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お知らせ

第4回 四国横断自動車道 吉野川渡河部の環境保全に関する環境部会(議事要旨)

1.日時

平成26年12月15日(月曜)13時00分~18時00分

2.場所 

アスティとくしま1階 第2会議室 

3.出席者

出席委員:
鎌田副部会長、桑江委員、浜野委員、森本委員

※中野部会長欠席につき、議長は鎌田副部会長が代行

オブザーバー:
国土交通省 四国地方整備局 徳島河川国道事務所 秋山副所長
徳島県 県土整備部 道路局 久住局長
事業者(事務局): 西日本高速道路株式会社 四国支社 建設事業部

松室部長
建設課 大木課長
徳島工事事務所 大内所長
徳島東工事区 坂東工事長

4.議題

(1)開会
(2)事業者挨拶
(3)議事ならびに説明事項
1)
これまでの経緯
2)
基調講演

(基調講演後の意見交換の主な内容を以下にまとめる。)

  • 傍聴者から、全世界のシギ・チドリ類の調査精度について質問があった。

    ⇒守屋様より、東南アジア等は日本に比べると調査者がいないといった課題があるとの説明があった。

  • 傍聴者から、地球温暖化によってハマシギの全国の分布域に影響があるのか質問があった。

    ⇒守屋様より、全体的な分布域の変動について、明確で有意な傾向は分かっていない。また、分布域は季節変動が大きく、長期的な分析がされていないので何とも言えないとの説明があった。

  • 委員から、シギ・チドリ類が何を採餌しているのか質問があった。

    ⇒守屋様より、種によって様々であり、干潟ではゴカイ類、カニ類、ヨコエビ、甲虫類等を食べている。また、繁殖地では雑食で木の実等を食べているといった報告もあるとの説明があった。

3)
生物観察データの紹介

(「高井正明様」(個人)発表後の意見交換の主な内容を以下にまとめる。)

  • 委員から、コクガンとビロードキンクロの採餌状況に関して質問があった。
    (コクガン)

    ⇒高井様から、コクガンは南岸の堤防の消波ブロックに付着した青ノリ等(平べったい幅のある、波がかぶると浮き出るようなノリ)を好んで食しており、波に揺られながら岩に付いている海藻やノリをつついていた。その採餌状況は、マラソンや散歩の方々に近寄っても逃げず、ヒドリガモが周りにいると大丈夫だと思って必死に食べているようだったとの説明があった。

    ⇒委員から、人工的な構造物が、状況によっては生物にとって食べやすい場所になる可能性もあるとの意見があった。
    (ビロードキンクロ)

    ⇒高井様から、ビロードキンクロは水中に潜って採餌しており、何を食べているかは分からないが、主食とされている貝類を食べていると考えられるとの説明があった。

  • 委員から、鳥類の観察時間及び観察頻度に関する質問があった。(カモ類は夜間に採餌行動をするものも多く、コクガンもカモ類と同様な食性をもっているかどうか)。

    ⇒高井様から、夜間調査は実施しておらず、今回紹介したコクガンの観察データは、日本野鳥の会 徳島県支部の記録であるとの説明があった。また、笠井様(日本野鳥の会 徳島県支部)から、鳥類の観察頻度については、雨が降らない限り、ほぼ毎日観察しているとの補足説明があった。

(「三宅武様」(日本野鳥の会徳島県支部)発表後の主な意見交換の内容を以下にまとめる。)

  • 委員から、春季におけるホウロクシギの最多観察数の確認時期について質問があった。

    ⇒三宅様から、毎日観察している中では、毎年3月中旬~末までが多く飛来しているとの説明があった。

  • 委員から、吉野川橋よりさらに上流にある2つの干潟に、以前はホウロクシギの飛来が確認されていたとの説明について、その観察状況を教えてほしいと質問があった。

    ⇒三宅様から、現在、チュウシャクシギは飛来しているものの、ホウロクシギは見かけないとの説明があった。また、笠井様(日本野鳥の会徳島県支部)より、人が近すぎると餌があるにも関わらず、見かけなくなるとの補足説明があった。

  • 委員より、橋梁上を通過する車の影響について、どう考えているか質問があった。

    ⇒三宅様から、ハマシギとダイゼンについて、飛来場所と橋との距離の関係を観察したことがあり、橋に近づくに従って出現数が少なくなる傾向が見受けられた。その原因として、騒音・振動など様々な関係が考えられるが、橋で囲まれたところは、危なくて中に入れない様になっていると思われるとの説明があった。

