川﨑 翼
川﨑 翼

緑化の第一歩は、地域とのつながり。
地域に馴染む、緑の可能性を探る

土木(造園)/建設事業

川﨑 翼
KAWASAKI TSUBASA

関西支社 新名神大津事務所 工務課
2013年入社 緑地環境科学研究科 修了

現在の仕事

新名神建設エリアの
自然環境保全や
緑化方針を検討

自然環境保全と高速道路整備、その両立を担うのが造園職の仕事です。中央分離帯やのり面、SA・PAなどの植栽・植生の計画・施工・維持管理のみを担当するように思うかもしれませんが、実際は、「エコロード(自然環境に配慮した道づくり)」を基本に、地域の方々の暮らしと自然環境が共生できる道路事業をめざし、専門知識を生かしながら、広く高速道路事業に携わっていきます。
保全サービス事業では、緑地の点検を計画・実施し、快適で安全な走行ができるように枝を剪定するなど、リスク回避や景観維持につながる作業計画立案が主な業務となります。現在、私が担当している新名神大津事務所のような、新しい高速道路を建設する建設事業では、環境調査や試験施工などを実施し、自然環境保全や造園・緑化方針を検討の上、設計に反映させて、工事の進捗に合わせて施工していきます。
今、土木工事を進めているエリアには、近代砂防(治山治水)の発祥の地と呼ばれる歴史が深い場所があります。地域の方のご意見を聞きながら開発を進めていますが、植林・砂防の歴史ある場所ゆえに、より一層の環境への配慮が求められます。この場所の緑化プロジェクト担当として、学識者や地域の方々を交えた委員会を開催したり、地元の小学生に集めてもらった「どんぐり」を地域性苗木※として育てたり。日々、地域とのコミュニケーションを深めながらよりよい造園・緑化計画となるよう模索しています。構造物の建設と異なり、造園・緑化工事は生き物を扱うため、10年~20年先を見据えた長期的な計画が求められます。完成された風景が見られるのはまだ先になりますが、地域の方々が親しめる風景としてお返しできるよう努めていきたいと思っています。
※地域性苗木:地域に自然分布している郷土種。その種を育成し、緑化する地域の生態系、生物多様性に配慮した手法

ONE DAY

9:00
出社後、試験区の確認
のり面に保護のための植生の種類を検討するために、試験を行っている現場での試験区で生育状況を確認。自然環境の復元のために遺伝的多様性の配慮にもチャレンジしています。
11:00
安全巡回
工事現場を巡回し、作業が規定通り安全に進められているかをチェック。
14:00
WEBミーティング
関西支社や砂防関係者とWEB会議。事業の進捗や、検討中の案件について話し合う。
16:00
電話対応・資料作成
工事に関し、地元の方からの問い合わせに対応。支社から依頼のあった予算に関する資料を作成。

仕事のやりがい

研究機関で緑化技術を学び、
現場に生かす

現在の事務所に配属になる前、希望してNEXCO総研(高速道路総合技術研究所)の緑化技術センターへ出向しました。ここは、高速道路事業で必要となる自然環境保全や緑化技術、実際に植える樹木や草花等の生産を行う場所で、NEXCO3社から技術者が集まり、研究開発を行っています。造園はもちろん、土工や橋梁、舗装といった様々な分野の技術者と意見を交わしながら緑化分野に関する課題や、あるべき姿について認識することができました。
ここでの経験を生かしながら、今、新名神高速道路建設事業における緑化プロジェクトを中心に、大津JCT~県境の建設事業を進めています。地域の要望と現場の事情を擦り合わせて最適解を考え、それを地域の方に丁寧に説明し、納得いただけたときは、やはりうれしいです。工事を俯瞰的にみるポジションで事務所全員の日々の挑戦を知っているので、開通する瞬間は涙が出るほど感動すると思います。

入社動機

SA・PAの緑化や空間演出に興味

大学で都市計画や緑化について学び、ゼミの設計演習で高速道路のサービスエリアの緑化提案を行ったことがきっかけで、高速道路会社を意識するようになりました。SA・PAは、様々な方が利用する空間。そうした業務があることに魅力を感じました。当時の入社案内には休憩施設だけでなく、のり面の樹林化などに取り組む造園職の社員が取り上げられていました。緑化技術を活かして働ける会社だと知り、志望しました。

川﨑 翼

私の目標

近い目標は、現在の事業エリアをしっかり緑にして地元の方にお返しすること、これにつきます。現在はまだ、緑化計画中ですので、実際の施工に入るのはもう少し先。次につながるよう、きちんとバトンを渡していきたいと思います。
今後、カーボンニュートラルへの貢献や生物多様性保全など、大きな社会課題に対するアプローチとして造園・緑化が求められる場面が増えてくると思います。高速道路をドライブしていて楽しくなるような、記憶に残る風景や空間の演出、そして休憩施設の修景など、緑の持つ役割の可能性を広げていきたいと思っています。

オフの過ごし方

自然に触れるのが好きなので、これまではキャンプに行ったり、釣りにいったりしてオフを楽しんでいました。最近は子供が生まれたので、子供と遊ぶことも多くなりました。日々成長する姿を見ているだけで、楽しみが広がっていきます。

offtimeの写真
就活中の学生さんへメッセージ

高速道路の建設現場は、風景に影響を与えるスケールの大きな現場です。土木を中心にダイナミックな仕事ができると思いますし、造園が担う、緑に関わる業務もいろいろあります。地域の風景を守りながら、高速道路も安全に管理していく、やりがいのある仕事だと思います。コロナ禍で大変な時代ですが、自分を信じて頑張ってください。