平成26年12月15日(月曜)13時00分~18時00分
アスティとくしま1階 第2会議室
※中野部会長欠席につき、議長は鎌田副部会長が代行
守屋様から、様々なシギ・チドリ類の生態(生活史、食性、渡りのルート等)と東アジア・オーストラリア地域フライウェイの状況、国内外のシギ・チドリ類調査の取り組み等について講演があった。
(基調講演後の意見交換の主な内容を以下にまとめる。)
⇒守屋様より、東南アジア等は日本に比べると調査者がいないといった課題があるとの説明があった。
⇒守屋様より、全体的な分布域の変動について、明確で有意な傾向は分かっていない。また、分布域は季節変動が大きく、長期的な分析がされていないので何とも言えないとの説明があった。
⇒守屋様より、種によって様々であり、干潟ではゴカイ類、カニ類、ヨコエビ、甲虫類等を食べている。また、繁殖地では雑食で木の実等を食べているといった報告もあるとの説明があった。
(「高井正明様」(個人)発表後の意見交換の主な内容を以下にまとめる。)
⇒高井様から、コクガンは南岸の堤防の消波ブロックに付着した青ノリ等(平べったい幅のある、波がかぶると浮き出るようなノリ)を好んで食しており、波に揺られながら岩に付いている海藻やノリをつついていた。その採餌状況は、マラソンや散歩の方々に近寄っても逃げず、ヒドリガモが周りにいると大丈夫だと思って必死に食べているようだったとの説明があった。
⇒委員から、人工的な構造物が、状況によっては生物にとって食べやすい場所になる可能性もあるとの意見があった。
(ビロードキンクロ)
⇒高井様から、ビロードキンクロは水中に潜って採餌しており、何を食べているかは分からないが、主食とされている貝類を食べていると考えられるとの説明があった。
⇒高井様から、夜間調査は実施しておらず、今回紹介したコクガンの観察データは、日本野鳥の会 徳島県支部の記録であるとの説明があった。また、笠井様(日本野鳥の会 徳島県支部)から、鳥類の観察頻度については、雨が降らない限り、ほぼ毎日観察しているとの補足説明があった。
(「三宅武様」(日本野鳥の会徳島県支部)発表後の主な意見交換の内容を以下にまとめる。)
⇒三宅様から、毎日観察している中では、毎年3月中旬~末までが多く飛来しているとの説明があった。
⇒三宅様から、現在、チュウシャクシギは飛来しているものの、ホウロクシギは見かけないとの説明があった。また、笠井様(日本野鳥の会徳島県支部)より、人が近すぎると餌があるにも関わらず、見かけなくなるとの補足説明があった。
⇒三宅様から、ハマシギとダイゼンについて、飛来場所と橋との距離の関係を観察したことがあり、橋に近づくに従って出現数が少なくなる傾向が見受けられた。その原因として、騒音・振動など様々な関係が考えられるが、橋で囲まれたところは、危なくて中に入れない様になっていると思われるとの説明があった。
⇒三宅様から、猛禽類は絶えず来ており、阿波しらさぎ大橋の主塔にとまる確率が高いとの説明があった。
⇒三宅様から、ヤマトオサガニは、他のカニに比べてやわらかいからだと思うとの説明があった。
(「笠井正様」(日本野鳥の会徳島県支部)発表後の意見交換の主な内容を以下にまとめる。)
⇒守屋様から、野外で継続的に調査されたものは多くなく、動物園等の記録では、十数年単位、30年といった寿命があるとの説明があった。
⇒笠井様から、渡り鳥の寿命だけでなく、途中で吉野川の河口に来るのをやめる個体もあると思うとの発言があった。
(「井口利枝子様、志村智子様」(とくしま自然観察の会)発表後の意見交換の主な内容を以下にまとめる。)
⇒笠井様より、エリア4干潟の真ん中あたりから阿波しらさぎ大橋まで、すなわち阿波しらさぎ大橋の上流側が激減している。また、エリア4の干潟の真ん中あたりには船だまりがあり、絶えずそれらも影響していると思うとの発言があった。
⇒井口様から、鳥の種類によっては泥質、干潟環境の利用の仕方が異なっている。エリア4にある住吉干潟の特徴は、カニが多く、大型のホウロクシギ、小型のシギ・チドリ類が干潮に飛来してくるというのが印象として多かったとの説明があった。