  • 守屋様から、猛禽類の観察状況について質問があった。

    ⇒三宅様から、猛禽類は絶えず来ており、阿波しらさぎ大橋の主塔にとまる確率が高いとの説明があった。

  • 委員から、ホウロクシギがヤマトオサガニを好む理由について質問があった。

    ⇒三宅様から、ヤマトオサガニは、他のカニに比べてやわらかいからだと思うとの説明があった。

(「笠井正様」(日本野鳥の会徳島県支部)発表後の意見交換の主な内容を以下にまとめる。)

  • 委員から、渡り鳥の寿命(フラッグ付調査データをみて)について質問があった。

    ⇒守屋様から、野外で継続的に調査されたものは多くなく、動物園等の記録では、十数年単位、30年といった寿命があるとの説明があった。

    ⇒笠井様から、渡り鳥の寿命だけでなく、途中で吉野川の河口に来るのをやめる個体もあると思うとの発言があった。

  • 笠井様から、徳島県全体に飛来する鳥類は減っていないが、住吉干潟に飛来するハマシギやダイゼン等の越冬個体数は激減した。その要因は、自動車走行による振動(工事振動も影響する)の影響が一番厳しいと考えられるとの発言があった。
  • 笠井様から、ガンカモ類の飛来数は吉野川の上流が増えており、吉野川河口だけ激減している。その要因は橋梁の存在が影響していると思っており、渡河橋整備による影響把握のため、河口干潟で騒音・振動調査を実施して欲しい。河口干潟ではコアジサシが繁殖し、東端はホウロクシギや他のシギも利用しており、振動があると留まるらなくなると思うとの発言があった。

(「井口利枝子様、志村智子様」(とくしま自然観察の会)発表後の意見交換の主な内容を以下にまとめる。)

  • 委員から、吉野川河口を4つのエリアに区分し、その中でシギ・チドリ類の出現数はエリア4で減少したという説明について、エリア4のどの辺りが減少しているのか質問があった。

    ⇒笠井様より、エリア4干潟の真ん中あたりから阿波しらさぎ大橋まで、すなわち阿波しらさぎ大橋の上流側が激減している。また、エリア4の干潟の真ん中あたりには船だまりがあり、絶えずそれらも影響していると思うとの発言があった。

  • 委員から、吉野川の河口干潟のすばらしさは、エリア4だけではなく、エリア全体(エリア1~4)と思っており、エリア全体に飛来する鳥類が減るのであれば、吉野川全体の環境悪化の可能性があると言えるかもしれない。また、エリア4に飛来する鳥類が減ることで、他のエリアはむしろエリア全体がバランスするように増える場合には、吉野川河口干潟がどのように評価されるべきなのかといった疑問もあるため、エリア4に限定される特殊性があるのであれば教えていただきたいとの質問があった。

    ⇒井口様から、鳥の種類によっては泥質、干潟環境の利用の仕方が異なっている。エリア4にある住吉干潟の特徴は、カニが多く、大型のホウロクシギ、小型のシギ・チドリ類が干潮に飛来してくるというのが印象として多かったとの説明があった。

    ⇒委員から、井口様より仮説的に提案されたエリア4の減少要因について、徳島県阿波しらさぎ大橋環境アドバイザー会議の検討結果では、橋梁の存在による飛翔阻害と、河口干潟のエリア1の拡大による影響が考えられ、どちらが重要であるかを決定づけるだけの科学的根拠を得ることができなかった。また、飛来総数は年次変動が大きく、それが橋の影響なのか、日本全体の変動パターンの影響なのか検討しきれていない状況だった。本検討会においては広域的なデータと関連付けながら局所的な状態をどう判断するのかを考えていくことが必要であるが、これを決定づけるだけの科学的根拠を持たすには現実的な限界もあり、どのように評価するかが重要との意見があった。

    ⇒委員から、井口氏より提案された統計解析手法ではn数(データの母数)がずれると検討結果が無意味になる可能性があり、解析手法の適用には難しい課題があるとの意見があった。

  • 井口様から、阿波しらさぎ大橋建設事業では調査方法が徐々に変わったことが課題と考えており、影響が抽出できる様な調査方法をもう一回見直したり、提案をさせていただきたいという意見があった。

    ⇒委員から、本検討会を始めた時から、阿波しらさぎ大橋建設事業の経験を生かしながら、解析可能な調査設計を進めることが重要であるとの認識で進めていると説明があった。

  • 渡辺様(沖洲海浜を楽しむ会)から、阿波しらさぎ大橋と同様に空間を分断し、鳥類の個体数、種数が変動した事例があれば、適切な調査方法が決まるのではとの質問があった。

