竜王山の中腹に水田等があるが、それに対して水の影響はあるのか?
地下水には浅い層と深い層が存在することを想定しており、影響予測は、深い層の地下水の変化を予測したものである。基本的には、土被りが厚い所では、浅い層の地下水に影響はないと考えており、水田等に影響はないと考えている。ただし、施工は、モニタリングを行いながら、必要に応じて先進ボーリングを実施して、慎重に行う。
一般的にトンネルを掘削すると、山の上の水は枯れてしまうのではないかという心配はある。ただし、竜王山は比較的水を通しにくい岩盤で構成されていると想定されることから、トンネル湧水量は少ないと予測され、山からあまり多くの水を取らないと思われる。また、竜王山に降る雨はあまり地下に浸透せずに流出して、その水を水田等に利用している状況であると考えている。
沢が枯れて水田等に影響がある場合には、今後、対策について検討を行う。
竜王山トンネルは、トンネルの真中ぐらいから、東と西に下っているため、もし影響が発生した場合には、坑口に出てくるトンネル湧水を返水することが可能である。
今回、トンネル掘削に際しては、地下水情報化施工として、モニタリングを行いながら、先進ボーリングを実施し、その得られる情報から、掘削前に地上や周辺の地下水に影響はないかを検討しながら施工していく。これは、今までにない新しい工法と考えてよい。また、先進ボーリングでは、1,000メートル位を掘削することができる超長尺ボーリングという新しい工法を採用する。
p3-3地質縦断図に、箕面川の真下に断層が記載されているが、これはどの方向に、どの程度の規模で、どこまで伸びているかがわからない。今まで箕面川には影響がないと聞いてきたが、この断層は箕面川に影響を与えないのか?
予測解析では、調査結果から、箕面川周辺は非常に水を通しにくい地層と想定しているため、箕面川には影響がないという予測になっている。ただし、解析は1つの仮定であり、過去の経験上、トンネルが川の下を通るときは心配した方がよいということもあり、箕面川の下においても超長尺ボーリングを実施して、実際の地層を確認することにしている。この時に、当初の想定通りであれば良いし、影響があると想定される場合は、水環境保全対策の選定フローチャート(p3-2)に示すように対策を行うという、そういうステップを踏むので、安心していただきたい。
p3-8のモニタリングの内、トンネル湧水量については、施工中の工事に使う水と一緒に測るため、データが信用できないことがあるため、しっかりと測って欲しい。
勝尾寺川については、トンネルのウォータータイト(非排水構造)、河川水の切り廻しを実施することになっており、これらの工法は、既設トンネルで実績がある。また、それでも影響がある場合には、トンネル湧水を川に返水するというような、二重、三重の対策を考えて、勝尾寺川の水を守っていく。
超長尺ボーリングは、おそらく道路トンネルで初めて採用されることになり、今後、地下水情報化施工の有効な手段として活用されると思われるため、ボーリング調査のデータ収集、施工の段取り等の施工記録をしっかり残して欲しい。