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お知らせ

第10回 四国横断自動車道 吉野川渡河部の環境保全に関する検討会(議事概要)

1.日時

平成30年9月14日(金) 14時00分~16時00分

2.場所 

徳島市中央公民館 7階 大ホール

3.出席者

出席委員:
山中座長、中野部会長、成行部会長、長尾副部会長、大田委員、桑江委員、上月委員、真田委員、橋本委員、浜野委員、和田委員
オブザーバー:
国土交通省 四国地方整備局 徳島河川国道事務所 片岡副所長
徳島県 県土整備部 谷本次長
事業者:
西日本高速道路株式会社 四国支社 建設事業部
内野部長
建設課 黒川課長
徳島工事事務所 浦所長
吉野川工事区 橋本工事長

4.議題

(1)開会
(2)事業者挨拶
(3)議事ならびに説明事項
  1. 第8、9回検討会の課題への対応
    • 事業者から資料1に基づき、「第8回及び第9回検討会の課題への対応(2,689KB) PDFファイルを開きます 」を説明。

      ※以下に、委員からあった主な意見等をまとめる。

      • 委員から、「課題(1)の深浅測量の精度検証に関しては、誤差が10cm内外の精度で測定できており安心した。今期の台風21号によって河口に大きな波浪が浸入したため、橋脚周辺で浸食が生じ、地形や底質も変化したと考えられる。そのため、次回のモニタリング調査結果が重要であると考えられる。」との意見があった。

  2. 工事の実施状況(平成29年11月~現在)
    • 事業者から資料1に基づき、「 工事の実施状況(6,413KB) PDFファイルを開きます 」を説明。

      ※以下に、委員からあった主な意見等をまとめる。

      • 委員から、「上部工橋桁のプレキャストの施工ペースを速めることを考えているのか。」との質問があった。

        ⇒事業者より、「上部工橋桁のプレキャストは現時点で1割未満の完成状況であるが、少しでも製作ペースを向上させられるように調整中であり、工事の進行に問題がなく進んでいるところである。」との説明があった。

      • 委員から、「寒くなるにつれてコンクリートの養生時に乾燥・収縮し、ひび割れが生じやすくなるために十分留意して進めてほしい。」との意見があった。
  3. 工事中調査の結果報告
    • 事業者から資料1に基づき、「 工事中調査の結果報告(7,720KB) PDFファイルを開きます 」を説明。

      ※本項目について、以下の意見を踏まえて、今後も環境モニタリング調査を進めていくことで了承された。

      ※以下に、委員からあった主な意見等をまとめる。

      • 委員から、「ハビタット区分の範囲は自然のゆらぎで変化するので、はじめの形にこだわらず、調査データをもとにその都度、区分を変化させて影響評価する方が良い。」との意見があった。

        ⇒事業者より、「ハビタット区分の検討は、工事のタイミングと最新の地形・底質データを反映して、その都度変更している。」との説明があった。

        ⇒これに対し委員から、「ハビタット区分を変化させているのならば、区分けした範囲に対応する生物が生息しているのかを確認する方が良い。」との意見があった。

        ⇒事業者より、「ご意見に関しては、課題2への対応とともに、引き続き検討を行う。」との説明があった。

      • 委員から、「第3期工事におけるシギ・チドリ類の飛翔個体数の減少について詳しく教えていただきたい。」との意見があった。

        ⇒委員より、「飛翔状況調査は、スナップショット的なものなので個体数がばらつきやすい。飛翔個体数よりは、シギ・チドリ類の採餌や休息の数字が重要あると考えられるため、その点はあまり心配していない。」との説明があった。