    ⇒委員から、文献を調べたものの、橋が鳥類の分布などに影響を与える論文を見つけることができなかった。現在のところ、科学的知見がなく、どのような調査がよいのかも分からない状況である。ただし、過去のデータを見て明らかに橋梁の影響による飛翔高度の変化が確認されていることから、渡河橋の橋梁形式検討にあたっては飛翔高度への影響を最小限にするために主塔のない構造を提案させていただいたとの説明があった。

(「渡辺雅子様」(沖洲海浜を楽しむ会)発表後の意見交換の主な内容を以下にまとめる。)

  • 委員から、今回の発表の主旨は、ルイスハンミョウにとってある程度安定した生息場所を用意しておく必要があるという考え方の提案なのかとの質問があった。

    ⇒渡辺様から、安定した生息場所も必要だが、地形の撹乱がなく安定しすぎると植生が繁茂して被度が上がり、幼虫が住めなくなる状況も見受けられるとの説明があった。

  • 委員から、ルイスハンミョウの移動方向および、回廊の重要性の考え方について質問があった。

    ⇒渡辺様から、ルイスハンミョウの移動方向は、これまでの2年間観察した結果を踏まえると、どこに向かってという動きではなく、広く分散し、分散した先に生息適地があればそこで増えると考えている。また、回廊の重要性については、回廊を作ったからといってルイスハンミョウが回廊を絶対に使うとは言えないものの、使いやすい環境を保てば回廊を使って人工海浜と河口干潟で交流があり続けると考えるとの説明があった。

  • 委員から、ルイスハンミョウにとって河口干潟と右岸の堤防沿いが陸続きで繋がっていた方が良いのか質問があった。

    ⇒渡辺様から、ルイスハンミョウは、250m程度飛翔できていることを踏まえると、繋がっている必要がないと考えているとの説明があった。

  • 笠井様から、ルイスハンミョウ調査のマーキングは何頭したのかとの質問があった。

    ⇒渡辺様から、2014年に合計300匹しており、1日に150匹した翌日でも数匹しか再捕獲できない状態であったとの説明があった。

  • 笠井様より、捕まえたことによる負荷によって死んだ可能性があるのではないかと質問があった。

    ⇒渡辺様から、その確認はできていないが、マーキングした個体が1カ月後も確認出来たため、マーキング時点で全て死ぬことはないことを確認しているとの説明があった。

    ⇒委員から、1日に150匹した翌日でも数匹しか再捕獲できない状態とマーキングによって死亡することが少ない仮定を踏まえると、ルイスハンミョウの数は多く、1日のうちに相当移動する考え方になるとの意見があった。

    ⇒渡辺様から、ルイスハンミョウの移動量は少ないと考えており、長期的に確認していかないといけない状況との説明があった。

  • 委員から、ルイスハンミョウの飛翔高度について質問があった。

    ⇒渡辺様から、風に乗ると人の高さよりもちょっと高いぐらいであるとの説明があった。

  • 委員より、提案主旨は、ルイスハンミョウにとって河口干潟が重要だから残してほしい、回廊を作り、回廊が途切れないような工夫と検証、並びに情報交換が部会への要望であることを渡辺様に確認した。

(「藤永知子様」(吉野川ラムサールネットワーク)発表後の主な意見交換の内容を以下にまとめる。)

  • 委員から、吉野川河口に渡河橋が整備されるとラムサール条約に登録できないわけではないのではとの質問があった。

    ⇒藤永様から、ラムサール条約の要件ではないものの、景観がそこなわれる。生態系にも影響がないようにしてほしい。四国にはラムサール条約湿地が一つもなく、その第一候補は吉野川河口である。それを認識して欲しいとの説明があった。

4)
生物観察データの活用
  • 上記3)「生物観察データの紹介」で発表いただいた内容に基づき、生物観察データ等の活用方法検討及び意見交換。

(生物観察データの活用に関する検討結果)

  • 今回、一般の方々から提供いただいた生物観察データから、鳥類のビロードキンクロ、コクガン、ホウロクシギの3種の希少種の関しては、環境モニタリング調査計画に活用していく方針とし、そのデータ提供に関しては一般の方々(日本野鳥の会徳島県支部)と調整を図り、次回の環境部会において、その調整結果と活用方法の具体化について議論することとなった。

