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海外への事業展開と国内への応用

取り組みの概要

道路建設・維持管理のノウハウなど、当社の強みを活かし、海外事業の展開を図っています

NEXCO西日本は、長年にわたる高速道路の建設・運営管理の経験によって、海外でも通用する技術やノウハウを保有しています。前述の点検技術の他にも、細部まで整備されたマニュアルに基づく点検から補修までの一括した保全分野のマネジメント力やSA・PAの運営ノウハウについては、海外での高速道路運営において応用が期待されています。

また一方で、性能規定やICT新規ウィンドウを開きますに基づく維持管理、PPP事業新規ウィンドウを開きます運営に関しては、欧米諸国における事例などから学び、当社の事業活動に積極的に取り入れていくことで、今後のさらなる発展につながるものだと考えています。これらの当社の強みを生かして海外での維持管理や建設事業を展開するとともに、海外での経験を国内の道路事業にフィードバックすることをめざして、海外業務に取り組んでいます。

米国での橋梁非破壊検査事業

米国に子会社を設立し、事業を展開しています

2011年1月、当社は米国での橋梁点検事業への参入および先端技術の調査を目的に、NEXCO-West USA, Inc.(以下「USA社」)を設立しました。

USA社では設立以来、非破壊検査技術を核とする橋梁点検、情報収集提供・研修支援および技術コンサルティングを三本の柱として事業活動を行っています。

橋梁点検業務について、州道路管理者からの受注実績を積み重ねています

橋梁点検事業では、会社発足よりインディアナ、フロリダ、オハイオ、メリーランド、ペンシルバニア、ヴァージニア他の各州にて橋梁非破壊点検を7件受注するなど、州道路管理者からの受注実績を着実に積んできました。

特に、赤外線カメラシステム※1とラインセンサカメラシステム※2を使用する橋梁コンクリート床版新規ウィンドウを開きますの非破壊点検は、目視や打音などに頼る従来の手法よりも、客観的かつ効率的な点検方法として、連邦道路庁や各州の道路管理者から注目されています。

※1
赤外線カメラで撮影した熱画像を独自に開発したコンピューターソフトを用いて自動で解析処理し、コンクリート内部の浮き・剥離や損傷を表示できるシステム。
※2
ラインセンサカメラで撮影した可視画像を解析し、表面のひび割れを調べるシステム。

写真:インディアナ州での橋梁点検

インディアナ州での橋梁点検

写真:赤外線カメラによるコンクリート床版の撮影

赤外線カメラによるコンクリート床版の撮影

写真:ラインセンサカメラによるコンクリート橋床版の撮影

ラインセンサカメラによるコンクリート橋床版の撮影

米国での点検業務で培った技術を、日本国内でも役立てていきます

米国では2012年7月にMAP-21 と呼ばれる陸上交通法が制定され、2014年10月より施行されています。これにより、各州の橋梁に対して従来の上部構造、下部構造といった基本構造全体での評価に加えて床版、桁、支承、伸縮装置、橋脚、橋台といった部材レベルでの点検および評価を行ったうえでの維持管理計画の立案が義務化されました。

その結果、各州の道路管理者は点検コストの増大と人手不足の課題に直面することとなり、点検業務の効率化のための技術が切望されています。このような背景もあり、交通規制をせずに車両に搭載したカメラを用いて高速でデータを取得する技術のニーズが飛躍的に高まっています。

USA社では、州の道路管理者と連携し、非破壊検査新規ウィンドウを開きます技術の利活用を促進することによって、道路橋点検の効率化および高度化に取り組んでいます。

一方、日本国内でも、2013年11月に策定された「インフラ長寿命化基本計画」において、2030年頃までに国内全ての重要インフラと老朽インフラの点検・補修に、センサ、ロボット、非破壊検査技術などを活用し、精度を向上させること、また同じく2030年頃までに点検・補修などのセンサおよびロボットの世界市場の3割を獲得することが目標とされています。

USA社の米国での事業活動はこのような日本国内の動きに先行するものであり、米国で培った技術を近い将来国内の非破壊検査に役立てたいと考えています。

▼橋梁床版点検 画像解析・診断結果

写真:橋梁床版点検 画像解析・診断結果

(1)赤外線カメラ熱画像

(2)コンピュータ処理画像

損傷の程度を緑黄赤で3段階表示

(3)健全度診断結果の段階表示

黄:健全度2(予防保全段階)
赤:健全度3(早期措置段階)

非破壊検査にも応用し、道路以外の構造物へも事業領域の拡大を図っています

2015年度より、道路橋点検で培った非破壊検査技術を他の構造物に応用することで、事業範囲を積極的に拡大しています。

例えば、ブラジルのイタイプダムにおいては、ダム管理者からの要請により、デジタルカメラによる超高精度画像コンクリート構造物診断システムを使用して、ダム堤体のひび割れや剥離の損傷検出業務を実施しました。

さらに、ニューヨーク市での高層ビルの外壁をデジタルカメラと赤外線カメラ撮影によりひび割れや浮き等の損傷を検出する業務や、ワシントンDCの地下鉄の管理者より依頼を受け、ワシントン・メトロの橋梁部の点検も受注しました。このように道路橋にとどまらず、さまざまなコンクリート構造物の点検へも事業領域を拡大しています。

