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ニュースリリース

NEXCO西日本の建設事業・災害復旧事業が土木学会賞・プレストレストコンクリート工学会賞を受賞しました

令和2年5月27日
西日本高速道路株式会社

NEXCO西日本(大阪市北区、代表取締役社長:酒井 和広)の建設事業・災害復旧事業4件が、公益社団法人土木学会の「令和元年度土木学会賞(技術賞)」及び公益社団法人プレストレストコンクリート工学会の「令和元年度プレストレストコンクリート工学会賞(作品賞・施工技術賞)」を受賞しましたので、お知らせします。

1.土木学会賞(技術賞)の受賞について

土木学会賞は、功績賞、技術賞など10区分が設定され、土木工学の幅広い分野から選ばれるものです。このうち技術賞は昭和40年に創設され、土木技術の発展に顕著な貢献をなし社会の発展に寄与したと認められる画期的なプロジェクトや施工・維持管理などの個別技術に与えられる賞です。

この度、「新名神高速道路 神戸ジャンクションの建設」、「関西国際空港連絡橋へのタンカー船の衝突による大破からの復旧」が、それぞれ受賞しました。

<技術賞Iグループ受賞※ : 新名神高速道路 神戸ジャンクションの建設>

※Iグループ…
具体的なプロジェクトに関連して、土木技術の発展に顕著な貢献をなし、社会の発展に寄与したと認められる計画、設計、施工または維持管理等の画期的な個別技術(情報技術、マネージメント技術を含む)(土木学会表彰規程より)

≪推薦理由≫

  • 供用中の高速道路に近接することへの対応や現場の土質特性への対応など、非常に厳しい施工条件のもと、切り替えステップの立案や過去に例のない工法の採用などにより、周辺環境への影響低減や大幅な工程短縮を実現。本事業で培った計画から施工までの一連の技術は、通行止めなどの社会的影響を最小限化するなど、今後本格化する老朽化した道路の大規模修繕工事を円滑に進める上でも、模範となる事業である。

≪評価ポイント≫

新名神高速道路 神戸ジャンクション

新名神高速道路 神戸ジャンクション

  • 新名神が中国道をアンダーパスする交差部で、中国道を橋梁化するにあたり、RC地中連続壁を橋梁下部工及び基礎に採用し、土留めとしても兼用することで、上部工施工のための大規模な仮設土留めが不要となるとともに、掘削土量を大幅に削減。約5.5か月の工程短縮及び中国道の早期供用が可能となった。
  • ランプ接続位置変更に伴い不要となる既設橋梁2橋の撤去にあたり、多軸台車での一括撤去により、1夜間の通行止めに留めたことで、通常のクレーン撤去と比較してお客さまへの影響を約155万台から1.5万台にまで低減した。
  • 凝灰質泥岩が堆積する風化・泥化しやすい土質(神戸層群)の特性を踏まえ、暴露期間を短くし、表層崩壊を防ぐために、切土量とモルタル吹付量のバランスを考慮し、切土⇒モルタル吹付を繰り返し、切土後速やかにのり面を保護する施工サイクルとし、表層崩壊を防いだ。
  • 供用中の中国道の上下線を迂回させるにあたり、下り線のみ迂回路を設置し、上り線は既存の下り線をリバース運用させ、迂回路の設置作業を半減することで迂回路の設置範囲を最小限とし、周辺環境への影響低減を図った。

<技術賞IIグループ受賞※ : 関西国際空港連絡橋へのタンカー船の衝突による大破からの復旧>

※IIグループ…
土木技術の発展に顕著な貢献をなし、社会の発展に寄与したと認められる画期的なプロジェクト(土木学会表彰規程より)

≪推薦理由≫

  • 関西国際空港へのアクセス道路という重要な構造物への船舶衝突という類を見ない災害に対して、迅速な初動対応により早期に交通開放し、空港機能の確保に貢献するとともに、本復旧においても通常の橋梁工事と比べて約1年の工程短縮により7ヶ月という短期間で完成させたことは、社会経済活動に大きく貢献した事業である。