(生物観察データの活用に関する委員の意見および意見交換の主な内容を以下に示す。)
【一般の方々の生物観察データの活用について】

  • 委員から、鳥類調査は現実的に取れるデータ量や予算的な制約条件がある中で橋の影響を把握する必要があり、鳥類の環境モニタリング調査は吉野川河口の優占種であるシギ・チドリ類の飛来ピークにあわせた調査設計となっている。しかし、優占種や典型種だけが重要であり、生物多様性や希少種が軽視されるべきではないと考えている。事業者側の優占種、典型種に対する調査データと、一般の方々が保有する希少種などの濃密で正確な頻度の高いデータの両方が合わさることで補完的な関係になり、生物多様性や希少性の評価にも繋がっていく可能性があるとの意見があった。

【希少種の評価について】

  • 委員から、一般の方々から提出いただいたデータにより、渡河橋周辺水域の水面をガン・カモ類が使用していることや天然記念物(コクガン)が飛来したことが確認された。これにより、周辺水域におけるガン・カモ類の水面利用と飛来個体数が少ない希少種に対する影響についての重要性をどう取扱うのかといった議論が必要ではとの意見があった。
  • 委員から、ビロードキンクロ、コクガンなどの渡河橋付近の水域を利用する鳥類については、これまでに検討してきた物理量で影響評価できるかが重要なポイントであり、具体的には、餌量やハビダット量で評価することが考えられるとの意見があった。(鎌田委員)

【影響要因の整理について】

  • 委員から、吉野川河口の鳥類に対する影響要因は、主に餌資源、捕食者、障壁が考えられるとの説明があり、それに関して下記の意見交換がなされた。

(餌資源)

  • 委員から、ビロードキンクロが餌としている底生生物に関しては、底生生物調査から把握するしかなく、現在の調査方法でモニタリングできる調査設計になっているとの意見があった。

(捕食者)猛禽類

  • 委員から、自然界において生物の分布に影響を与えるのは餌と捕食者である。吉野川河口でハヤブサの餌が担保されており、またハヤブサが多いというわけではないのであれば、吉野川河口の鳥類の生態系の中で、猛禽類に問題がないという理解になるとの意見があった。

(障壁1)橋梁の存在による鳥類へのバリア効果

  • 委員から、鳥類に対する橋梁の存在によるバリアの影響は、参考となる論文や文献がなく科学的にはっきり論証されたものがないというのが実情であるとの説明があった。
  • 委員から、千葉県の谷津干潟を例とすると、様々な障害物があるものの多くの鳥類が飛来しているため、鳥類は餌資源、捕食者、構造物のバリアによる影響等のバランスを総合的に判断して飛来場所を決めていることも考えられる。また、このような行動は谷津干潟の周辺に良い場所がないために、そこに多く集まっているという考え方もあるとの意見があった。
  • 委員から、吉野川の環境は一体的なものと考えており、吉野川河口のエリア1~4における評価方法について、各エリアに分けて検討することに余り意義を感じないとの意見があった。

(障壁2)騒音・振動の影響

  • 委員から、騒音は鳥類に対してあまり関係がないと考えているとの意見があった。
  • 委員から、鳥類に対して激しい振動であれば何か影響が生じるかもしれないが、自動車走行の振動レベルであれば、干潟に振動計を設置したとしても波の振動と比較してどちらが大きいのか一概に言えないレベルになると思われるとの意見があった。
  • データ提供者(三宅様)から、鳥類と橋との距離が短い場合、自動車の移動によって、鳥類は恐怖を抱くとの発言があった。
  • データ提供者(笠井様)から、鳥類に橋自体の振動が影響し、阿波しらさぎ大橋では開通前から住吉干潟に行かなくなったとの発言に対し、委員から橋自体の構造上の違いも振動に関連すると考えられる。例えば吊り橋であればケーブルの振動などが影響する可能性もあるとの意見があった。
  • 事務局から、橋の振動に関して大きな要因が2点あり、1つは鉄橋のような構造で桁がたわむことによる空気振動、2つ目は橋と橋のジョイントと言われる継ぎ目の段差を自動車が走行することによって生じる振動であり、2つ目が最も大きな要因である。今回の渡河橋は、2つ目の要因に対して、環境保全対策として連続桁橋にすることで橋梁部にジョイントを設けない構造(土工と橋梁部の継ぎ目は除く)としており、振動に対して配慮した構造を採用しているとの説明があった。
  • データ提供者(笠井様)から、吉野川河口干潟で騒音・振動調査を行ってはどうかとの提案があった。これに対し委員から、現時点で渡河橋に対する騒音・振動調査を行っても鳥類に影響が生じるか評価が出来ないため、振動に対する鳥類の許容範囲を検証するためには、橋梁の近くに鳥類が居る場所を例とした比較検討が良いと考えられるとの意見があった。

