高速道路管理業務に全国で初めて道路施設電波測定車を導入します
NEXCO西日本(大阪市北区、代表取締役会長CEO:石田 孝)は、2010年6月1日から車両で走行するだけで電波や照明照度の各種測定が可能となる道路施設電波測定車(以下「電波測定車」)を導入します。電気・通信に係る各種測定機器を一括搭載した車両による電波測定を行うことで、お客さまへの最適な走行環境の提供ならびに高速道路の管理業務の更なる効率化・省力化を図ることとなります。電波測定車は高速道路の管理業務において全国で初めて導入されます。
電波測定車の導入により測定作業の機械化及び集約化を図ります。今後とも、ITや先端技術の導入・活用により高速道路維持管理業務の省力化を行い、業務の効率化及び設備の信頼性の向上に努めてまいります。
1.これまでの無線設備などの測定
これまで、ETC(ノンストップ自動料金収受システム)及びVICS(道路交通情報通信システム)などの電波関係設備やトンネル照明設備の点検業務は、各種測定機器を個別に使用し、設備毎の点検頻度で行っていました。また、トンネル内のラジオ再放送設備やハイウェイラジオの点検は、車載ラジオによる聴覚点検(点検員の耳で聞いての点検)となっていました。
高速道路上での電気・通信に係る各種測定
移動無線の電波測定 |
測定車両に搭載した計測器による電界強度測定 |
各種設備の電波が正常に発信されているかを測定又は確認 |
ETC無線状況 |
測定車両に搭載した測定器による送信出力等測定 |
VICSの電波測定 |
測定車両に搭載した車載端末にて目視による点検 |
トンネル内ラジオ再放送の電波測定 |
測定車両の車載ラジオにて聴覚による点検、ならびに測定器による電界強度測定(トンネル設備点検の車線規制内にて実施) |
ハイウエイラジオの電波測定 |
測定車両の車載ラジオにて聴覚による点検 |
トンネル照明の照度測定 |
測定車両に搭載した計測器による照度測定 |
照明設備の劣化又は汚損状況などを測定 |
道路照明の照度測定 |
測定車両に搭載した計測器による照度測定(道路照明設備点検の車線規制内にて実施) |
2.電波測定車の特徴
今回、電波測定車を導入することにより、走行するだけで高速道路にある様々な無線設備の測定やトンネル内の照明照度等の測定を運用停止せずに一体的に実施することが可能となり、かつデータ解析機器を搭載することにより質の高い点検が可能となります。
3.お客さまへの最適な走行環境の提供
高速道路の設備の点検頻度は、概ねトンネル照明は1年~3ヵ月毎、道路本線照明は1年毎、ハイウェイラジオは随時というように、設備毎に異なっていました。
電波測定車を使用した場合は、これらの設備の点検を同時に行うことが可能となり、点検頻度を効率的に増やすことができるようになります。
また電波測定車に搭載しているデータ解析機器によって、点検の質の向上が図られます。トンネル内ラジオ再放送設備やハイウェイラジオの測定は、これまで車載ラジオによる聴覚点検でしたが、電界測定器を使用しての測定を行うことにより定量的なデータ管理ができ、質の高い点検が可能となります。
また、2009年のお客さまからのご指摘で、ラジオの聴取状況に関するものが13件、トンネル照明の明るさに関するものが3件ありました。
これらの事象は、直接、高速道路の走行に支障を及ぼすような状態ではありませんが、今後、この車両の導入により、次のような効果を期待しています。
聴覚や視覚による点検に加えて、電波測定車による点検は設備の劣化度合いが定量的に判断できます。
4.コスト削減効果
電波測定車の導入により、NEXCO西日本管内全体で年間42百万円の点検費・維持修繕費などのコスト縮減を目指します。
各種測定機器を個別に使用し、設備毎に行っていた点検を一元的に実施することで、点検費において約8百万円/年の削減が見込まれます。
トンネル照明設備の更新後の照度測定・輝度測定を人力測定から測定車に変更することにより、車線規制回数の減少や人件費において約4百万円/年の削減が見込まれます。
トンネル照明設備の照度・輝度の測定頻度を上げて一定化することにより、トンネル照明前面の排ガス等による汚れを最適な時期で清掃することが可能となります。これにより最適な照明コントロールも可能となることから、トンネル照明の電気代において約30百万円/年の削減が見込まれます。
5.購入費用
電波測定車1台当り45百万円であり、当社の管理する高速道路全線を3台で効率的に運用します。
6.高速道路事業以外での活用
高速道路事業で培った特殊ノウハウや技術力を活かして、NEXCO西日本グループは地方自治体などが管理する道路の橋梁点検業務やトンネル設備点検業務などの管理業務の受託に積極的に取り組んでいます。今回の電波測定車は、こうした事業の更なる促進にあたってのツールとして活用していきたいと考えております。