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お知らせ

第7回 四国横断自動車道 吉野川渡河部の環境保全に関する検討会(議事概要)

1.日時

平成28年8月3日(水曜)10時00分~12時00分

2.場所 

アスティとくしま1階 第2会議室

3.出席者

出席委員:
山中座長、中野部会長、鎌田副部会長、成行部会長、長尾副部会長、大田委員、桑江委員、上月委員、真田委員、橋本委員、浜野委員、森本委員、和田委員
オブザーバー:
国土交通省 四国地方整備局 徳島河川国道事務所
道路調査第二課 楠課長(代理出席)
徳島県 県土整備部 運輸戦略局 高規格道路課 鎌田課長(代理出席)
事業者:
西日本高速道路株式会社 四国支社 建設事業部
井ヶ瀬部長
建設課 里部課長
徳島工事事務所 福冨所長
吉野川工事区 今村工事長

4.議題

(1)開会
(2)事業者挨拶
(3)議事ならびに説明事項
  1. 規約の変更

    ※本項目について、事業者から議事内容の情報公開に関する規約の変更が提案され、了承された。

  2. 工事の実施状況(平成27年11月~平成28年5月)

    ※以下に、委員からあった主な意見等をまとめる。

    • 委員から、「浚渫した土砂を盛土に転用することに対し、浚渫した土砂には塩分が多く含まれており、その盛土の上に構造物を作るとしたら、非常に良くないと考えられるとの意見があった。また、浚渫した土砂を脱塩して使用、もしくは、河川内に戻す方が良いのではないか」との質問があった。

      ⇒事業者より、「浚渫した土砂は盛土の路体に使用し、構造物には関係のないところに使用することを予定している」との説明があった。

    • 委員から、「鳴門金時の畑の砂が無く弱っているため、浚渫した土砂を畑に転用して欲しい」との意見があった。

      ⇒事業者より、「農業関係者の方に浚渫した土砂を見ていただいたが、泥の成分が多く、使いにくいという意見があったこと」を説明した。

  3. 事前調査の結果報告
  4. 工事中調査の結果報告(速報)
  5. 浚渫の影響評価

    ※本項目について、以下の意見を踏まえて、検討を進めていくことで了承された。

    ※以下に、委員からあった主な意見等をまとめる。

    • 委員から、「浚渫の影響評価が底生動物で処理されていることに関して、解析方法が生物の量的な違いを考慮せず、在・不在のデータでの評価となっている。生物の生息密度の高い場所がその種の好適な場所であるため、比較的密度の高い場所に限定して解析した場合、浚渫の影響評価の割合が高くなるのではないかと危惧される」との意見があった。

      ⇒事業者より、「指標種の選定については、これまでの4回の調査で連続して出現した種、また、一般的な種というルールを用いているが、密度が濃いところは現在の検討の中では加味されておらず、地盤高から割り出した生息可能場面積に対する、浚渫の影響面積の比較にしかなっていない」との説明があった。

      ⇒別の委員から、「この議論は選好範囲を出現種の個体数で絞り込みして感度分析のような解析を行い、密度の高いところに絞っていくものである」との意見があった。

      ⇒別の委員から、「解析に個体数を使用しなかった理由はあるのか」との質問があった。

      ⇒事業者より、「解析に個体数を使用しなかった理由は特に無い。また、情報として個体数のデータを持っているので、個体数の多い箇所に限定したデータで解析することは可能である。しかし、潮下帯の調査は人が目視できない場所にて、採泥器を用いる調査を行っていることから、個体数について不確実性を伴うデータになる」との説明があった。

      ⇒別の委員から、「浚渫の影響評価に関して一番心配するところは、浚渫予定箇所に重要種の生息密度が高い場所は集中していないのかということである」との意見があった。

      ⇒事業者より、「重要種の生息密度に関しては、モニタリングをしながら監視していきたい」との説明があった。

      ⇒別の委員から、「浚渫による大きなダメージがある場所の個体数が多いのか少ないのかチェックした方が良い。ただし、この議論は浚渫した箇所が将来的に回復するということが前提であるため、浚渫の影響の大きさと回復する可能性の両方から検討していくべきである」との意見があった。