(障壁3)道路照明の影響

  • 委員から、鳥類は自動車のヘッドライト等の強い光は嫌がる傾向があるものの、渡河橋は、鳥類が居る干潟や人工海浜に対して、走行する車両のヘッドライトが直接当たるような構造になっていないとの説明があった。
  • データ提供者(笠井様)から、阿波しらさぎ大橋の道路照明の影響調査していただき、渡河橋の光を抑えることを検討してほしいとの発言があった。これに対し委員から、渡河橋は道路照明が整備される計画となっていないとの説明があった。

【影響の軽減措置について】

  • データ提供者(高井様)から、影響評価は予め渡河橋の影響軽減の措置を行ったうえで、それを評価する調査をするべきであるとの発言があった。これに対し委員から、渡河橋は、主塔をたてない、鳥類の飛翔阻害が少ないスパン割など、できるだけの低減策を検討のうえ採用している。しかし、これらの低減策がどれだけ功を奏したかは、影響軽減の措置前と措置後では、時間経過に伴う環境変化の影響があるため、検証が困難との説明があった。

【ご提供いただいた生物観察データについて】

  • 委員から、吉野川河口にはすでに複数の橋梁が整備されており、新たに橋梁が整備されることで、その上流側にどれくらい行かなくなるのかが非常に大事な参考データになると思っていた。しかし、本日お示しいただいたデータ等からは飛来している場合、飛来していない場合もあり、結果として、橋梁の影響はよく分からなかった。また、吉野川河口には鳥類の餌資源があり、餌の影響による鳥類分布の変化があるような感じでもなかった。これらのことから、バリアの影響と餌の影響による飛来状況の変化が単純ではないというのが印象であるとの意見があった。
  • データ提供者(高井様)から、阿波しらさぎ大橋建設事業の環境モニタリング調査における、橋の上を飛ぶ野鳥の飛翔高度の変化と、そこを通過した鳥の数をもう一度見てくださいのとの発言があった。これに対し委員から、渡河橋の整備によって飛翔高度に影響することは分かっており、認識は一致している。ただし、現状は飛翔高度が変化しても良い餌場があれば利用している状況にあり、飛翔高度の変化が鳥類の分布にどう影響を与えているか、橋の影響による最終的な餌場の分布にどう鳥類へ影響を与えるかについては、現状で分からないとの説明があった。

【モニタリング調査の進め方について】

  • データ提供者(井口様)から、環境モニタリング調査は影響回避するために実施するのか、データを集めるために実施するのかとの発言があった。これに対し委員より、調査自体は渡河橋の影響がどれだけあるのか、ないのか根拠をもって示すことである。
    また、今回一般の方々からデータを募集したのは、一般の方々で見識も持った方々の意見をぜひ聞きたいという建設的な取り組みであり、渡河橋整備による影響をできるだけ低減するような措置を何らかできる方法を取りたいということをみんな意識している。そのためここで意見が対峙してしまうと、この先の話が進まなくなるため、善意に解釈しながらデータを出していただきたいとの意見があった。

【データに提供ついて】

  • 委員から、今回のホウロクシギの様な詳細な調査を今後も継続して実施していただけるのであれば、影響評価の検討に非常に重要なデータになると考えられるとの説明があった。
  • 委員から、今回提出された希少種のデータを今後も示していただくことで、環境モニタリング調査で得られる水深や底質のデータとある程度関連付けることで、何らかの評価ができる可能性があるとの説明があった。
  • ガンガモ類は、吉野川全体としての出現状況も見えておらず、その他の河川として那賀川等も含めた広域的なデータを踏まえて検討することが重要だと思う。また、その広域的なデータは事業者だけでなく、一般の方々からもデータを提供していただき、協働、協力の仕方を検討する必要があると考えられるとの意見があった。
  • 事務局から、今回一般の方々から提示のあった3つの種(コクガン、ビロードキンクロ、ホウロクシギ)のデータについてご提供いただければ、次回の環境部会の場で報告と確認して方向性を検討するとの提案があった。これに対しデータ提供者(三宅様)より、今回は生データの提供を避けており、過去のデータをどのように利用するのか、今後の調査はどんなの調査が良いのかというのを事前に説明いただいたら、また返答したいとの説明があった。
5)
今後の予定

5.閉会

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