平成28年6月29日
西日本高速道路株式会社
NEXCO-West USA, Inc.
NEXCO西日本(大阪市北区、代表取締役社長:石塚由成)は、100%出資する現地法人 NEXCO-West USA, Inc.(米国ワシントン DC、President & CEO:松本正人。以下「USA社」という。)の平成27年度の事業実施状況及び今後の事業方針について、以下のとおりお知らせします。
USA社は、平成23年1月の設立以来、「橋梁非破壊点検」、「情報収集提供・研修支援」及び「技術コンサルティング」を三本柱として事業活動を行ってきました。
1)「橋梁非破壊点検」事業
「橋梁非破壊点検」事業は、弊社グループが保有する非破壊点検技術である赤外線カメラや高解像度デジタルカメラ等を使用して構造物コンクリートの浮き・剥離・ひび割れ等の損傷を検出するものであり、USA社の中核をなす事業です。平成27年度においては、従来の道路橋に加えて他のインフラ構造物の点検業務を受注するなど、適用範囲の拡大に取り組みました。
弊社グループの保有技術を米国に導入し実績を積むことで得られたノウハウは、技術のブラッシュアップや競争力強化、さらなる研究・開発へとつなげるために国内にフィードバックします。
平成27年度の主な点検業務の受注実績は下記のとおりです。 (作業状況等については 別紙(1,142KB) 参照)
(1)イタイプダム点検プロジェクト
ダムのひび割れ等の損傷調査は、従来ロープや仮設足場を使用して行われていましたが、費用と労力が多大なうえ点検員に危険が伴うものとなっていました。
本業務では、効率化とコスト削減、客観的点検データの記録及び作業の安全を図るものとして、デジタルカメラ構造物点検システム(注2)を使用してダム堤体側面及び天井スラブを点検する方法を提案しデモンストレーションを実施しました。
今回のデモンストレーション結果が、発注者であるイタイプダム管理公社に評価され、本年4月27日に同公社と本システムの納品及び技術導入トレーニングを行う契約を締結しました。技術導入後は、イタイプダム管理公社の職員がダムの点検に活用することとなっています。
(2)ニューヨーク市ビル外壁点検プロジェクト
ニューヨーク市では、2年に1度公道に面している高層ビルの外壁点検が義務化されており、従来の点検は遠望目視やロープやゴンドラを使用して行われていました。
本業務では、ビル外壁のひび割れや浮き等の損傷をデジタルカメラと赤外線カメラ(注3)を用いて安全かつ効率的に検出しました。
(3)ワシントン・メトロ鉄道橋点検業務
調査対象であるワシントン・メトロの橋梁は他の鉄道を鋭角に交差する形で跨いでおり、日中点検員が敷地内に入ることができません。
本業務では、このような近接目視が困難な箇所の点検に適応するために、離れた箇所からデジタルカメラで撮影しひび割れを検出しました。
2)「情報収集提供・研修支援」事業
「情報収集提供・研修支援」においては、欧米の技術・制度等の情報を入手・発信するとともに、民間企業、大学、官公庁職員を対象に実務・視察研修等を実施しました。
事例) 海外非破壊検査技術調査、モニタリング技術海外事例調査、国際会議参加・展示支援
( 別紙(1,142KB) 参照)
3)「技術コンサルティング」事業
「技術コンサルティング」事業においては、日本の高速道路維持管理会社に対して地中レーダや移動式防護柵の技術導入支援を実施したほか、米国への販路拡大を考える資材メーカ等日本の民間企業の支援を実施し、インフラ輸出の窓口としての役割を果たしています。
( 別紙(1,142KB) 参照)
今後、以下の基本方針に従って事業に取り組んでいきます。
(1)非破壊点検技術の認知度の向上
従来の打音点検や目視点検に代わり、米国内での非破壊点検技術による構造物点検の認知度をさらに向上させるために、連邦道路庁や各州道路管理者に働きかけ政府や州の標準的な点検手法として確立し、下記(2)の赤外線カメラシステムを全米各地に普及させることで、最終的に弊社グループ技術の米国でのデファクトスタンダード化を目指します。
(2)赤外線カメラシステム販売
昨年度より、米国の赤外線カメラメーカーであるFLIR社と付加価値再販売業者契約を締結し、FLIR社の赤外線カメラとNEXCO西日本グループの赤外線解析ソフトをパッケージ化して販売する事業に取り組んでいます。同社の営業網を活用して販売拡大を図ります。
(3)業務実施範囲の拡大
引続き、道路橋以外の構造物の非破壊点検にも適用範囲を拡大するとともに、米国からの技術導入やインフラ点検技術について、「情報収集提供・研修支援」および「技術コンサルティング」事業の充実を図っていきます。