長谷川 知美
HASEGAWA TOMOMI
四国支社 建設・改築事業部 建設・改築統括課 課長
1996年入社 工学部 第四類(建設・環境系)卒
CAREER HISTORY
長谷川 知美
HASEGAWA TOMOMI
四国支社 建設・改築事業部 建設・改築統括課 課長
1996年入社 工学部 第四類(建設・環境系)卒
NEXCO西日本の前身である日本道路公団に入社。当時、企業も官公庁も土木職の女性採用は少なく、採用されても設計、研究部門に配属されることが多かった。現場に近い仕事に就きたいと思い、リベラルに働ける公団を選んだ。入社後、「新名神高速道路」の大津~城陽間の調査・設計を担う部署に。内勤と現場仕事がほどよくある工事事務所で業務の流れを学ぶ。
日本道路公団の管轄は全国。「東名高速道路」の重要拠点・東京料金所を擁する横浜管理事務所(現:NEXCO中日本横浜 保全・サービスセンター)に異動。活気ある管理事務所での維持管理や夜間集中工事など、“現場”の経験を積む。
いつか海外で働いてみたいと考え、公団の研修制度を活用して半年間、語学学校へ。官公庁の職員や一般企業の方々と一緒に、半年間、朝から晩までビジネス英語やスキルを学ぶ。
研修終了後、関西支社へ。個別採算路線の償還計画などを担当し、整備効果や採算性といった事業の根幹となる経営分野を担当。その後、本社へ異動となり、海外業務のサポートや民営化に向けての準備業務に携わる。
日本道路公団から「NEXCO西日本」に。新会社のブランディング構築に携わる。困難だったのは、インナーブランディング。各地で説明会を開き、社員に「NEXCO西日本」の企業ブランド価値やめざす姿について意見交換しながら意思統一と浸透を図る。
四国支社 総務企画部 企画調整課に課長代理として赴任。四国四県の各県と相互協力協定を結び、地域活性化や緊急事態対応(防災・災害対策含む)などについて、地元自治体との協力体制を強化した。そのころ国も道路ネットワークのフロー効果(※1)からストック効果(※2)を謳いはじめていた。道路が完成した後、人とモノの動きが活発化することで得られる長期的効果を更に高めるため、地域と一体となって高速道路を「賢く使う」取り組みに注力した。直接担当した件ではないが、東日本大震災後により高速道路が果たす防災機能が再認識されたこともあり、徳島県などの高速道路に避難場所が設置されたのもこの頃。現場を離れ、コーポレート部門での経験が長くなったことから、キャリアについて自己申告する面談の場で、現場配属を希望した。 ※1)フロー効果:公共投資を行うことで生産活動を活発にし、原材料や労働力の需要の拡大や生産機会・雇用機会の創出など、経済活動を活性化させる効果※2)ストック効果:道路が整備され供用されることで、人流・物流の効率化、民間投資の誘発や観光交流、人口・雇用などを増加させ、経済を成長させる効果
高松工事事務所 工事長として、高松自動車道4車線化工事のうち、高松市寄りの11㎞の現場監督を務める(NEXCO3会社の中でも女性の工事長は初めて)。工事長が務まるのかと不安もあったが、「お前ならできる」と推してくれた人がいたからと思うと前向きな気持ちになれた。約15年ぶりの現場。当時とは、積算システムも技術も大きく変わっており分からないことも多いが、やはり現場は楽しい。部下や施工会社と力を合わせ、担当区画の統括役として安全かつ着実に工事を推進した。
海外事業部で、グループ会社や海外PPP事業(※)の調整業務を担当。アジア地域の拠点となるインドネシア駐在事務所の高速道路事業技術連携の支援業務や、米国で調査点検業務を展開するNEXCO-West USA社との業務調整を行ったほか、PPP事業参画のため他国の道路インフラ状況や事業参入に係る外資や各種規制等の制度を学んだ。また、国際会議の会場内の日本ブースで、国土交通省やゼネコン、総合商社等とともに海外へのインフラ輸出を推進すべく、日本の技術力をアピールしたり、モンゴル土木学会など海外で日本の高速道路事業を紹介したりする機会も得た。「世界道路協会(PIARC)」が開催する世界大会へは、前川社長(当時は副社長)に随行。アブダビ(UAE)やグダンスク(ポーランド)など、これまで行ったことのない国を訪問し、とても貴重な経験となった。
※PPP(Public Private Partnershipの略):官と民がパートナーを組んで事業を行う官民連携の形態
課長として交通計画課へ。四国支社管内の交通動向分析や交通安全対策など、交通分野に関する業務のマネジメントを担当。赴任直前の3月、工事長として関わった高松自動車道の全線4車線化完成。自分が携わった道路を保全していくと思うと気持ちも引き締まる。これまで工事長として管理職を経験してきたが、改めて人や組織のマネジメントの難しさを実感。会社が描く事業戦略や実施方針を、現場で具体的に実践するためにはどうすればよいか試行錯誤した。コロナ禍の影響もあり、対外的な協議や調整が思うようにできず不完全燃焼のまま、建設・改築統括課に異動に。
建設・改築統括課の課長として、四国支社管轄の建設・改築事業の予算管理や組織改正、調整を担当。2021年度に予定している徳島南部自動車道(徳島JCT~徳島沖洲IC)の開通日や式典について、本社や事務所と連絡をとりながら調整。徳島の海岸沿いを走るこの区間には、一級河川「吉野川」の河口部を横過する橋を建設。公募で名称が決まった「吉野川サンライズ大橋」は、環境保全や景観に最大限配慮した工法を取り入れて架橋した。企画調整課時代に取り組んだ、自治体との相互協力協定に則り、津波避難所設置や災害時の代替機能も強化した道がまもなく開通する。現場には近いけど、現場ではない仕事。支社の立場から全力でサポートする。
現場の担当時代に比べ、役職者になると1年がとても早く感じます。そのうちやろうと思っても、そのうちという機会はない。受け身の仕事のやり方では、本当にやりたいことはできないと再認識しました。ウォルト・ディズニーの「現状維持では、後退するばかりである」という言葉を指針にしていますが、一方で過去に学ぶことも大切。新たな視点、新たな技術や考えを取り入れる柔軟性と、諸先輩方の培ってこられた知見を取り込んで、常に自分をバージョンアップさせていくことが目標です。