▲ 

お知らせ

第5回 四国横断自動車道 吉野川渡河部の環境保全に関する環境部会(議事概要)

1.日時

平成27年2月24日(火曜)14時00分~16時00分

2.場所 

アスティとくしま2階 研修室1・2

3.出席者

出席委員:
中野部会長、鎌田副部会長、桑江委員、上月委員、浜野委員、森本委員、和田委員
オブザーバー:
国土交通省 四国地方整備局 徳島河川国道事務所 秋山副所長(代理出席 四宮課長)
徳島県 県土整備部 道路局 久住局長
事業者(事務局): 西日本高速道路株式会社 四国支社 建設事業部

松室部長
建設課 大木課長
徳島工事事務所 大内所長
徳島東工事区 坂東工事長

4.議題

(1)開会
(2)事業者挨拶
(3)議事ならびに説明事項
1)
事前調査の結果報告(速報)

※各調査項目別に、委員からあった主な意見等を以下にまとめる。

  • 水質調査(速報)(153KB) PDFファイルを開きます
    • 特になし。
  • 地形調査(速報)(673KB) PDFファイルを開きます
    • 委員から、今回の地形調査の結果より、平成26年8月の台風の影響によって河口干潟や両岸のみお筋の地形変化が生じ、吉野川河口の地形のゆらぎが大きいことが確認された。また、確認された地形変化は平成16年度の台風(21号や23号)でも同様に生じている現象で、10年程度の発生頻度で起こるものと考えられる。ただし、この地形変化は、昭和40年頃の人為的な砂利採取等によって毎年砂州が大きく変化していた頃に比べるとそれほど大きくない変化であると言え、人為的な要因のない自然のゆらぎのみを捉えた変化であると考えられるとの意見があった。
  • 底生生物・底質調査(速報)(612KB) PDFファイルを開きます

    <潮間帯定量調査>

    • 委員から、事前調査で確認された底生動物の中で、比較的注目した方がよい種はヒガシナメクジウオ(先行事例の阿波しらさぎ大橋建設事業の調査でも見つかっていない種)との意見があった。
    • 委員から、底生動物の出現状況と粒度組成、地盤高がどう関連しているか明らかにする必要があると考えられる。事前調査の結果から3つのハビタット区分(河口干潟の東側から沖合の河口テラスまで繋がる尾根地形(フジノハナガイが確認)、河口干潟南東の緩い勾配の平坦な地形(オオアシソコエビ属が多く確認)、左岸側みお筋の最下流部の地形(マクラガイが確認))が想定されることを踏まえると、これが地形の区分として妥当か詳しく見ていくことが必要と考えられるとの意見があった。
    • 委員から、底生動物のハビタットを考える上では、調査で確認されたフジノハナガイやマクラガイといった底生動物に遊泳機能があって選択的に吉野川渡河部周辺に集まっているのか、出水などの物理的な影響で集まっているのか分からないため、種の生態や生活史を踏まえながら議論する方が良いと考えられるとの意見があった。
    • 委員から、底質の粒度や地盤高だけでなく、化学指標(全窒素、全リン、COD、TOC、全硫化物など)も参考に、底生動物の生息環境を整理する方が良いとの意見があった。

    <潮間帯定量調査>

    • 特になし。

    <付着生物調査(消波ブロック部)>

    • 特になし。
  • 鳥類調査(速報)(641KB) PDFファイルを開きます

    <飛翔状況調査・生息状況調査>

    • 委員から、2m以下を飛翔するシギ・チドリ類に対して、レーダー観測では水面上のどこまで測定できるのか、また、レーダーの空間解像度について質問があった。

      ⇒事務局より、レーダーによる観測は、波が立っていなければ水面まで観測でき、レーダーの空間解像度はメートル単位の機能を有している。ただし、吉野川渡河部は波が立っている状況下での観測であることから、観測可能な範囲としては波の頭程度までとしている。このため、水面に近い(波の頭から水面までの高さ範囲)ところやレーダーの不可視域を飛翔する種に対しては、セオドライト機能のあるレーザー測定器で直接視認して計測し、その結果をレーダーの観測結果と統合しているとの説明があった。

