― 腐食劣化と決別した非鉄製床版を実用化 ―
令和3年11月25日
西日本高速道路株式会社
三井住友建設株式会社
NEXCO西日本(大阪市北区、代表取締役社長:前川 秀和)と三井住友建設株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:近藤 重敏)は、鉄筋やPC鋼材に替わり、腐食しない新材料を緊張材として用いた超高耐久床版『Dura-Slab』を高速道路橋として初めて採用したE2A 中国自動車道「蓼野第二橋(たでのだいにきょう)下り線」の床版取替工事を完了しました。
本技術は、鋼材腐食によるコンクリート片はく落などによる第三者被害を防ぐとともに、耐久性の向上により長寿命化が図られ、維持管理、更新時のCO2削減も実現します。飛来塩分や凍結防止剤散布による鋼材の腐食環境が厳しい箇所での床版取替工事などに有効です。
なお、並行して開発した箱桁構造の超高耐久橋梁「Dura-Bridge」、プレキャスト製の超高耐久壁高欄「Dura-Barrier」は昨年完成しましたE32 徳島自動車道「別埜谷橋」で本線橋として運用を開始しております。
図-1 超高耐久床版の概要図
高速道路橋は、経過年数に伴う老朽化だけでなく交通量と車両総重量の増加、凍結防止剤の散布や沿岸部での塩害などによる劣化が進行しています。この課題に対し、鉄筋やPC鋼材などの鋼材を一切用いない優れた耐久性を有するDura-Slabを、高速道路リニューアルプロジェクトにおける鉄筋コンクリート床版の取替工事へ適用を目指し、開発を進めてきました。
これまでに、輪荷重走行試験や要素試験により十分な耐力を有していることを確認し、実証橋建設により施工性や全体安全性などの確認を行うことで、本線橋への初採用に至りました。
E2A 中国自動車道 六日市(むいかいち)IC~鹿野(かの)IC間で床版取替工事を実施した「蓼野第二橋(たでのだいにきょう)」下り線で、Dura-Slabを採用しました。
図-2 工事場所
今回、橋長103mの全床版がリニューアルされました。
図-3 工事概要
写真-1 Dura-Slab架設状況
写真-2 Dura-Barrier架設状況
一般的なプレキャスト床版
Dura-Slab
写真-3 床版の耐久性向上を目的とした床版開口部の極小化
本工事により得られた知見を活用し、当工法の適用拡大に向けた基準類の整備を進めていきます。
今後は、飛来塩分や凍結防止剤散布による鋼材の腐食環境が厳しい、高い耐久性が望まれる本線構造物への展開を目指します。