    • 委員から、「影響評価に選択した指標種は、浮遊性のもので、全体に幼生が定着するようなものではないかと考えられる。移動性が少なく、生死で後の生息密度が決まるものであり、このような種がいるから浚渫をしないという意見より、浚渫しても周りに十分なバックアップ領域があるか、後のローカルポピュレーションが戻るかという問題を検討するべきである。また、検討結果に個体数を情報として加える等、一定の基準があっても良いと考えられる。個人的な意見としては、どこに個体数が多いかは情報としてあっても良いと考えており、調査地点数が少ない中で、実際に捕獲できるかできないかのバラツキがあったとしても、在・不在だけの状態だともったいないと考えられる」との意見があった。

      ⇒別の委員より、「通常、個体数を考慮した生息適性を検討する場合、SI曲線を使用し、その場での最大個体数を評価することとなる。そして、そのSI曲線を掛け合わせたり、足し合わせたりすることで、最終的に生息適正度が評価できる。しかし、このような解析をするには、調査で出た個体数がその場所の最大個体数であるというような、ある程度の見込みが見えないと評価が難しい。したがって、限られたデータの中では、在・不在のみの検討にならざるを得ないため、仕方がないと考えられる。最大個体数が把握出来るもっと密度の高い調査を実施しているのならばともかく、この調査の中では適正な分析が行われている」との意見があった。

      ⇒別の委員から、「解析方法として個体数の基準値をつくって、その基準値を超えた個体数だけで選好度モデルを作成すると、生息密度をコンター図のような形で表現できるのではないか」との意見があった。

    • 委員から、「説明資料のP33に示した浚渫範囲からは、橋脚のP4、P5、P6あたりは3m近くの浚渫になると考えられる。実際、3m浚渫したとき、地盤高や粒度が元に戻るという仮定で大丈夫なのか。戻るとしたら、どのくらいの期間が必要になるのか。また、この浚渫範囲について広すぎると感じるが、深い所から台船が侵入するためこの様な浚渫範囲になるのか、また、最大浚渫範囲よりも浚渫範囲が狭まる可能性はあるのか」との質問があった。

      ⇒事業者より、「台船は吃水が3.5m必要であり、深い所から侵入する計画としている。作業スペースを考慮し、この浚渫範囲が必要になる。ただし、最大時の浚渫予定範囲であること、また、現在行っている地形測量によって、狭まる可能性はある」との説明があった。

      ⇒別の委員より、「浚渫した場所はどのくらいの期間で元に戻るのかということに対し、台風が来るかどうかによって随分違うと思うが、5m程度の高波浪が来れば1回で元に戻り、低波浪であれば数年はかかるであろうと考えられる。特に、浚渫する箇所は砕波帯であり、常に砂が動き、撹乱が生じている状態が平衡状態であるため、そんなに心配はいらないと考えられる」との説明があった。

    • 委員から、「底質について含泥率と地盤高だけで議論しているが、窒素やCOD、強熱減量等を使用して整理すれば、生物の出現傾向についてクリアな説明が出来るようになるのではないかと考えられる。また、選好度モデルの飛び地についても説明できる可能性もある」との意見があった。
    • 委員から、「浚渫する場所には、実際にどのような生物がいるのかという情報が無いため、平成28年10月の底生生物調査時に、どんな生物が生息しているのかを事前に記録しておくべきである。この情報が無いと、今後、生物が戻ってくるか来ないかの議論は出来ず、推測に推測を重ねたものになってしまう」との意見があった。
    • 委員から、「浚渫箇所について自然に埋め戻されるかもしれないが、橋脚が建つ部分に関しては永久的に失われることになるので、橋脚の存在によって消失する面積を資料の中に追加した方が良い。また、橋脚による地形変動への影響を与える幅はあると考えるので、橋脚が出来る前後での地形に及ぼす影響を見ておいた方が良い」との意見があった。

      ⇒事業者より、「永久的に残る構造物の寸法については確定しているので、何らかの資料の中に記載し、影響度合いについては、相談しながら検討を進めていきたい」との説明があった。

    • 委員から、「浚渫箇所のモニタリングの地点の追加については補足的に実施するという提案でよいのか」との質問があった。

      ⇒事業者より、「環境モニタリングの調査地点を選定したものと同様になるかは分からないが、実際に施工する橋脚の箇所については、前後の比較として、補足的な調査であれば検討は可能だと考える」との説明があった。

