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お知らせ

災害対応力強化の取り組み

平成24年8月29日
西日本高速道路株式会社

NEXCO西日本は、災害対応力の強化を中期経営計画2015(2011~2015年度)の重点施策と位置付け、不断の努力を続けています。

高速道路は、東日本大震災のような大規模な災害が発生した場合にも、その機能を可能な限り短期間に復旧して、被災地域の救命救助や支援物資輸送を支える緊急交通路としての役割を果たさなくてはいけません。

NEXCO西日本では、「想定を超えた広範囲の激甚災害にも対応できる仕組みの構築」を目指し、5つのテーマで災害対応力の強化に取り組んでいます。

災害対応力の強化

1.ハード対策の強化と推進

橋梁の耐震補強

耐震補強が必要な橋脚の(2011年度末)対策進捗率は、約97%です。2013年度末までに、100%の完了を目指しています。

管制ネットワークの強化

災害時にも確実な通信機能と交通管制機能を確保するために、自営通信回線の2ルート化や交通管制センターのバックアップシステム整備など道路管理用通信施設の更なる強化を推進します。交通管制センターが倒壊(被災)しても、他支社の交通管制センターから情報提供装置に直接に接続し、交通管制できる新しいネットワークを構築します。

交通管制センター バックアップシステムの構築イメージ

交通管制センター バックアップシステムの構築イメージ

2.被害想定の見直しと想定を超える災害への備え

道路構造物の被害想定の見直し

近い将来に発生する確率が高まっている東南海・南海地震のようなプレート境界地震が起こる前段で内陸直下地震もまた活動期を迎えるとの指摘がある中、東南海・南海地震と共に、このような内陸の活断層が道路構造物に与える被害を個々に評価、シミュレーションを行い、その被害の形態、被害規模を把握した上で、平成24年度末目途にその対策方針をまとめることとしています。

災害への備え

災害復旧業務を速やかに遂行するため、事前に体制や資源(人・モノ・情報)について検討し、事前行動計画の見直しを進めています。

  1. 災害時の体制

    非常参集場所及び組織間の相互応援体制を明確化するとともに、安否確認システムの運用をグループ全体へ拡大しました。

  2. 執務環境

    防災上の拠点(本社・支社・事務所対策本部・管制センター)の機能を確保するため、本社対策本部の代替施設の確保、必要な燃料・食糧・飲料水の備蓄量を見直し順次備蓄を進めています。

    備蓄品 見直し前 見直し後
    A重油(自家発電用) 3日 津波想定地域7日、その他地域3日
    食糧、飲料水 3日 3日(グループ会社全社に拡大)
    防災上の拠点(事務所・支社・本社) 40個所のうち、津波想定地域7個所、その他地域33個所
  3. 情報伝達

    情報伝達手段の複数化を図ることとし、衛星携帯電話、テレビ会議システム等の導入を順次進めています。

  4. 被害状況の把握

    他機関が持つ情報入手手段(例えば、自衛隊のヘリ映像電送)を共有するための環境整備を進めています。

  5. お客さま対応

    料金所や休憩施設において、災害情報、道路情報、避難情報の提供、避難誘導等を確実に実施するため、対応マニュアルの見直しを進めています。

  6. 資機材の備蓄
予備電源車の配備

予備電源車の配備

道路機能確保のための復旧作業に必要な作業車両用の燃料備蓄、NEXCO西日本グループ及び協力会社の保有資機材の整理、休憩施設の給水計画の策定及び予備電源車の配備を進めています。

3.地域・他機関との連携の強化

自治体との連携

初動段階から高速道路及び一般道の道路管理者が相互に緊密な連携・調整を図り、迅速かつ円滑な災害対応を図ることを目的に、各自治体(現在、24府県、3政令市)と「大規模災害発生時等における相互協力に関する協定」を締結しています。協定では、休憩施設等を防災拠点として活用することや、緊急開口部を活用した緊急車両の通行、資機材の活用、災害情報の共有などについて、相互協力することとしています。

