追加のアンカーを設置することで、のり面の安定性を向上させています。

写真:グラウンドアンカー設置工事(左:施工前、右:施工後)
グラウンドアンカー設置工事(左:施工前、右:施工後)

高速道路リニューアルプロジェクトの今後

高速道路リニューアルプロジェクトは、今後西日本全体で進めていきます。関西の都市圏においても、中国自動車道 吹田JCT~中国池田IC間において先行的に着手していきます。

中国自動車道 吹田JCT~中国池田IC間は、複数の鉄道や主要道路と交差または並行するとともに、高速道路高架下に公園など様々な物件も多く存在するなど、これまで以上に各関係機関との綿密な協議調整、連携によって社会的影響をいかに最小限にしていくかが重要なポイントとなってきます。

新名神高速道路(高槻JCT・IC~神戸JCT)が全て開通したことで、当該箇所の交通量の一部転換が図られていることや、当該区間は阪神高速道路と高速道路ネットワークを構成していることから、阪神高速道路株式会社と協力してリニューアルプロジェクトを進めることにより、お客様への影響を最小限に施工する方法を検討していきます。

写真:リニューアルプロジェクト先行着手箇所
リニューアルプロジェクト先行着手箇所
写真:鉄道及び重交通路線と近接する区間
鉄道及び重交通路線と近接する区間
写真:鉄道交差箇所における橋梁点検(イメージ)
鉄道交差箇所における橋梁点検(イメージ)

耐震補強の推進

写真:耐震補強工事の状況 湯浅御坊道路 広川IC 付近

耐震補強工事の状況
湯浅御坊道路 広川IC 付近

2017年度 耐震補強工事発注橋梁数
118

耐震補強の推進

高速道路は、地震等の自然災害の発生時に、人命救助や災害応急対策に必要な物資や資機材などを広域的に緊急輸送するための、極めて重要なインフラと位置付けられています。当社では災害に強い道路を目指して、橋梁の耐震補強を実施しています。

熊本地震の被災状況を踏まえたロッキング橋脚の耐震補強

熊本地震発生前までの橋梁の耐震補強については、兵庫県南部地震と同程度の地震に対して、落橋・倒壊等の致命的被害を起こさないレベルの対策を実施してきました。

熊本地震では、前震と本震の2度の大きな地震が起こったことが原因となり、特殊な構造であるロッキング橋脚を有する、高速道路を跨ぐ府領第一橋が落橋し、長時間高速道路を寸断することとなりました。そのため、当社ではロッキング橋脚を有する橋梁について、優先的に耐震補強を実施しています。

写真:府領第一橋(落橋した直後の様子)
府領第一橋(落橋した直後の様子)
写真:名神高速道路 島田橋(左:補強前の橋脚右:補強後の橋脚)
名神高速道路 島田橋(左:補強前の橋脚、右:補強後の橋脚)

更なる耐震補強の加速化

ロッキング橋脚を有する橋梁の補強に加えて、その他の橋梁についても、大規模地震の発生確率などを踏まえ、落橋・倒壊の防止対策に加え、路面に大きな段差が生じないよう、橋脚の補強や支承の交換等を行う耐震補強対策を進めていきます。

(1)橋脚の補強

橋脚について、鉄筋コンクリートや炭素繊維シート等で巻立て補強することにより、橋脚の強度を高めます。

写真:鉄筋コンクリート巻立て広報 連続繊維シート巻立て広報

(2)支承の交換または補強

支承(橋桁等の上部構造と橋脚等の下部構造の間に設置する部材)について、地震による揺れが橋桁に伝わりにくくするために、柔らかく、エネルギー吸収性能が高いものに取り替えることで、地震による衝撃を緩和します。

写真:支承交換(左:施工前、右:施工後)
支承交換(左:施工前、右:施工後)

(3)落橋を防ぐ構造に改良

橋桁と橋台を連結することや、橋桁同士を連結することで、地震によって橋桁が落下することを防止します。

写真:落橋防止装置設置(左:桁同士、右:橋台と桁)
落橋防止装置設置(左:桁同士、右:橋台と桁)

耐震補強イメージ図

写真:耐震補強イメージ図
写真:Voice
写真:和歌山高速道路事務所 所長 村井 茂

和歌山高速道路事務所
所長
村井 茂

南海トラフ巨大地震など大規模災害時の『命の道』としての役割を担っています

和歌山県は、南海トラフ巨大地震で予測される最大震度は震度6弱~7(内閣府公表)とされています。また、最新の全国地震動予測地図(地震調査研究推進本部公表)では、今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が26%以上の範囲に入っている地域があります。

和歌山県の主要幹線道路は、国道42号と阪和自動車道・湯浅御坊道路の2路線です。国道42号は沿岸部を通過し、南海トラフ巨大地震時には津波により被害は甚大になることが予想されています。一方阪和自動車道・湯浅御坊道路は、国道42号と並行する形で山間部を通っており、津波等の被害を受けにくく、緊急時の輸送路、『命の道』としての役割を担っています。

しかし、阪和自動車道・湯浅御坊道路は、巨大地震に備えた対策工事が必要な橋梁があり、橋脚の補強、支承の交換、落橋防止構造の設置等による耐震補強を進めています。引き続き耐震補強を推進し、『命の道』を担う災害に強い道路を目指していきます。