また、情報収集提供・研修支援および技術コンサルティング事業においても、高速道路維持管理会社に対して地中レーダや移動式防護柵の技術導入支援を実施したほか、最近では高速道路関連会社のみならず、民間企業や大学、地方公共団体からの研修生の受け入れ要請、国内素材メーカーからの市場調査の業務依頼などが増加し、米国進出をめざす民間企業の窓口として役割を果たしています。

ブラジルとパラグアイの国境にある水力発電用中空重力式ダムで、中国三峡ダムに次ぐ世界第二位の発電量を誇る。

米国の大学との共同研究を推進しています

当社は、橋梁モニタリングおよび健全度評価方法等の研究を行っているセントラル・フロリダ大学チャットバス教授との共同研究を推進しています。

当社グループでは、画像処理技術を応用したコンクリート構造物の点検技術や赤外線サーモグラフィを用いた橋梁点検技術を開発し、点検技術の高度化や点検の効率化をめざしていますが、これらの技術開発で得られたデータを診断や補修につなげていくためには、評価手法の確立が非常に重要になります。

構造物の健全性に関する評価手法で先んじている米国におけるチャットバス教授との共同研究によって、米国で活用されている評価手法を日本版に改良して当社の事業活動に導入するとともに、先進技術のノウハウを蓄積していきます。

写真:セントラル・フロリダ大学との共同研究に基づくフロリダ州道路橋の点検

セントラル・フロリダ大学との共同研究に基づく
フロリダ州道路橋の点検

インドネシアでの事業展開

道路PPP事業に参画しています

当社の海外高速道路PPP事業新規ウィンドウを開きますは、まずインドネシアを主なターゲットとして進めてきました。2011年2月に駐在員事務所を設置し調査・準備を進め、2014年11月に日本の高速道路会社として初めて海外の高速道路PPP事業に参画しました。対象路線はジャカルタ近郊のビンタロー・スルポン道路で、延長約7kmの高速道路です。

現地の高速道路運営会社であるヌサントラ社の資本提携によるパートナーシップを通じ、当社グループの技術・ノウハウを活用して、現地ニーズに即した技術コンサルティング業務を行うなど、本格的な事業展開に向けて第一歩を踏み出したところです。併せて、現地企業や政府、大学等の関係機関との連携を通じて、当社グループが有する各種技術の導入を進めています。

図:事業プロジェクト位置

事業プロジェクト位置

写真:ポンドックアレン料金所

ポンドックアレン料金所

写真:ビンタロー・スルポン道路全景

ビンタロー・スルポン道路全景

また、2つ目のPPP事業としてスラウェシ島のマカッサル市での高速道路延伸事業への参画を協議中です。この事業は、既に供用している区間の事業変更により高速道路を段階的に延伸し、最終的に環状道路ネットワークを形成するものです。

同市には国際港湾や国際空港が在り、東部インドネシアの発展を牽引するインドネシアの主要都市であり、高速道路ネットワークが将来的にインドネシアの地域間格差解消に寄与することが期待されています。

写真:インドネシア政府とのミーティング

インドネシア政府とのミーティング

写真:マカッサル市高速道路延伸事業位置図

マカッサル市高速道路延伸事業位置図

事業拡大に向けた各種調査

海外事業拡大に向けた各種調査を実施しています

国土交通省が募集したインドネシアにおけるPPPインフラ事業への参画に向けた事業の妥当性・効率性に関する事前調査である「マカッサル環状道路事業化調査」を、現地にて実施しました。また、コンサルティング業務として、JICA(国際協力機構)が募集したザンビアにおける「橋梁維持管理能力向上プロジェクト」も実施しています。

これらの調査を実施することによって、コンサルタント業務の受注や他のビジネスフィールドに事業を拡大する契機となるよう取り組んでいます。

国際貢献活動を基礎としたコンサルティング事業

毎年100名以上の海外研修生を受け入れています

当社は、JICA長期専門家として、過去4名の社員をパラグアイ、スリランカ、インドネシア、モザンビークに派遣しています。これらは国際貢献活動であると同時に、当社の海外要員の育成においても貴重な経験となりました。

また、国土交通省やJICAなどと連携して、アジアやアフリカを中心とした開発途上国を中心に毎年100名程度の研修生を受け入れており、研修生個人の能力向上のみならず、海外諸国との友好関係の構築にも役立っています。

これらを通じて培った開発途上国でのネットワークを基礎にして、ODAコンサルティング業務を展開しており、経済産業省やJICAなどから毎年数件の受注があります。最近では、JICA技術協力プロジェクトの「フィリピン道路・橋梁維持管理能力向上プロジェクト」および「ザンビア橋梁維持管理能力向上プロジェクト」に参加しており、これらの業務を通じて、途上国の技術者の育成や道路管理技術の向上に貢献したいと考えています。

写真:JICA集合研修 新名神建設現場見学

JICA集合研修 新名神建設現場見学

写真:ザンビア国橋梁維持管理能力向上プロジェクト

ザンビア国橋梁維持管理能力向上プロジェクト

Official Development Assistance:政府開発援助