防災協定の締結
防災協定の締結

復旧技術支援
復旧技術支援
平成23年9月台風12号被害への支援
和歌山県新宮市にて

<協定に基づく主な連携事例>

平成23年9月 和歌山県
台風12号被害への復旧支援【散水車等による路面清掃】
平成24年7月 大分県
九州北部豪雨被害への復旧支援【大型土嚢袋の提供、散水車による路面清掃】

自衛隊との連携

災害時の双方の活動をより円滑・効率的なものとし、被災地の救助活動に貢献することを目的に、陸上自衛隊中部方面隊および西部方面隊と「連携に関する実施協定」を締結しています。協定では、自衛隊の救助活動に必要となる高速道路機能(施設、敷地、資機材、物資、通信回線)の提供や高速道路の復旧、災害情報の共有などについて、連携することとしています。

自衛隊とNEXCO西日本との連携 連携に関する実施協定の締結

自衛隊とNEXCO西日本との連携

連携に関する実施協定の締結

休憩施設の防災拠点化

サービスエリアやパーキングエリアの防災機能を高めるため、自家発電設備の整備を進めています。自家発電設備は、必要最低限のエリア機能を維持するための電源を確保します。現在、自家発電設備を備えるエリアは19個所ですが、2015年度末には51個所とする計画です。

津波一時避難場所

津波来襲時の一時避難場所として高速道路区域の活用について協議を進めており、これまでに4箇所(徳島県・徳島市、西都市・新富町、高鍋町、須崎市)において自治体と一時使用に関する協定を締結しました。また、各避難場所では、円滑な避難ができるよう自治体及び避難対象となる住民の皆様による避難訓練を実施しています。

自治体、住民の皆様による避難訓練

自治体、住民の皆様による避難訓練

<協定締結状況>
平成23年8月
徳島県・徳島市 四国横断道 徳島IC~鳴門JCT
平成24年4月
西都市・新富町 東九州道 西都IC
平成24年7月
高鍋町 東九州道 高鍋IC~都農IC
平成24年7月
須崎市 高知道 須崎東料金所

4.災害への対応における組織の見直しと強化

防災担当部門の設置

防災担当部門の強化及び防災対策の推進を図るため、平成23年7月1日付けで本社に「危機管理防災課」を設置しました。

組織バックアップ体制の強化

被災により防災拠点(本社、支社、事務所)が機能しない事態を想定し、防災拠点相互の機能補完を進めています。アバンザビル及び吹田社屋に本部機能を整備するとともに、同時に被災する可能性が低い組織において、被災組織の機能を一時的にカバーできる仕組みを構築します。

また、災害発生時にグループ全体が総力を挙げて対応できるよう、グループ各社の役割の見直しを行っています。

5.BCP見直し、防災訓練など日頃の取り組みを強化

災害対応計画(BCP)の見直し

過去に経験をしたことがないような災害が発生した場合にも、道路機能を可能な限り短期間に回復し、安全・安心な道路空間を提供することを最大の使命と認識し、将来起こりうる災害に万全な防災体制の構築を具現化することを目的に災害対応計画の見直しを進めています。平成24年度内にグループ全社で見直しを行います。

NEXCO西日本の発災時における重点行動方針

  1. 人命(お客さま・社員)を初めとした安全確保と被災状況把握
  2. 地域の災害救助・救援に資する早期の緊急交通路機能の確保(使命)
  3. 高速道路機能の早期再開による暮らしと経済活動への貢献

防災訓練

機能的かつ円滑に災害対応にあたれるよう、社内訓練、関係機関と合同での図上防災訓練及び実働訓練を実施し、防災意識の向上、関係機関との連携強化に取り組んでいます。

関係機関と合同の災害図上訓練
関係機関と合同の災害図上訓練

関係機関と合同の実動訓練
関係機関と合同の実動訓練