⇒委員から、井口様より仮説的に提案されたエリア4の減少要因について、徳島県阿波しらさぎ大橋環境アドバイザー会議の検討結果では、橋梁の存在による飛翔阻害と、河口干潟のエリア1の拡大による影響が考えられ、どちらが重要であるかを決定づけるだけの科学的根拠を得ることができなかった。また、飛来総数は年次変動が大きく、それが橋の影響なのか、日本全体の変動パターンの影響なのか検討しきれていない状況だった。本検討会においては広域的なデータと関連付けながら局所的な状態をどう判断するのかを考えていくことが必要であるが、これを決定づけるだけの科学的根拠を持たすには現実的な限界もあり、どのように評価するかが重要との意見があった。
⇒委員から、井口氏より提案された統計解析手法ではn数(データの母数)がずれると検討結果が無意味になる可能性があり、解析手法の適用には難しい課題があるとの意見があった。
⇒委員から、本検討会を始めた時から、阿波しらさぎ大橋建設事業の経験を生かしながら、解析可能な調査設計を進めることが重要であるとの認識で進めていると説明があった。
⇒委員から、文献を調べたものの、橋が鳥類の分布などに影響を与える論文を見つけることができなかった。現在のところ、科学的知見がなく、どのような調査がよいのかも分からない状況である。ただし、過去のデータを見て明らかに橋梁の影響による飛翔高度の変化が確認されていることから、渡河橋の橋梁形式検討にあたっては飛翔高度への影響を最小限にするために主塔のない構造を提案させていただいたとの説明があった。
(「渡辺雅子様」(沖洲海浜を楽しむ会)発表後の意見交換の主な内容を以下にまとめる。)
⇒渡辺様から、安定した生息場所も必要だが、地形の撹乱がなく安定しすぎると植生が繁茂して被度が上がり、幼虫が住めなくなる状況も見受けられるとの説明があった。
⇒渡辺様から、ルイスハンミョウの移動方向は、これまでの2年間観察した結果を踏まえると、どこに向かってという動きではなく、広く分散し、分散した先に生息適地があればそこで増えると考えている。また、回廊の重要性については、回廊を作ったからといってルイスハンミョウが回廊を絶対に使うとは言えないものの、使いやすい環境を保てば回廊を使って人工海浜と河口干潟で交流があり続けると考えるとの説明があった。
⇒渡辺様から、ルイスハンミョウは、250m程度飛翔できていることを踏まえると、繋がっている必要がないと考えているとの説明があった。
⇒渡辺様から、2014年に合計300匹しており、1日に150匹した翌日でも数匹しか再捕獲できない状態であったとの説明があった。
⇒渡辺様から、その確認はできていないが、マーキングした個体が1カ月後も確認出来たため、マーキング時点で全て死ぬことはないことを確認しているとの説明があった。
⇒委員から、1日に150匹した翌日でも数匹しか再捕獲できない状態とマーキングによって死亡することが少ない仮定を踏まえると、ルイスハンミョウの数は多く、1日のうちに相当移動する考え方になるとの意見があった。
⇒渡辺様から、ルイスハンミョウの移動量は少ないと考えており、長期的に確認していかないといけない状況との説明があった。
⇒渡辺様から、風に乗ると人の高さよりもちょっと高いぐらいであるとの説明があった。
(「藤永知子様」(吉野川ラムサールネットワーク)発表後の主な意見交換の内容を以下にまとめる。)
⇒藤永様から、ラムサール条約の要件ではないものの、景観がそこなわれる。生態系にも影響がないようにしてほしい。四国にはラムサール条約湿地が一つもなく、その第一候補は吉野川河口である。それを認識して欲しいとの説明があった。
(生物観察データの活用に関する検討結果)
(生物観察データの活用に関する委員の意見および意見交換の主な内容を以下に示す。)
【一般の方々の生物観察データの活用について】
【希少種の評価について】
【影響要因の整理について】
(餌資源)
(捕食者)猛禽類
(障壁1)橋梁の存在による鳥類へのバリア効果
(障壁2)騒音・振動の影響
(障壁3)道路照明の影響
【影響の軽減措置について】
【ご提供いただいた生物観察データについて】
【モニタリング調査の進め方について】
【データに提供ついて】