      • 委員から、「休息地の条件を改めて考察すると、犬や人によるかく乱もあるが、シギ・チドリ類にとって捕食者である猛禽類の状況もある。例えば、ハヤブサ等が多くいる場所では休息しないが、データ集のハヤブサの個体数を確認するとハヤブサの個体数はむしろ昔の方が干潟に多く、今はあまり見られないので猛禽類のせいでもなさそうな感じである。また、シギ・チドリ類は干潟に植生が増えると猛禽類の確認ができなくなるため、休息場として利用しなくなる傾向にある。植生の変化については、今まで調査が行われていないのでよく分からない。植生について確認しておくと、今回、提示していただいた仮設のサポートになると思う。また、マリンピア沖洲人工海浜が休息場として良くなったために干潟から移動したとも考えられるが、人工海浜での休息場は構造物の上であるため変化したとは考えにくく、橋脚P12~P14も工事も始まっているので環境変化も大きいので、余計によく分からない。構造物が嫌いで自然の方が好きであるというのも、ある意味で主観的な見方であるため、事実として、環境変化が比較的起きていそうな人工海浜の方がむしろ増えている状況である。そのため、間接的な証拠を見ると、今回提示された聖域性の低下という仮説がもっともらしいのではないかと考えられる。」との意見があった。

        ⇒事業者より、「植生の変化についてはこれまで調査を行ってはいないが、干潟を空中写真で撮影しているデータがあるので、それをもとにできる範囲で検討を行い、今後の検討会で報告をさせていただく。」との説明があった。

      • 委員から、「干潟の休息場所としてのクオリティが劣化しているのであれば、モニタリング調査を続けていくだけでなく、工事期間中は干潟への立ち入りの禁止をお願いするといった対策もあるのではないか。」との意見があった。

        ⇒事業者より、「阿波しらさぎ大橋事業でのデータを見ると干潟が右岸と繋がっていることの方が多く、大規模な出水で途切れ、数年かけて復元し、大規模な出水で再び途切れるといったサイクルを繰り返していることを確認していることから、聖域性の低下は事業が始まる前よりも当たり前のように生じている減少である。また、付近で工事は行っているが干潟の管理をしているわけではなく、立ち入り禁止を調整するのは難しい。」との説明があった。

      • 委員から、「シギ・チドリ類の行動パターンのデータの信憑性について、干潟域の採餌個体数のデータを見ると出現個体数の8割近くが採餌個体数となっている。行動パターンとして採餌以外に移動、何もしないで静止しているといった行動も必ずあるはずである。休息以外の静止している個体、動き回っている個体を採餌個体としてデータにしているのではないか。」との質問があった。

        ⇒事業者より、「採餌している個体、休息している個体、それ以外の個体、飛翔している個体を観察して判断している。動いている場合でも獲物を探して動いている場合は、採餌個体に含めている。」との説明があった。

      • 委員から、「休息の場合では、小型のシギ・チドリ類だと餌を食べているような場所から移動して比較的に群れで集まっている。小型のシギ・チドリ類は、止まって餌を狙っているが、それでも1分も2分もサギの様に静止しているわけではないので、ある程度はそういった分類になるのではないか。」との意見があった。
      • 委員から、「鳥類の出現数は採餌と休息の合計だと思うが、合計したら出現数を超えてしまうのではないか。」との質問があった。

        ⇒事業者より、「出現数は1であるが、採餌と休息両方行った個体に関しては両行動ともカウントしているため、合計の出現数にずれが生じる。」との説明があった。

      • 委員から、「個体が休息と採餌をしている場合にダブルカウントされて評価されることはあり得ないと思う。グラフを見ると、出現数に対して採餌と休息を合計した数字が合っていないがどういうことか。」との質問があった。

        ⇒事業者より、「鳥類調査に関しては、5時間程度の調査で各1時間程度のライン調査を行っている。例えば、1時間という調査時間の中でエリア2からエリア4へ移動した個体がいた場合には、同じ鳥類の採餌と休息の両方の行動をカウントする可能性がある。調査範囲が広いため、調査の性質上、起こりえることである。」との説明があった。

        ⇒【補足】検討会で提示した鳥類の生息状況調査の出現個体数及びそのグラフに関しては、鳥類が休息を行う満潮頃に2回と採餌を行う干潮頃に3回行った調査の内、最大出現数を用いているため、出現個体数に対して採餌と休息の合計値が一致しない。

