植物調査について
(1)「植物ワーキンググループ(WG)」事務局から、
資料3(10,362KB)
に基づき、篳篥用ヨシの環境調査について説明。
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調査の目的は、総合的な鵜殿ヨシ原の環境調査を通して、篳篥用ヨシの生育する環境条件を明確にすること。
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これまでに、国土交通省近畿地方整備局淀川河川事務所(以下、「淀川河川事務所」)にて地質・土壌調査、地下水位調査が実施されており、以下の点が確認されている。
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地質について、鵜殿ヨシ原の地表面は主に粘土層で形成され、層の厚さは上流部側の方が比較的厚い。粘土層の下は砂質土層で形成されている。
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ヨシの地下茎は主に粘土層から確認されており、地下茎の有無と関係性の高い土壌成分項目が報告されている。
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平成25年1月、篳篥用ヨシを採取されている地元の方々と現地立会し、採取エリアについてGPSを用いて確認した。その結果、篳篥用ヨシは新名神高速道路計画路線から下流側に約60mから700m離れた位置に分布していることがわかった。
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今回調査した篳篥用ヨシの採取エリアを踏まえ、工事計画等については、極力下流側を避けるよう検討したい。また、今後実施予定の篳篥用ヨシ以外の環境全般の調査等も踏まえた上で、総合的に検討していきたい。
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平成25年4月より現地にて、ヨシの生育調査(14箇所)、土壌水分及び温度測定(3箇所)の2つの調査を開始しており、以下の点が確認されている。
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ヨシの生育状況を比較すると、篳篥用ヨシの採取エリア付近のものは、採取エリア以外のものに比べ草丈が高い。現時点で既に生育状況の違いがみられる。
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土壌水分量及び土壌温度は、導水路への通水前後において明確な変化は確認されなかったが、地表から40cmまでの値では地上の影響を受け変動がみられた。また、土壌温度については5月中旬頃から上昇傾向が見られた。
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地下水位に関しては、淀川河川事務所において平成22年から継続的に計測が行われている。その計測結果及び、導水路への通水期間、現地調査結果等から考察すると、導水路の水は砂質土層を通って河川横断方向に流れていると推察される。
各委員から以下の意見、質問をいただいた。
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地下水の流向を確認するために、導水路を中心に河川横断方向に2箇所程度浅い層での地下水位測定を実施すべきである。
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各コドラートの生育状況の違いに対し想定される要因やヨシ以外の植物の状況を把握しておくこと。
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既存の土質データを三次元的に表現した資料も作成いただきたい。
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篳篥用ヨシの生育環境条件をきっちり把握することが当面の目標であるため、現在の調査項目を継続して報告すること。また、採取・分析に当たっては地下茎と根を区分して行うことが重要である。
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個体群レベルだけではなく群落レベルの議論をするために、その分野に詳しい研究者に参画いただいてはどうか。
事務局から下記を回答した。
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現況の植生図等を基に、高速道路の構造物が入った場合を想定し、地下水の影響の把握に取り組んでいきたい。
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今後は現在の環境調査を継続的に実施するとともに、土壌分析やヨシのDNA分析等を実施する予定である。
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群落レベルに詳しい研究者の参画について、委員から情報をいただきながら検討していきたい。
(2)高速道路総合技術研究所緑化技術センターより、
資料4(824KB)
に基づき、篳篥用ヨシの育成調査について報告
委員から以下の意見・質問をいただいた。
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ヨシ原の回復の可能性のひとつとして、種子からよりも地下茎からの生育であれば、かなり早くに大きな個体になる可能性があるので、採取した地下茎からヨシを生育させてみてはどうか。
事務局から下記を回答した。
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地下茎の栽培実施に向けて、関係する皆さまと調整させていただく。
(3)委員より、
資料5(442KB)
に基づき「雅楽を支える鵜殿のヨシはクローンの可能性」について報告
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ヨシは種子だけでなく地下茎でも繁殖する。鵜殿のヨシはクローンの可能性があり、今後ヨシの地下茎の調査もしっかり行っていく必要がある。
(4)事務局より、
資料6(611KB)
に基づき「鵜殿のヨシ原焼き」について報告