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ニュースリリース

E2A中国自動車道(吹田JCT~中国池田IC)リニューアル工事終日通行止めの完了報告について

― 新名神への迂回などリニューアル工事へのご理解・ご協力ありがとうございました ―

― 橋脚の耐震補強工事等に伴う一般道の交通規制は継続いたします ―

令和5年3月29日
西日本高速道路株式会社

NEXCO西日本(大阪市北区、代表取締役社長:前川 秀和)では、安全・安心・快適を未来につなげるため、高速道路の長寿命化に向けた「高速道路リニューアルプロジェクト」に取り組んでおり、令和2年度よりE2A中国自動車道(E2A中国道) 吹田ジャンクション(JCT)~神戸JCT間で大規模なリニューアル工事を行っております。

令和3年2月8日の「E2A 中国自動車道(吹田JCT~神戸JCT)でリニューアル工事を実施します」でお知らせしました吹田JCT~中国池田ICにおいて予定していた終日通行止めが今回の令和5年1月17日~3月26日を以って全て終了いたしました。終日通行止め期間中、高速道路を利用された皆様、中国道の沿線にお住まいの皆様におかれましては、新名神への迂回や工事へのご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございました。

当該区間では、引続き道路照明等の設備リニューアルに伴う高速道路上での交通規制や、橋脚の耐震補強等に伴う一般道の交通規制を実施いたします。また、中国池田IC~神戸JCT間では、終日車線規制等による工事を継続いたします。今後の交通規制の詳細につきましては、決まり次第順次お知らせします。ご不便、ご迷惑をおかけしますが、引続き工事へのご理解、ご協力をお願いいたします。

以下、今回の吹田JCT~中国池田ICリニューアル工事の事業経緯や実施した工事の内容、周辺道路の交通量、渋滞発生状況などの詳細をご報告させていただきます。

1.事業経緯

E2A中国道は、1970年の大阪万博にあわせ開通した関西都市圏における創生期の高速道路であり、約50年が経過しています。開通後の交通量の大幅な増加や車両の大型化、凍結防止剤の散布などにより、橋桁やコンクリート床版の損傷が進行しています。これまでの部分的な補修の繰り返しでは構造物の長期的な安全性や耐久性の確保が困難な状況になりつつあり、100年先も安全・安心な高速道路をご利用いただくために抜本的な対策として、橋桁や床版など路面を支える主要な部材を耐久性の優れた部材に取り替える大規模なリニューアル工事を行ったものです。

事業経緯

事業経緯

橋梁の損傷状況(宮の前高架橋)

橋桁の腐食状況

橋桁の腐食状況

路面の損傷状況

路面の損傷状況

床版下面の損傷状況

床版下面の損傷状況

橋梁の損傷状況(豊中高架橋)

床版下面のひび割れ状況

床版下面のひび割れ状況

床版下面の損傷状況

床版下面の損傷状況

床版下面の損傷状況

床版下面の損傷状況

2.通行止め概要

吹田JCT~中国池田IC間には老朽化した橋梁が多く存在しており、大規模な架け替え工事を行うためこれまでの工事よりも長期間の交通規制が必要です。一方で、当該区間は日交通量約5万台を有し、周辺には日交通量約10万台にも及ぶ大阪府道2号線(中央環状線)が並走する重交通区間であり、工事に伴う交通規制によって周辺の一般道路を含めて大規模な渋滞が予想されました。

従来の対面通行規制による架け替え工事では工事・規制期間が長期化し、社会的影響が大きくなります。そこで、新名神高槻JCT~神戸JCT開通により迂回代替ルートが確保できていることから、広い工事ヤードが確保でき、多数の建設機械を配置して集中的に工事を行うことが可能な「終日通行止め」にて工事を行うこととしました。

NEXCO西日本では初となる長期間の終日通行止めであり、新技術・新工法の積極採用による工事期間の短縮、多岐に渡る広報施策を講じ、社会的影響を最小限にするよう努めてまいりました。

(1)
規制区間

E2A中国自動車道 吹田JCT~中国池田IC(上下線) 終日通行止め

規制区間及び期間

(2)
期間

<試行工事>
令和2年6月12日(金曜)0時 ~  6月28日(日曜)朝5時  約16日間
<本工事1回目>
令和3年5月19日(水曜)0時 ~  6月27日(日曜)朝5時  約39日間
<本工事2回目>
令和3年10月1日(金曜)1時 ~  11月9日(火曜)朝5時  約39日間
<本工事3回目>
令和4年1月18日(火曜)1時 ~  3月12日(土曜)朝5時  約53日間
<本工事4回目>
令和4年5月17日(火曜)1時 ~  6月25日(土曜)朝5時  約39日間
<本工事5回目>
令和4年10月4日(火曜)1時 ~ 11月12日(土曜)朝5時  約39日間
<本工事6回目>
令和5年1月17日(火曜)1時 ~  3月26日(日曜)朝5時  約68日間

