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ニュースリリース

偏光フィルタを用いた赤外線カメラの活用により構造物点検を進化させます

― 「Jシステム」の更なる効率化でNEW ACE DXsを推進 ―

令和4年10月26日
西日本高速道路株式会社
西日本高速道路エンジニアリング四国株式会社

NEXCO西日本(大阪市北区、代表取締役社長:前川 秀和)は、構造物点検のDX化を強力に進めています。点検技術者による近接目視・打音点検においては、すでに赤外線カメラを用いた画像撮影システム(以下、「Jシステム」)をはじめとする点検支援技術を導入し効率化を図っています。

この度、NEXCO西日本と西日本高速道路エンジニアリング四国株式会社(香川県高松市、代表取締役社長:北田 正彦)は、Jシステムにおいて、偏光フィルタを採用した赤外線カメラの実用化に成功しました。これにより、コンクリート構造物の損傷箇所(浮き・剥離)抽出の的中率が向上し、高速道路の構造物点検が大幅に効率化されます。また、本技術が様々な構造物の点検に活用されることにより、更なるDX化の推進が期待されます。

1.Jシステムの概要(詳細は「 参考資料1(288KB) PDFファイルを開きます 」を参照)

赤外線調査の様子

  • Jシステムは、赤外線カメラを用いて、効率的かつ的確にコンクリートの損傷を抽出するシステム。
  • 異常(損傷)部と健全部の熱の伝わり方の違いにより生じたコンクリート表面の特異な温度差を、赤外線カメラにより可視化し、損傷部を検出することが可能。
  • NEXCO西日本グループでは、Jシステムを活用し、効率的に点検を実施。
  • 一方で、太陽に熱せられた地面などの熱も反射され赤外線カメラが捉えてしまうため、
    Jシステムを用いた点検は夜間に限定して実施。(現行方法の課題)

2.偏光フィルタを採用した赤外線カメラの実用化及びその効果

偏光フィルタを採用した赤外線カメラの使用により、以下の効果を得られました。

偏光フィルタを採用した赤外線カメラの実用化及びその効果

3.開発の背景(Jシステムの導入から今回の技術開発に至るまで)

(1)
当社が管理する高速道路は供用年数が経過し、厳しい環境条件下で橋梁などの劣化が顕在化していたことから、点検効率化のため、赤外線を用いてコンクリート構造物の損傷部を精度よく検出するシステム「Jシステム」を開発。
(2)
しかしながら、日中においては構造物のコンクリート表面が地表面などからの熱を反射し、その熱が赤外線カメラの撮影画像に映り込み損傷部の検出を困難にするため、Jシステムの使用は夜間に限定。
(3)
インフラ長寿命化基本計画等に基づく法定点検の確実な実施が求められるなか、更なる点検の効率化が喫緊の課題。
上記の背景を踏まえ、偏光フィルタを内蔵した赤外線カメラ用のレンズを開発し、Jシステムの日中使用を可能にしました。これにより、高速道路の構造物点検が大幅に効率化されるとともに、様々な構造物の点検に活用されることが期待されます。

4.偏光フィルタによる反射光の除去原理

反射光(損傷以外の熱源)を除去する手段として、偏光サングラスなどに利用されている偏光フィルタに着目しました。偏光フィルタは、下図のように細かなグリッド(縦筋)によって特定の方向に進む光以外を遮断することができます。この偏光フィルタを赤外線カメラに応用することにより、構造物表面の熱反射だけをカットし、構造物本体の熱画像だけを捉えることができます。さらに、西日本高速道路エンジニアリング四国株式会社が自社技術として蓄積してきた画像処理、統計的処理をほどこし高精度な熱画像を得ることに成功しました。

偏光フィルタによる反射光の除去原理

偏光フィルタによる反射光の除去イメージ

5.専用レンズの製品化(エンジニアリング四国)

偏光フィルタを内蔵した専用レンズ(赤外線カメラ用)を開発し、現行のJシステムで使用していた赤外線カメラのレンズと交換できるようにしました。偏光フィルタ内蔵レンズの市場展開は令和4年12月を予定しています。

専用レンズの製品化(エンジニアリング四国)

6.今後の展望

現行の「Jシステム」では、撮影精度の観点から高価な赤外線カメラ(短波長の冷却型高性能カメラ)を採用していますが、より安価で一般的な赤外線カメラ(非冷却型汎用カメラ)を使用した、偏光フィルタビルトインタイプの小型赤外線カメラの開発を進めています。小型化の結果、UAV(無人航空機)搭載が可能となり、且つ一般的な可視画像を同時に撮影することで、構造物点検の近接目視と打音検査の支援技術への適用拡大が期待され、更なる大幅な効率化とコスト削減が見込まれます。

また、現行の「Jシステム」の課題に対し、今回の偏光フィルタ技術のほかAIやIoTを導入・活用することにより、赤外線調査による構造物点検は飛躍的に改善されると考えております。今後も「Jシステム」を進化させた「JシステムEvolution」の実現に向け、更なる効率化に取り組んでまいります。

DX進化 「Jシステム」から「JシステムEvolution」へ

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