≪評価ポイント≫

大型フローティングクレーン船による橋桁の架設

大型フローティングクレーン船による橋桁の架設

  • 平成30年9月4日に台風21号により、タンカー船が関西国際空港連絡橋に衝突し、橋桁が大きく損傷し、道路と鉄道が不通となって関西国際空港への陸路でのアクセスが絶たれた。
  • 被災から11時間後には損傷を免れた上り線を活用した片側交互通行により緊急車両の通行を開始し、9月5日には孤立化した空港に取り残された方々の退避が完了。
  • 9月7日朝には上り線を活用し、仮設防護柵を用いた車線の切替えによる対面通行により、特定の車両の通行を開始。(その後段階的に通行可能対象車両を解除し、10月6日には一般車も通行可能に。)
  • A1-P1桁、P1-P2桁の2連は損傷が激しいため一旦撤去し、詳細な調査の結果、補修または再製作することとした。
  • 被災した下り線橋桁の再製作において、詳細設計と仮組立の省略や、製作と塗装を並行して行うなどの工夫により、通常の橋梁工事と比べて約1年の工期短縮を図り、被災から7ヶ月後の平成31年4月8日午前6時に完全復旧を果たした。

2.プレストレストコンクリート工学会賞(作品賞および施工技術賞)の受賞について

プレストレストコンクリート工学会賞は、論文賞、作品賞など4区分が設定され、プレストレストコンクリート技術の発展または普及に貢献したと認められる構造物や技術から選ばれるものです。このうち作品賞は昭和52年に創設され、土木、建築及び改築・改修の3部門があります。また、施工技術賞は平成14年に創設され、プレストレストコンクリート構造物の建設・維持・保全における施工に与えられる賞です。

<作品賞(土木部門) : 楊梅山高架橋>

≪推薦理由≫

  • 高槻JCT・ICの近傍に位置し、橋長1,100mを超える大規模な橋梁であること、また、橋台部は高さ約60mの高盛土上に構築されている条件のもと、幅員の大幅な変化や、高盛土に隣接する橋脚の土圧軽減対策として異なる橋梁形式を組み合わせるなどの工夫を行った。また、大規模PC構造物の品質確保や施工の合理化に挑んだことは、プレストレストコンクリート技術の発展に貢献した技術である。

≪評価ポイント≫

新名神高速道路 楊梅山高架橋

新名神高速道路 楊梅山高架橋

  • 上り線が12径間、下り線が11径間の連続桁橋であり、上下線ともに橋長1,100mを超える大規模な橋梁である。
    また高槻JCT・ICの一部をなし幅員が10mから最大24mまで変化している。
  • A1橋台部は高さ60mの高盛土上に構築されており、隣接する橋脚への偏土圧を避けるため側径間を116mと大規模にする必要があったことから、側径間部は波形鋼板ウェブ構造を採用し、橋桁の軽量化を図った。
  • 広幅員かつ長大支間の橋梁の補強を効率的に行うため、通常より3割強度の高い高強度PC鋼材を採用し、配置本数の削減による施工性の向上を図った。
  • 施工の合理化を目的とし、柱頭部の鉄筋をプレハブ化するとともに、張り出し施工において、複数ブロックを同時施工できる移動作業車でブロック長を当初計画の4.0mから4.8mまで延長した。

<施工技術賞 : 高知自動車道 新宮IC~大豊IC間災害復旧工事>

≪推薦理由≫

  • 西日本豪雨に伴う大規模な土砂崩落により橋桁が流出する過去に例のない災害に対して、早期復旧を目指した中、プレキャストプレテンホロー桁の採用などの工夫を行い、1年という期間に完成させ四車線復旧を行ったことは、プレストレストコンクリート技術の発展に貢献した技術である。

≪評価ポイント≫

高知自動車道 立川橋

高知自動車道 立川橋
(写真手前が復旧した上り線)

  • 平成30年7月7日未明に区域外からの土砂崩落により、立川橋(上り線:L=64m)の橋桁が流出する災害が発生。
  • 立川橋は山間部でセパレートしているため上下線が分離して4車線あり、被災を免れた下り線2車線を活用した対面通行による交通開放を目指し、約8kmの区間にわたり車線の切り替えを行い、被災からわずか1週間後の7月13日に対面通行を開始した。
  • 本復旧のため、残存した橋脚や橋台の健全性を確認するとともに、流出した橋桁の復旧検討を行い、早期復旧が可能な「プレキャストプレテンションホロー桁」を選定。
  • 約4か月で橋体および壁高欄が完成し、災害発生から約1年間で4車線復旧を果たした。