    • 委員から、今回の調査結果にて、シギ・チドリ類の天敵であるタカ・ハヤブサ類が上空を飛翔し、その下をシギ・チドリ類が飛翔している(空間的な使い分け)のは、捕食者からの回避行動と考えられるのか質問があり、専門委員から、今回の飛翔分布は一般的な分布になっていると考えられるとの説明があった。
    • 委員から、飛翔状況調査の結果により、シギ・チドリ類の飛翔高度は低く、飛翔経路はマリンピア沖洲人工海浜と河口干潟の間を移動する個体数が比較的多いことが分かる。今後の飛翔変化については、飛翔高度の変化だけではなく、飛翔経路の変化についても注視する必要があるとの意見があった。
    • 委員から、今回の調査結果により、小松海岸でシロチドリが予想より多く休息していることが確認されているが、そのシロチドリが採餌のために移動(小松海岸や人工海浜から河口干潟に移動)した結果が得られていない。この昼間調査の結果から推察すると、シロチドリは夜間の移動や吉野川河口ではないところで採餌している可能性がある。なお、シロチドリは小さな個体であり1日中採餌をしないことは考えられないし、これまでの研究で活動的に採餌するのは夜間の方であることが分かっているとの説明があった。
    • 委員から、河口干潟の右岸側が途切れて野犬や人が侵入できる環境になかった過去においては、シギ・チドリ類のねぐらとして河口干潟が多く利用されていた。近年は河口干潟と右岸側が繋がっていたため、より安全な人工海浜をねぐらとする様になったとも考えられる。また昨年の8月の出水によって再び右岸側が途切れた環境に戻ったことで、今後のねぐら場所の変化が気になるとの意見があった。
    • 委員から、カワウとシギ・チドリ類の出現場所の棲み分け、およびシギ・チドリ類の陸上部における飛翔の有無について質問があった。

      ⇒委員より、カワウは比較的地盤が高く、底質が乾いた箇所、シギ・チドリ類は潮間帯から水際で観察されることから、出現場所は競合していないと考えている。また、シギ・チドリ類の飛翔場所について、これまでの調査結果では陸上を飛翔する個体数は少なかったと聞いているとの説明があった。

  • 魚類調査(速報)(211KB) PDFファイルを開きます
    • 委員から、今回の調査結果では重要種が確認されていないとの説明であったが、確認されたマゴチやヒラメは重要と考えている。高次捕食者であるマゴチやヒラメがいるのは、それだけ良い餌がいて、良い環境であるということを示しており、今後続けて調査することが必要との意見があった。
2)
調査計画のブラッシュアップ
  • 事務局から資料1「 調査計画のブラッシュアップの検討(138KB) PDFファイルを開きます 」を説明。

    ※各調査項目別に、委員からあった主な意見等を以下にまとめる。

    水質調査

    • 現調査計画どおりにて、継続実施が了承された。

    地形調査

    • 現調査計画どおりにて、継続実施が了承された。

    底生生物・底質調査

    <潮下帯定量調査>

    • 現調査計画どおりにて、継続実施が了承された。
    • 潮間帯におけるハビタット区分の仮説を立てるための調査地点の再設定の提案があったことにより、委員による議論がなされた結果、ハビダット区分に関する分析を専門委員の指導を得ながら行っていくこととなった。