期間

3.リニューアル工事等の実施報告

(1)
大規模更新

橋梁部で老朽化した鋼桁やコンクリート床版を、耐久性に優れた部材に取り替える工事を行いました。当該区間では、12橋(上下別)、60連・198径間で延長約4.8kmの橋の架け替えを行いました。床版取替 約46千m2(甲子園球場グラウンド 約3個分)、鋼桁取替 約18.5千t(東京タワー 約5個分)に及ぶ工事を実施しました。架け替え工事は、以下の流れで実施しました。

大規模更新

大規模更新

大規模更新

大規模更新

工事期間の短縮に向けた取り組み

(1)
膨大な作業員の配置・機械の導入

短期間で集中的に工事を実施するため、膨大な作業員の導入、多数の建設機械を配置しました。架け替え工事に従事した作業員は延べ約132,000人、100t吊り以上の大型クレーンは延べ約130台を配置し、工事を行いました。

膨大な作業員の導入状況

膨大な作業員の導入状況

多数の建設機械の配置状況

多数の建設機械の配置状況

(2)
ジャッキアップ工法の採用(豊中高架橋ほか3橋)

ジャッキアップ工法とは、(1)事前に高架下で新しい橋(鋼桁・床版)を組立て、大型のジャッキを使って既設の鋼桁の直下まで持ち上げ、(2)終日通行止めの開始とともに既設の橋を撤去した後、(3)新しい橋を所定の高さまで持ち上げて架設する工法です。通行止め前に高架下で組立てを進めることができるため、通行止め期間の短縮に寄与します。

(1)事前に高架下で新しい橋を組立てている状況

(1)事前に高架下で新しい橋を組立てている状況

(1)事前に高架下で新しい橋を組立てている状況

(2)既設の橋の撤去状況

(2)既設の橋の撤去状況

(2)既設の橋の撤去状況

(3)新しい橋を所定の高さまで持ち上げて架設している状況

(3)新しい橋を所定の高さまで持ち上げて架設している状況

(3)新しい橋を所定の高さまで持ち上げて架設している状況

(3)
1000t吊りクレーンによる一括架設(宮の前高架橋)

中国道の近傍に広いヤードを確保できた場所では、日本に十数台しかない1000t吊りの大型クレーンを配置しました。ヤード内であらかじめ新しく架ける橋を組立て、終日通行止め期間中に径間単位の大ブロックで一括架設を行いました。この場所では中国道の下に大阪府道が通過しており、安全を確保するために府道を夜間通行止めにして架設を行います。大きなブロックで一気に架設することができるため、工事期間の短縮、一般道の夜間通行止め日数の短縮につながりました。

一括架設の状況

一括架設の状況

一括架設を行う現場の状況

一括架設を行う現場の状況

特殊な現場条件に応じた施工方法の工夫

(1)
阪急電鉄宝塚線との交差箇所(石橋跨線橋)

阪急宝塚線と交差している場所では、縦方向・横方向に吊上げ設備を動かして橋を架け替えました。鉄道が交差する箇所では、電車が動いている時間帯は作業ができないので、最終電車が通り終えてから始発電車が通るまでの深夜の限られた時間で安全かつ確実に作業を行わなければならないため、重さ約230tの橋1つを一括して取り替えることができる設備を構築して架け替えを行いました。

既設の橋の撤去状況

既設の橋の撤去状況

既設の橋の撤去状況

新しい橋の架設状況

新しい橋の架設状況

新しい橋の架設状況

(2)
河川との交差箇所(箕面川橋)

河川が交差している場所で、さらに1000t吊りクレーンなどの大型クレーンを使用することが制限される場所では、“移動式多軸台車”という特殊な台車を使用して架け替えを行いました。2台の移動式多軸台車に吊上げ設備を設けて、架け替え箇所の近傍であらかじめ組立てた橋を吊上げて、横方向に移動させて、所定の位置に据え付けました。

