平成26年4月30日
西日本高速道路株式会社
NEXCO西日本(大阪市北区、代表取締役社長:石塚 由成)は、最先端の通信ネットワーク技術であるOpenFlow/SDN※技術を採用した新たな通信ネットワーク(以下、「新ネットワーク」という。)を平成26年3月に構築完了しました。また、この新ネットワークを活用した交通管制システム(以下、「新システム」という。)の構築を順次進めており、平成27年度末には全て完了し、新システムへ移行する予定です。
新システムは、大規模災害により道路管制センターが致命的なダメージを被った場合、他の被災していない道路管制センターにおいて短時間で最低限の機能補完を実現するもので、OpenFlow/SDN技術を大規模に採用したシステムとしては、世界初の例となります。
従来の交通管制システム(以下、「従来システム」という。)は、道路管制センター単位で複数台の装置を設置することにより、機能停止しないよう備えていました。新システムは、従来システムで行っていた対策に加え、次の2つの技術導入により、更に信頼性・安定性の高いシステムとなります。
(1)従来システム
従来システムでは、各道路管制センターにある交通管制システムと本線設備(高速道路上に設置している情報板や計測設備など)を接続し、監視・制御を行っていました。また、各道路管制センター間では相互の情報交換を行い、一体的な道路管制を実現していました。
(2)新システム
仮想化技術により各交通管制システムのサーバを共通化するとともに、新ネットワークを活用して本線設備の接続先を他の道路管制センターへ切り替えることにより、道路管制センター間の相互バックアップが可能となります。
新システムでは、OpenFlowの集中制御機能を活用して、効率的に他支社の交通管制システムへ切り替えることが可能となります。従来の通信ネットワークにおいて、他支社の交通管制システムに切り替えるためには、数千か所にも及ぶ本線設備ごとに接続先の設定変更を必要としておりました。一方、新ネットワークでは、集中制御機能により通信ネットワーク上で他支社への切り替えを迅速に行うことができるため、本線設備ごとに接続先を変更することは不要となります。
なお、新システムの構築に先立ち、複数の拠点に模擬端末を設置した実験環境を構築のうえ、切り替え実験を行いました。この実験では、それぞれの道路管制センター間で交通管制システムが移行できることを確認しております。
新システムの構築完了により、大規模災害の発生で道路管制センターが致命的なダメージを被った場合においても、本線設備の監視・制御を継続し、高速道路をご利用いただくお客さまへの情報板等による情報提供の継続を実現いたします。
従来システムでは、完全な機能停止に対し、少なくとも数日間の復旧期間を見込んでおりましたが、新システムは、新ネットワークとの連携により数分程度でバックアップに切り替わり、最低限の機能補完が可能となるなど、災害対応力の強化に資するシステムとなっています。
なお、今回導入したOpenFlow対応ネットワークスイッチは国際的な標準規格である OpenFlow Specification 1.3.0 に対応したものとなっており、将来の拡張性を確保しています。標準規格への準拠性については、奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科(藤川和利教授、猪俣敦夫准教授、大平健司特任助教)の協力により実証実験を行っています。