    • 委員から、「今まで行ってきた調査は環境アセスメントのためのものであり、浚渫箇所のモニタリングとは異なるものである。そのため、調査の手段は変わる可能性もあるが、浚渫した箇所に生物が戻ってくるかどうかの事後評価を行うものとして実施するべきである」との意見があった。
    • 委員から、「浚渫箇所のモニタリングについては時間的なものあり、ここで決めておくべき事項と考えられ、基本は採泥しかないと考えられる」との意見があった。
    • 委員から、「浚渫した場所がどれくらいの時間で戻るか見ておく必要があるため、深浅測量を行う程ではないが、ポイントを決めて、魚探やレッドで定期的に地盤高を計測しておく方が良い」との意見があった。
  6. 工事中の環境モニタリング調査計画(平成28年11月以降)

    ※本項目について、事業者の提案通りで了承された。

    ※以下に、委員からあった質問を示す。

    • 委員から、「吉野川渡河部で行われている環境モニタリング調査等は一般的に見てどのくらいのレベルの環境対策なのか」との質問があった。

      ⇒事業者より、「NEXCO西日本としては、関西支社(新名神高速道路 鵜殿ヨシ原の環境保全に関する検討会)と四国支社(吉野川渡河部)のみであり、検討会を用いて進めていく事業は中々無い」との説明があった。

  7. 今後の予定

    ※本項目については、以下の3点を工事着手前までに確認することを前提に了承された。

    • 本検討会における浚渫の影響評価に関する各意見を踏まえた再検討
    • 実際に浚渫を行う場所に対する事後評価のための調査計画の検討
    • 浚渫土砂の処理方法の再確認

    ※以下に、委員からあった質問を示す。

    • 委員から、「検討課題が抽出されていく中で、課題に対してどう対応するかということを議論する場が1年に1回の開催という頻度で大丈夫なのか」との意見があった。

      ⇒事業者より、「今回の検討会でいただいた課題については、事業者側だけで一方的に進めていくものではないので、環境部会の委員の意見をいただきながら検討を行い、部会という形式をとるかどうかは相談となる。また、環境モニタリング調査については、継続した調査を行うが、異常な結果が出たときは委員に相談しながら進めていく」との説明があった。

      ⇒別の委員から、「検討結果を各委員に個別に報告していくと意見の共有が困難になってくる。そのため、ミニワーキンググループを開催し、簡単な議事録を作成することで、検討会の透明性に配慮していく必要がある」との意見があった。

    • 委員から、「説明資料P47について、環境保全対策(原案)にルイスハンミョウの回廊に配慮するとあるが、具体的にはどのようなことを実施しているのか。ルイスハンミョウが生息する河口干潟は、右岸の方に近づいている状況である」との意見があった。

      ⇒事業者より、「吉野川渡河橋は橋梁形式であるため、河口干潟からマリンピア沖洲人工海浜のルイスハンミョウの移動を遮らない構造となっている。また、施工時に遮蔽物を置かない等の配慮をしている」との説明があった。

    ※以下に、検討会後の本項目への対応を「 中間報告(1,648KB) PDFファイルを開きます 」として示す。

    • 課題(1):「本検討会における浚渫の影響評価に関する各意見を踏まえた再検討」への対応

      ⇒浚渫の影響評価について再検討を行い、生息評価モデルの再構築を行うのではなく、第7回検討会で示した影響評価の結果と、下記の課題(2)の浚渫箇所の環境モニタリング調査の実施によって、適切に影響を監視していくこととした。

      ⇒各委員への確認の結果、対応について了解を得た。

      ⇒その他、委員からは、「ハビタット区分2は水の流れの終着場であり、撹乱が少なく安定してやや泥が混じる砂が堆積している環境であるため、そこに稚貝が定着する可能性が考えられる。」、「工事着手前の影響評価としては検討結果が限界に近いと考えられるため、今後、工事中、工事後に適切に環境モニタリング調査を実施して監視していく必要がある。」といった意見があった。

    • 課題(2):「実際に浚渫を行う場所に対する事後評価のための調査計画の検討」への対応

      ⇒実際に浚渫を行う場所に生息する底生動物への影響を事後評価するため、浚渫箇所を対象とした環境モニタリング調査を追加することとした。

      ⇒各委員への確認の結果、対応について了解を得た。

    • 課題(3):「浚渫土砂の処理方法の再確認」への対応

      ⇒浚渫土砂の処理方法について、浚渫した土砂は環境保全対策として陸揚げし、その土砂を盛土転用に利活用することとした。

      ⇒各委員への確認の結果、対応について了解を得た。

5.閉会

配付資料

  • 資料1 説明資料
  • 資料2 参考資料
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