新しい橋の架設状況

新しい橋の架設状況

新しい橋の架設状況

(2)
大規模修繕

橋梁部でコンクリート床版の劣化を抑制するために、損傷した箇所の補修を行った上で、劣化の原因となる水が床版内にしみ込まないよう高性能な床版防水工を行いました。

床版上面の損傷状況 

床版上面の損傷状況 

高性能な床版防水工の施工状況

高性能な床版防水工の施工状況

(3)
維持修繕作業

傷んだ路面の補修や老朽化した標識・ガードレールなど道路附属物の取り替え、清掃・草刈り、道路構造物・設備の点検なども終日通行止め期間に集約して行いました。

【舗装補修工事】

舗装補修工事

舗装補修工事

【中央分離帯防護柵改良工事】

中央分離帯防護柵改良工事

中央分離帯防護柵改良工事

【植栽の剪定・草刈り】

植栽の剪定・草刈り

植栽の剪定・草刈り

【標識取替工事】

標識取替工事

標識取替工事

【道路構造物の点検】

道路構造物の点検

道路構造物の点検

その他にも中国自動車道と交差・近接する沿線行政の管理施設(跨道橋や水道管)の点検等も終日通行止めに合わせて行い、高速道路の規制回数削減に努めました。

(4)
安全性・快適性・維持管理性に配慮した取り組み

<新型低位置照明の導入>

走行時の視認性向上、照明倒壊リスク排除およびメンテナンス省力化のために新型低位置照明を導入します。従来は高さのある照明ポールの点検において周囲の安全のために高速道路に並走する一般道の交通規制も必要でしたが、新型低位置照明はLEDの精密な配光制御により、低位置から広スパン(設置間隔)で従来と同等以上の視環境(明るさ)を実現しており、照明倒壊リスクの排除および点検等のメンテナンスの省力化に加え、一般道の規制回数を減らすことが可能になるとともに、設置コストや消費電力の削減にも寄与しています。(今後、順次設置予定)

新型低位置照明の導入

(従来)ポール照明 点灯状況

(今回)新型低位置照明 点灯状況

ポール照明

新型低位置照明

<路側設備の配置集約化>

路側設備(非常電話、可変式速度標識、情報板等)が個別に乱立しているため、非常駐車帯を大型化し、設備を集約します。大型化されたスペースは防護壁で仕切られ、非常電話を従来より安心してご利用いただけます
(今後、順次設備集約予定)

路側設備の配置集約化

4.終日通行止め期間中の交通状況

(1)
交通量の変化

工事前(後)と工事中を比較すると、中国道の交通量は1.3万台~2.2万台減少し、新名神の交通量は7千台~1.4万台、阪高池田線の交通量は8千台~1.2万台増加しました。

特に新名神では、同時期のI期とIV期、II期とV期、III期とVI期を比較すると、I期~III期よりもIV期~VI期のほうが工事前と工事中の交通量差が増大しました。

工事前と工事中の期間平均日交通量差の推移

I期~III期とIV期~VI期の工事前と工事中の交通量差の比較

(2)
渋滞発生状況

通行止めの端末となる中国池田ICにおいて、工事前と比較して工事中の渋滞回数が増加しました。また、迂回路となった新名神では、工事中の増加分の平均渋滞回数が0.05回/日(20日に1回渋滞が発生する程度)となっており、交通量の増加による大きな影響は見られませんでした。大阪中央環状線においても工事前と工事中で所要時間に大きな差はなく、東向き・西向きともに5分程度の増でした。

主要ボトルネック別 工事前と工事中の全期間平均渋滞回数

中央環状線の所要時間

5.社会的影響の最小化に向けた取り組み

事業の認知度向上に向けた取り組み

様々な媒体を幅広く活用し、積極的な広報展開を実施しました。

事業の認知度向上に向けた取り組み

事業への理解・共感を深める取り組み

事業の必要性や進め方、施工状況を解説したパンフレットや各種映像の配信を積極的に実施しました。

事業への理解・共感を深める取り組み

事業への理解・共感を深める取り組み

公式YouTubeでは80本以上の動画を公開し、多くの方にご視聴いただきました。

細かな情報提供と迂回路をご利用いただくための取り組み

迂回路の案内や時差通行の推奨、公共交通利用の呼びかけなど渋滞低減のためにさまざまな対策を実施しました。

(1)
みちトク交通ナビ(専用Web)にて、渋滞予測、リアルタイム所要時間、前日までの所要時間実績、渋滞ヒートマップなどを提供

細かな情報提供と迂回路をご利用いただくための取り組み

(2)
専用Webサイトで規制情報、渋滞予測、迂回ルート等のご案内を行い、工事の進捗状況や各種広報動画を配信

細かな情報提供と迂回路をご利用いただくための取り組み

(3)
新名神への迂回走行車両への専用アプリによるポイント付与や通行料金割引を実施

細かな情報提供と迂回路をご利用いただくための取り組み

(4)
高速道路上の図形道路情報板や仮設LED情報板などで経路別所要時間情報を提供

細かな情報提供と迂回路をご利用いただくための取り組み

6.今後の予定

吹田JCT~中国池田IC間のリニューアル工事における高速道路本線の終日通行止め規制は、今回の令和5年1月17日~3月26日を以って全て終了いたしましたが、橋脚の耐震補強や足場設備等の解体を行うため今後も高架下での工事や一般道交通規制を断続的に実施いたします。また、低位置照明の設置等で高速道路上でも日々の交通規制を行います。終日通行止め期間中、新名神への迂回など長きにわたりリニューアル工事へのご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございました。

なお、中国池田IC~神戸JCT間では、引続き令和5年度以降も終日車線規制や夜間通行止め等によるリニューアル工事を継続いたします。当該区間の令和5年5月以降の詳細な規制日程等については、決まり次第別途お知らせいたします。

中国道をご利用される皆様、沿線にお住まいの皆様にはご不便、ご迷惑をおかけしますが、引続きリニューアル工事へのご理解、ご協力をお願いいたします。