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ニュースリリース

外部表彰の受賞について

― 令和4年度土木学会賞(田中賞・技術賞)、プレストレストコンクリート工学会賞 ―

令和5年5月31日
西日本高速道路株式会社

NEXCO西日本(大阪市北区、代表取締役社長:前川 秀和)が行っている建設事業および保全サービス事業について、令和4年7月~令和5年6月における主な外部表彰として、公益社団法人土木学会の「令和4年度土木学会賞(田中賞・技術賞)」、プレストレストコンクリート工学会の「プレストレストコンクリート工学会賞 作品賞」を受賞しましたので、下記のとおりお知らせします。

受賞内容一覧

  • 土木学会
  表彰名 受賞日 受賞内容 受賞者
(1) 技術賞 IIグループ 令和5年5月15日 湯浅御坊道路・阪和自動車道4車線化事業の完成~完成2車線道路の拡幅~ 西日本高速道路(株)
(2) 田中賞 作品部門 令和5年5月15日 吉野川サンライズ大橋

西日本高速道路(株)
鹿島建設(株)・三井住友建設(株)・東洋建設(株)JV
(株)エイト日本技術開発

  • プレストレストコンクリート工学会
  表彰名 受賞日 受賞内容 受賞者
(3) プレストレストコンクリート工学会賞 作品賞 令和5年4月21日 吉野川サンライズ大橋 西日本高速道路(株)
(4) プレストレストコンクリート工学会賞 作品賞 令和5年4月21日 蓼野(たでの)第二橋(下り線)床版取替

西日本高速道路(株)
三井住友建設(株)
(株)日本ピーエス

(5) プレストレストコンクリート工学会賞 作品賞 令和5年4月21日 つめた谷橋(下り線)の拡幅 西日本高速道路(株)
(株)ピーエス三菱

《土木学会》

《土木学会賞》

土木学会賞は、10区分が設定され、土木工学の幅広い分野から選ばれます。

技術賞は、土木技術の発展に顕著な貢献をなし社会の発展に寄与したと認められるインフラの計画、設計、施工、運用やメンテナンス等の画期的な個別技術(Iグループ)、および画期的なプロジェクト(IIグループ)に与えられる賞です。

田中賞は、橋梁・構造工学に関する優秀な業績に対して与えられる賞で、業績・論文・作品・技術の4部門があります。

(1)土木学会 技術賞 IIグループ:湯浅御坊道路・阪和自動車道4車線化事業の完成~完成2車線道路の拡幅~

≪特徴≫

  • 湯浅御坊道路および阪和自動車道の有田インターチェンジ(IC)~印南IC間(延長29.2km)は2車線の高速道路の中で全国有数の交通量を有し、繁忙期には約30kmを超える慢性的な渋滞が発生していました。
  • 完成2車線道路として供用している状態で、近隣住民やお客さまの安全を確保しつつ4車線化事業を完成させました。更に、様々な技術的工夫により鋼橋やPC橋の撤去や拡幅を行ったことは、今後の高速道路の4車線化や6車線化の拡幅工事への寄与が見込まれる代表的な事例となる事業です。
  • 4車線化の拡幅にあたり、既設橋の耐震補強も兼ねて基礎杭の増杭、フーチング、RC橋脚や梁を拡幅し一体化しました。その際、RC橋脚梁部の拡幅における高流動コンクリートの使用、拡幅を想定していないPC連結プレテンT桁における新旧横桁のPC連結の採用など様々な技術的工夫を行いました。
  • インターチェンジの拡幅において、一度新しいランプ橋に交通を切り替えた後、既設のランプ橋を撤去し、そこに本線橋を拡幅する必要があり、特に有田南ICオンランプ橋は住居と近接しており、オンランプ橋の夜間通行止め工事のみでは約1年半の工期が見込まれていました。そこで、施工中の安全確保と工程短縮のため、種々の対策を行った上で、近隣住民や行政の協力のもと3ヶ月間の終日通行止め並びに昼夜連続作業を行い、無事故で施工できました。