    ※潮下帯定量調査に関して、委員からあった主な意見等を以下にまとめる。

    • 委員より、河口域にマクラガイやフジノハナガイが出現するのは、それぞれの種に適した環境が部分的に凝縮されている状況と考えている。河口域はいわゆる生態系でいう推移帯で、細かく地形変化する安定しない場所であり、その部分的な生息環境が常に同じ場所に用意されないことは明らかと考えている。また、解析するのであればどの種を抽出してどう解析するかといった議論となるが、希少種を抽出することとは別の問題であるとの意見があった。(例えば、希少種のフジノハナガイを抽出して、そのハビタットを把握することになれば小松海岸のほうに議論を広げる必要性がある)
    • 委員より、現時点の限られたデータであっても、底生動物のハビタットを検討する意味はあると考えられる。また、検討する場合は、目的変数を種組成や多様性指数とし、説明変数を底質の粒度組成、地盤高、距離要因等で解析すれば良いと考えられるとの意見があった。
    • 委員より、渡河部周辺は沖合からの波が屈折して浸入し、河口干潟の東側の先端で砕波帯となっている。その砕波帯は水深が2m~1m弱程度で、平時は底質の移動限界にあたる場でもあり、常に砂が少しずつ移動する状況になっていると考える。すなわち、砕波帯はフレッシュな砂が常に変わるような場といえ、そのような環境に選好性のある種が生息している可能性が想定されるとの意見があった。
    • 委員より、砕波帯の浅瀬にはフジノハナガイが生息しているが、同様の地盤高、粒度の環境でありながら波の影響が少ない河川側上流のB-5やB-6では出現していないことから、生息環境に波が重要な要素になっている可能性が考えられる。また、フジノハナガイは波に乗って動き、移動能力が高く、砕波帯の中の栄養が収れんしている様な場に移動して集まってくる可能性があるのではとの意見があった。
    • 委員より、貝類などの底生動物が毎年同じ様に加入してくると様々なサイズがそこで確認される。それによって生物がそこに居続けているかどうかが分かる。今回の調査でマクラガイは小さいサイズが採取されたが、次回の調査でも同様に小さい個体が多ければ、大きい個体は小松海岸の方に移動している可能性があるとの意見があった。
    • 委員より、ソコエビ類は、砕波帯でも安定した環境で爆発的に増えることがある種であり、今回の調査結果でも突出して個体数の多い地点が確認されている。底生生物調査は、採泥器で河床の表層から数cmに生息する種を採取しており、一方で地形調査の結果では半年間で地盤高が50cm程度の地形変動が確認されていることから、採取した底生動物は砂と一緒にもまれながら参入して生息する種と認識してデータを解析、理解する必要があるとの意見があった。

    <潮間帯定量調査>

    • 現調査計画どおりにて、継続実施が了承された。

    <付着生物調査(消波ブロック部)>

    • 現調査計画どおりにて、継続実施が了承された。

    鳥類調査

    <飛翔状況調査・生息状況調査>

    • 現調査計画どおりにて継続実施が了承された。
    • 夜間のシギ・チドリ類の行動把握を目的とした追加調査を行うことが望ましいものの、技術的に難しい面があることから、試験的な位置づけで夜間のレーダー観測及び暗視スコープ等による調査を行うこととなった。

    ※鳥類調査に関して、委員からあった主な意見等を以下にまとめる。

    • 委員より、今回の鳥類調査はシギ・チドリ類全体を対象に調査するものであるが、現状把握を行うには、一部のシロチドリの夜間行動が気になるところである。ただし、夜間調査の実施については技術的な課題もあり、実施したとしても十分な結果が得られない可能性があるとの意見があった。
    • 委員より、種類が分からなくても干潟にいる鳥類の夜間総数を捕捉できないかとの質問があった。

      ⇒事務局より、夜間に暗視スコープで目視確認できる範囲に対して調査することや、夜間レーダー観測(鉛直方向)を実験的にやってみるとの説明があった。

    魚類調査

    • 現調査計画どおりにて継続実施が了承された。
3)
生物観察データの活用検討
  • 事務局から資料1「 生物観察データの活用(85KB) PDFファイルを開きます 」を説明。
    • 一般の方々からの生物観察データの生データが入手困難であることから、今後の継続検討事項となった。
4)
今後の予定

5.閉会

Get Adobe Reader

PDFファイルをご覧になるには、Adobe Readerが必要です。