― 腐食劣化と決別した非鉄製床版を実用化 ―
令和3年6月30日
西日本高速道路株式会社
三井住友建設株式会社
NEXCO西日本(大阪市北区、代表取締役社長:前川 秀和)と三井住友建設株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:近藤 重敏)は、鉄筋やPC鋼材に代わり、腐食しない新材料を緊張材として用いた超高耐久床版『Dura-Slab』を中国自動車道「蓼野第二橋(たでのだいにきょう)下り線」の床版取替え工事に高速道路橋として初めて採用します。
両社は、非鉄製橋梁構造物に関する共同研究を平成22年3月より進めてきました。このたび、実証実験にて、施工性や安全性が確認できたことから、『Dura-Slab』を蓼野第二橋に初採用します。なお、並行して開発した箱桁構造の超高耐久橋梁「Dura-Bridge」、プレキャスト製の超高耐久壁高欄「Dura-Barrier」は昨年完成しました徳島自動車道別埜谷橋で本線橋として採用しております。
本技術はDura-Bridgeと同様に鋼材腐食によるコンクリート片はく落などによる第三者被害を防ぐとともに、耐久性の向上により長寿命化が図られ、維持管理、更新時のCO2削減も実現します。飛来塩分や凍結防止剤散布による鋼材の腐食環境が厳しい箇所での床版取替え工事などに有効です。
高速道路橋は、経過年数に伴う老朽化だけでなく交通量と車両総重量の増加、凍結防止剤の散布や沿岸部での塩害などによる劣化が進行しています。この課題に対し、高速道路リニューアルプロジェクトにおける鉄筋コンクリート床版の取替え工事への適用を目指し、鉄筋やPC鋼材などの鋼材を一切用いないDura-Slabについて、開発を進めてきました。
これまでに、輪荷重走行試験や要素試験により十分な耐力を有していることを確認し、実証橋建設により施工性や安全性などの確認を行うことで、本線橋への適用性を検証してきました。
表-1 実証橋や実験一覧
試験 | 確認項目 | 得られた知見 | |
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1. | 輪荷重走行試験 (写真-1) |
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動的の疲労試験により、床版部および目地部の耐力が十分にあることを確認 |
2. | 実証橋建設 (写真-2) |
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3. | 要素試験 (鋼桁との接合部) (写真-3) |
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鋼フランジと床版との接合部において、所定の耐力が確保されていることを確認 |
4. | 要素試験 (橋軸方向緊張材の施工性) (写真-4) |
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写真-1 輪荷重走行試験
写真-2 実証橋建設
写真-3 要素試験(鋼桁との接合部)
写真-4 要素試験(緊張材の施工性)
これまでの様々な実証実験により、超高耐久床版の技術を確立できたことから、研究成果を実用化します。
中国自動車道 六日市(むいかいち)IC~鹿野(かの)IC間で床版取替工事を予定している「蓼野第二橋(たでのだいにきょう)」下り線で、超高耐久床版を採用します。
工場で製作した複数のDura-Slab床版パネルを現地に運搬し、床版取替することで、橋長103mの床版がリニューアルされます。
本工事により得られた知見を活用し、当工法の適用拡大に向けた基準類の整備を進めていきます。
今後は、飛来塩分や凍結防止剤散布による鋼材の腐食環境が厳しい、高い耐久性が望まれる本線構造物への展開を目指します。