トップメッセージ

変化に対応し『自立』と『成長』へ

西日本高速道路株式会社代表取締役会長兼社長西村 英俊 (にしむら ひでとし)

NEXCO西日本グループは、2011年度から2015年度までの5カ年を対象とした中期経営計画2015を策定しました。これは、いかなる厳しい環境・情勢下においても、その変化を乗り越えて『自立』し『成長』し続けることにより、社会に対してさらに大きく貢献する企業集団へと進化するため、グループ全体の取り組みの方向性を示したものです。

近年、当社グループを取り巻く経営環境は、環境・エネルギー意識の高まり、多発する異常気象、高速道路の老朽化、少子高齢化、顧客ニーズの多様化など激しく変化しており、これらの社会的な課題に対する取り組みが一層求められています。したがって、本中期経営計画は、グループ理念にあるCSRの遂行をいかに事業に統合し実効性のあるものにするかを示したものと言えます。

グループビジョンとして掲げた『自立』と『成長』は、これまでの決められたことを着実に全うするというところから一歩踏み出し、自らが発想し、実行していくことでさまざまな変化に素早く対応し、新たな価値を創出し続けていくことを目指したものです。高速道路という資産を最大限利用し、社会とのつながりを深め、信頼関係を築き、新たな価値を創っていくことが、長期的・持続的に成長していくことにつながると確信しています。

NEXCO西日本グループ中期経営計画2015

グループ理念

東日本大震災の教訓を糧に

中期経営計画を策定している最中の3月11日に東日本大震災が発生しました。東北自動車道が被害を受けましたが、わずか1日で仮復旧し救護活動の大動脈としての大任を果たしました。NEXCO東日本の機敏な対応とチームワーク、またこれを実現可能にした日頃の準備に敬意を表するとともに、同じ仲間として誇りに思います。

当社グループにおいても、NEXCO東日本の後方支援に回るという立場で重油や発電機、その他必要な資材を提供するとともに、被災地に対しては食料や毛布といった物資の提供、義援金の送付を直ちに行いました。また、災害時の対応に長けた社員を中心として積極的にボランティアを派遣しています。社員の派遣は、被災地への支援と同時に、災害の現場から学んだことを災害対応力の向上に生かせると考えています。今後の対策として、耐震性や通信手段といったハード面の強化はもちろんですが、想定外の事象に対して「何ができていないか」を洗い出し、常時の防災訓練などソフト面の対策に力を入れていきます。

一方、高速道路が防波堤や緊急避難所としての役割も果たしました。こうした教訓を踏まえ、自治体とも研究を重ねていきたいと考えています。NEXCO西日本管内24府県のうち一部の地域とは防災協定を締結していますが、これを政令指定都市も含めて包括協定・災害協力協定という形での早期の締結を目指しています。本中期経営計画においても「災害対応力の強化」を最重要テーマの一つに掲げて取り組んでいきます。

果てしない安全・安心への挑戦

高速道路の安全・安心への取り組みは変わらぬ使命です。本中期経営計画においても5年間で死傷事故件数の2割(約300件)削減と、死傷事故ゼロの日を3倍(40日以上)という具体的な目標を掲げています。

2010年4月、「DRIVE&LOVE」というプロジェクトを開始しました。これまでの道路の整備、あるいは標識管理といったハードを中心とした施策の実施だけでなく、ドライバーの方ご自身にも安全運転を促す動機付けをさせていただく呼びかけです。

このプロジェクトは社会全体で運転への意識を変えることで交通事故ゼロを目指す運動ですので、この主旨にご賛同いただいた企業・団体の方々と一緒になって多彩なキャンペーンの展開を予定しています。このように社会の大きな課題に対しては、自社だけではなく協働(エンゲージメント)を通じて取り組むことで解決を図っていく考えです。

新たな事業の創造による成長を

私は昨年就任したときに当社グループには「宝の山」が眠っていると申し上げました。50年以上にわたって培ってきた技術やサービスという資産を十分に生かしきれていないと感じたからです。そこで、2010年10月に「事業創造委員会」を新たに立ち上げるとともに、一般公募により広く事業創造に関するアイデアとビジネスパートナーの募集を行いました。グループ社員からのものも合わせると3,600件を超える提案が寄せられました。今後、これらのアイデアを選別し、優れたものは実行に移していきます。

また、前述しましたが府県・政令指定都市との協定を防災だけに留めず、包括協定として結ぶようにしています。これは、緊急時だけに限らず日頃から広範なコミュニケーションができる関係を築いておくほうが良いと考えるからです。これによって、地産地消や観光資源の開発、技術交流などさまざまな面で協力できる部分が生まれてきます。現在、SA・PAに各地の特色ある観光資源や特産品などを紹介する「地域の窓」というものを設置し、積極的に利用してもらうよう提案しています。例えば、古代の神話などを基に西日本を巡るといったストーリー性のある企画など、新たな発想で事業が生まれてきています。

海外進出による機会の創出と貢献

また、今後は海外にも積極的に進出していく考えです。2011年2月、NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本、首都高速道路(株)の4社は、民営化以降、高速道路に関する技術、ノウハウなどを活用しながら、オールジャパンとしての共同体制で推進するために新会社設立に向けて準備室を設置(2011年7月現在)しました。これにより、機会とリスクを共有することができ、適切な対応が図られ、海外事業を一層積極的に推進できるものと考えています。

米国などでは橋梁の点検をはじめ日本の高度な維持・管理技術へのニーズがあり、東南アジアなどでは高速道路の建設や道路インフラの整備が急速に進むと考えています。新興国においては、まだ道路を利用することによる価値が十分に理解されていないという状況もあり、大きな可能性が広がっています。

低炭素社会の実現に向けて

回の震災によってエネルギーのあり方についても問い直しが始まっています。省エネルギーはもちろん、自然エネルギーなどを利用した創エネルギーの重要性が増してきています。

当社グループでは、環境負荷の低減と走行安全性の向上を目的として、国内で初めて高速道路のトンネル内にLED照明を試行採用しました。このほか、NEXCO西日本管内の大分自動車道にある山田SA(下り)では、「エコエリア」としてCO2排出ゼロを目指した実証実験を行い、新たな環境技術の導入を推進していきます。また、第二京阪道路の遮音壁への太陽光発電パネルの埋め込みや電気自動車の急速充電設備の設置など、低炭素社会に向けた新たな試みを行っています。

ただし、これらはまだコスト面との兼ね合いなどからその多くが実験段階にとどまっています。もちろん、技術の進化により経済的にも均衡する時が近い将来必ず訪れると考えています。3,000km以上という広大な高速道路インフラとそれに付随する遮音壁やのり面、SA・PAなどの施設を自然エネルギーの発電に有効利用することができれば、高速道路はスマートグリッド(次世代送電網)※の拠点となる大きな可能性を秘めていると言えます。

当社グループのCSRはステークホルダーの皆さまに求められたことへの「対応」から、未来に向かって一緒になって価値を「創造」していくことへ、次の一歩を踏み出し進化を遂げていきます。当社は高速道路という社会的インフラの使命を果たすため、2009年12月に国連グローバル・コンパクトに署名しており、社外のネットワークも活用しながら、CSRの遂行という共通目標に向かってグループ全体の総合力を高めていきます。

高速道路の価値創造のためには、すべての事業活動において対話を通してステークホルダーとの距離を縮めていく必要があります。ステークホルダーとの共存共栄を通して、高速道路の資産価値を高め、社会への貢献を強めてまいります。

※電力の流れを供給側・需要側の両方から制御し、最適化できる送電

(2011年7月現在)

ページの先頭へ