令和2年11月25日
西日本高速道路株式会社
三井住友建設株式会社
NEXCO西日本(大阪市北区、代表取締役社長:前川 秀和)と三井住友建設株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:新井 英雄)は、鉄筋やPC鋼材に替わり、腐食しない新材料を緊張材として用いた『非鉄製材料を用いた超高耐久橋梁:Dura-Bridge (Durable Bridgeを省略した商標名)』の共同研究を平成22年3月より進めてきました。
今回、新設の高速道路本線橋として初めてDura-Bridgeを採用した徳島自動車道(土成(どなり)インターチェンジ(IC)~脇町(わきまち)IC間)の「別埜谷橋(べっそだにばし)」が12月に完成します。本技術により、鋼材腐食によるコンクリート片はく落などによる第三者被害を防ぐとともに、耐久性の飛躍的な向上により、将来の維持管理費用の低減が期待されます。
今後は、本工事で得られた技術的知見をもとに、飛来塩分や凍結防止剤散布による鋼材の腐食環境が厳しい構造物へのさらなる展開を目指します。
高速道路橋は、凍結防止剤の散布や沿岸部の飛来塩分により、鋼材の腐食による劣化が課題となっています。この課題に対し、鉄筋やPC鋼材などの鋼材を一切用いない超高耐久橋梁(Dura-Bridge)について、開発を進めてきました。
超高耐久橋梁(Dura-Bridge)は、設計基準強度80N/mm2の高強度繊維補強コンクリートを使用することにより、鉄筋の配置をなくし、PC鋼材に替えてアラミドFRPロッドを使用してプレストレスを導入することで、腐食劣化の可能性を排除しました。
また、鉄筋・PC鋼材の腐食を起因としたコンクリート片のはく落などによる第三者被害が発生しません。また、耐久性を向上が図られるため、将来の維持管理の人的及び経済的負荷の低減が期待されます。
これまでに、材料試験や要素実験により十分な強度特性を有していることを確認し、工事用道路として建設した実証橋により施工性や安全性などの確認を行うことで、本線橋への適用性を検証してきました。
そして今回、高速道路本線橋である別埜谷橋(べっそだにばし)に本技術を適用すべく、平成30年7月に設計に着手し、令和2年12月に完成します(建設期間2年6か月)。
表-1 Dura-Bridgeの開発過程
段階 | 確認項目 | 得られた知見 | 適用 |
---|---|---|---|
材料試験 | 材料強度、品質管理 | 材料試験により、設計で求める強度を安定して発現できることなどを確認できた | 室内試験 |
要素試験 | 耐荷性、疲労耐久性 | 静的試験および疲労試験により、構造系が成立していることを確認できた | 室内試験 |
実証橋建設 | 施工性、安全性 | 2年間工事用道路として使用することにより、施工性や安全性を確認できた | 工事用道路 |
別埜谷橋建設 | 高速道路本線橋への適用性 | 設計手法や製作、架設方法など高速道路本線橋への適用性を確認できた | 高速道路本線橋 |
徳島自動車道 土成(どなり)IC~脇町(わきまち)IC間で進めている付加車線事業において建設する 「別埜谷橋(べっそだにばし)」で、超高耐久橋梁を採用しました。
工場で製作した複数のセグメントを現地に運搬し、橋長26.5mの橋梁を建設しました。
今回得られた知見を活用し、Dura-Bridgeの適用拡大に向けた基準類の整備を進めていきます。また、モニタリングを実施し、維持管理に関する知見を充実していきます。
今後は、飛来塩分や凍結防止剤散布による鋼材の腐食環境が厳しい、高い耐久性が望まれる本線構造物への展開を目指します。