湯浅御坊道路 川辺インターチェンジ

湯浅御坊道路 川辺インターチェンジ

湯浅御坊道路 御坊インターチェンジ

湯浅御坊道路 御坊インターチェンジ

(2)土木学会 田中賞 作品部門 : 吉野川サンライズ大橋

≪特徴≫

  • 「吉野川サンライズ大橋」は道路橋として日本最長級のPC連続箱桁橋です。
  • 自然環境豊かな1級河川吉野川の最河口部に建設された橋梁であり、周辺環境への環境負荷低減のため、河川内の支間長を130mで計画し、河川内の橋脚数を最小限にしました。(支間長130mは、プレキャストセグメントを用いたPC箱桁では世界最大規模の張出し架設長です。)
  • プレキャストセグメントを用いたバランスドカンチレバー工法を採用することにより、施工による環境負荷の低減(浚渫量を減らす等)、および施工の省力化・品質向上、現場作業工程の低減を図りました。
  • セグメントにフライアッシュを採用することで耐久性の向上、および環境負荷低減に努め、さらに路面排水について通常の排水管に代わりプレキャスト排水側溝(検査路兼用)を採用し維持管理性の向上を図りました。
  • 橋梁中央部では、上下部剛結構造を採用し耐震性向上を図り、大規模地震発生後の点検の迅速化、高速道路の早期開放を目的に外ケーブルに光ファイバを用いた張力計測システムを実装しました。

吉野川サンライズ大橋(側面図)

吉野川サンライズ大橋(側面図)

吉野川サンライズ大橋(全景)

吉野川サンライズ大橋(全景)

バランスドカンチレバー工法による架設状況

バランスドカンチレバー工法による架設状況

プレキャストセグメントを用いたバランスドカンチレバー工法

プレキャストセグメントを用いたバランスドカンチレバー工法

《プレストレストコンクリート工学会》

《プレストレストコンクリート工学会賞》

プレストレストコンクリート工学会賞は、論文賞、作品賞、技術開発賞、施工技術賞の4部門に分類されています。

作品賞はプレストレストコンクリート構造物の新設・改築・改修で、計画、設計、施工、あるいは美観、さらに改築・改修においては機能・性能の回復・向上などの面においてすぐれた特色を有し、プレストレストコンクリート技術の発展または普及に顕著な貢献をしたと認められる作品を対象とされています。

(3)プレストレストコンクリート工学会 プレストレストコンクリート工学会賞 作品賞 : 吉野川サンライズ大橋

≪特徴≫

前頁参照

(4)プレストレストコンクリート工学会 プレストレストコンクリート工学会賞 作品賞 : 蓼野第二橋(下り線)床版取替

≪特徴≫

  • 蓼野第二橋は構造物の耐久性向上、維持管理の負荷低減、第三者被害の抑制のために、鉄筋やPC 鋼材などの腐食する部材を一切排除したPC 床版「超高耐久床版(Dura-Slab®)」を高速道路橋の床版に適用した非合成鈑桁橋です。
  • 床版には鉄筋やPC 鋼材だけでなく、アラミドFRP ロッド緊張材の定着体(鋼製)などを含め、腐食により床版の耐久性低下を招く懸念がある鋼部材を一切使用しない構造を実現しました。
  • 通常のプレキャストPC 床版に設ける高さ調整ボルト孔、スタッド孔、床版吊りインサート埋設孔などの床版上面の開口部を一切排除したことにより、浸水と輪荷重の繰返しによるコンクリートの劣化を防止し、鋼桁本体の腐食劣化因子の浸入を排除しました。
  • 本床版構造は高耐久化・長寿命化を実現しているため、将来の大掛かりな補修補強や更新工事が不要となります。このため、ライフサイクルを通じての地球温暖化ガスの排出量を大幅に抑制できます。

≪その他≫

  • 本構造物は、令和3年度「土木学会 田中賞」も受賞しています。

Dura-Slab®(構造概要)

Dura-Slab®(構造概要)

(蓼野第二橋の施工状況)

(蓼野第二橋の施工状況)

(5)プレストレストコンクリート工学会 プレストレストコンクリート工学会賞 作品賞 : つめた谷橋(下り線)の拡幅

≪特徴≫

  • 「つめた谷橋(下り線)の拡幅」は新名神高速道路の甲南ICから信楽IC間に位置するつめた谷橋(PRC2径間連続2主版桁橋)において、新たにPC主桁を増設し道路を拡幅する6車線事業の一環として実施された工事です。
  • 拡幅部の新設PC主桁に高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートを採用することでクリープ・乾燥収縮を低減し、新設桁の養生期間を大幅に短縮しました。また、支間部の主桁をプレキャストセグメント化することで供用線の規制期間を短縮し、通行車両の安全性確保に大きく寄与しました。
  • 新設桁の主方向PC鋼材には、比較的断面積の小さな版桁構造に効率的にプレストレスを導入することができる高強度プレグラウトマルチケーブルを初採用し桁断面の増による自重増加を回避しました。

つめた谷橋(工事中の状況)

つめた谷橋(工事中の状況)

つめた谷橋(全景)

つめた谷橋(全景)