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ニュースリリース

日本クリエイション大賞2022 インフラ技術賞の受賞について

― 世界初、高速道路で「さびない橋」の実用化 ”E32 徳島自動車道 「別埜谷橋」“ ―

令和5年3月29日
西日本高速道路株式会社

NEXCO西日本(大阪市北区、代表取締役社長:前川 秀和)は、三井住友建設株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:近藤 重敏)と共同開発し、世界で初めて高速道路で実用化した超高耐久橋梁「Dura-Bridge®」が、このたび一般財団法人日本ファッション協会が主催する「日本クリエイション大賞2022」において、「インフラ技術賞」を受賞しましたので、お知らせいたします。

超高耐久橋梁「Dura‐Bridge®」は、E32 徳島自動車道(徳島道) 土成(どなり)インターチェンジ(IC)~脇町(わきまち)IC間)の「別埜谷橋(べっそだにばし)」において採用・施工されました。そして、「別埜谷橋」を含む7.5㎞の区間において、令和3年3月31日に4車線化が完成し、現在供用中です。

一般的に橋梁の材料とされる鉄筋やPC鋼材ではなく、腐食しない非鉄製材料が使用されています。本技術により、鋼材腐食によるコンクリート片はく落などによる第三者被害を防ぐとともに、耐久性の飛躍的な向上により、将来の維持管理費用の低減が期待されています。

当社は今後も、安全・安心で快適な高速道路を目指し、最新の科学的知見を積極的に採り入れながら、更なる技術開発・実用化に向け取り組んでまいります。

【日本クリエイション大賞について】

日本クリエイション大賞 新規ウィンドウを開きます は、(一財)日本ファッション協会が製品、技術、文化活動、地域振興などジャンルを問わずクリエイティブな視点で生活文化の向上に貢献し、時代を切り拓いた人物や事象を表彰対象とする顕彰事業です。2022年度は、事務局推薦も含めた100件の推薦案件の中から40案件に絞られ、審議の結果、「大賞」1件と「インフラ技術賞」「よりどころ賞」「きらり技術賞」各1件が選考されました。

【インフラ技術賞】

西日本高速道路株式会社/三井住友建設株式会社

「鉄筋を使わない“さびない橋”、世界で初めて高速道路で実用化」

(講評) ~「日本クリエイション大賞2022」受賞案件の概要 より~
『徳島自動車道の「別埜谷橋」(徳島県阿波市)は、西日本高速道路株式会社と三井住友建設株式会社が共同開発し、世界で初めて高速道路で実用化した超高耐久橋梁「Dura -Bridge®」。2021年1月に完成したこの橋は、コンクリートの補強材として使われる鉄筋やPC 鋼材に替わり、腐食しない新材料を用いた“さびない橋”である。直径7.4mmのロッドでも自動車5台分、約8トンを吊り上げることができ、コンクリート内でも劣化しない耐アルカリ性を有する「アラミド繊維(FRPロッド)」が緊張材として用いられ、凍結防止剤や沿岸部の塩分を多く含んだ風によって、コンクリート内部の鉄筋などが腐食し、コンクリート片の崩落を引き起こすということがない。日本全国にはおよそ72万本の橋梁構造物があり、その50%に何らかの補修が必要とされる。“さびない橋”を実現したDura-Bridgeの技術が、補修費の削減など、コンクリート構造物のメンテナンスフリーにつながるものとして大きく期待されている。』

徳島自動車道 「別埜谷橋」

徳島自動車道 「別埜谷橋」

授賞式の様子(令和5年3月28日)

授賞式の様子(令和5年3月28日)

1.従来の一般的な構造と超高耐久橋梁「Dura-Bridge®」の違い

従来の一般的な構造と超高耐久橋梁「Dura-Bridge®」の違い

※1
アラミドFRPロッドは、PC鋼材の代替えとなる引張力に強い繊維を束ねた棒状の材料をいいます。
※2
高繊維はコンクリート中に分散して混入されており、ほとんど腐食しないことを実験で確認しています。

2.現在の運用状況(供用開始から2年を迎えて)

「別埜谷橋」においては、構造の長期健全性の確認のため、橋梁の振動等を計測する常時モニタリングシステムを構築し、運用しています。橋梁完成から現在に至るまで、異常等は確認されず、実用化が有効であることを確認しています。

3.展開の状況・今後に向けて

「Dura-Bridge®」で得られた技術的知見を基に、飛来塩分や凍結防止剤散布による鋼材の腐食環境が厳しく、高い耐久性が望まれる構造物等への更なる展開を目指してまいります。

令和3年6月には、「Dura-Bridge®」で得られた知見を応用し、鉄筋やPC 鋼材などの鋼部材を一切用いず、「アラミドFRPロッド」を使用した超高耐久のプレキャストPC床版「Dura-Slab®」をE2 中国自動車道 蓼野第二橋の床版取替工事(令和3年11月施工完了)にて採用しました。

当社は、安全・安心で快適な高速道路を目指し、今後も最新の科学的知見を積極的に採り入れながら、更なる技術開発・実用化に向け取り組んでまいります。