      • 委員から、「鳥類の調査方法に関して、どの程度の個体数がどのくらい移動しているか整理したデータを、次回の検討会で報告していただきたい。」との質問があった。

        ⇒事業者より、「いただいた提案を基に内部で議論し、次回の検討会で報告させていただく。」との説明があった。

      • 委員から、「時系列で鳥類の行動の変化を観察している情報なので、毎回、同じ方法で調査を行っているのならば、比較しても問題ないのではと考えられる。和田委員が鳥類の絶対数を気にかけており、絶対数は調査の方法で変化するので、調査方法についてどこかで詳しく説明できるような資料を作成すればよい。」との質問があった。

        ⇒事業者より、「鳥類の行動分類に関しては実行可能かを検討させていただく。」との説明があった。

      • 委員から、「説明資料p29の写真でメダイチドリが写っているのに、p25の飛翔状況ではメダイチドリは確認できない。」との質問があった。

        ⇒事業者より、「この写真は生息状況調査の中で撮影した写真である。」との説明があった。

      • 委員から、「底生生物について、説明資料p24の浚渫した箇所の粒度が大きく変化している。例えば、BD-2はシルトが増加し、BD-3、BD-4に関しては砂質化している。今後、1回、2回は浚渫する予定ということで、注意深く観察する必要がある。浚渫箇所には、重要種としてオオモモノハナガイ、モモノハナガイ、マクラガイが出現しており、浚渫した箇所に重要種が出現するのは何か救われている部分もある。」との意見があった。

        ⇒委員より、「浚渫によって地形も変化するので、底質も当然変化する。」との説明があった。

      • 委員から、「波の様子をモニタリングしていないので分からない部分があるが、台風の影響で河口付近には4m、5mの高波が迫ったことで干潟の前面が浸食し、底質は深さ30cm程度までは変化が起こると考えられる。台風後、2週間程度は大きく地形は変動すると考えられるので、それに伴い底質が変化して生物も一旦更新されたと思う。」との意見があった。
      • 委員から、「吉野川河口で希少性の高い種が見つかったということはぜひ宣伝していただきたい。例えば、ヒナノズキンは一次は日本から絶滅したとされていたが、事業で見つかっており、ニュースバリューとして高いものだと思う。可能であればちゃんとしたジャーナルに公表してほしい。」との意見があった。
  4. 今後の予定

    ※以下に、委員からあった主な意見等をまとめる。

    • 委員から、「今後、上部工の整備に伴って附属物も設置されていくと思うので、必要に応じて橋梁部会で景観の検討をする方が良い。」との意見があった。

      ⇒事業者より、「現在、附属物は工事の工程に合わせて計画中であり、計画がまとまり次第、説明・相談をさせていただく。」との説明があった。

    • 委員から、「景観についてチェックしていくということは、橋梁を整備しながら、おかしいところがあれば修正していくということか。」との質問があった。

      ⇒委員より、「構造物の本体については作る前から決まっているが、設計とはあまり関係がない照明や投棄防止柵といった後から取り付ける物がこれから決まっていく段階である。細かい部分ではあるが、そういった物についても検討を行わなければ、そもそもの設計が台無しになってしまうため、仕上げの附属物の景観についても検討を行った方が良いということである。」との質問があった。

    • 委員から、「今後も浚渫を行う予定はあるのか。」との質問があった。

      ⇒事業者より、「浚渫は今後も測量結果をもとに行う。今期は台風の接近もあったので浚渫が発生すると考えられる。来年度以降は必要に応じて浚渫を行う予定である。」との説明があった。

    • 委員から、「来季は出水期も工事を継続する予定になっているが、何回か船は出入りすることになるのか。」との質問があった。

      ⇒事業者より、「地形測量の結果と照らし合わせながら、必要に応じて浚渫をすることになる。測量の成果を重視しながらになる。」との説明があった。

    • 委員から、「工事と調査が大規模で行われているので、モニタリング調査結果をHPで公表するだけではなく、専門誌等に工事方法等を投稿する予定はありますか。」との質問があった。

      ⇒事業者より、「現在、専門誌等へ投稿の予定はない。しかし、会社でも注目度の高い工事であるため、そこは積極的にアピールに取り組んでいきたいと考えている。また、取り組んでいることとして、施工主とともにPRルームを作っており、ご希望があれば見学を積極的に受け入れ、事業をアピールしている状況にある。」との説明があった。

(4)閉会

配付資料

  • 資料1 説明資料
  • 資料2 説明資料
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